【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

ル・ペン大統領誕生はプーチン‘プッツン’大統領の勝利と同義語だ


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4月10日のフランス大統領選では、現職のマクロン候補と極右のル・ペン候補が24日に実施される決選投票に駒を進めた。

ふたりは2017年の大統領選でも争った。そのときの決選投票ではマクロン候補が66%の得票率で圧勝した。

今回の決選投票では両者が競り合う展開になっている。マクロン候補は、ウクライナ危機でプーチン大統領との対話を続ける態度が評価され、前半は極めて有利に選挙戦を進めた。

だがその同じ危機の影響で、エネルギーや食品価格を筆頭に物価が高騰し社会不安が急速に高まった。

ル・ペン候補はそこを捉えて物価対策を旗印にキャンペーンを張り、中・低所得者層を取り込んで急激に支持を伸ばした、という形だ。

ル・ペン候補は決選投票でも物価高や購買力などの国内問題を強調して選挙戦を戦うことが確実だ。それはウクライナ危機をほぼ無視して、フランス・ファースト主義に徹するということである。

一方のマクロン候補は、これまでのように欧州の中のフランス、ひいては世界の中のフランスの責任ある役割、というテーマを前面に押し出して戦う。

彼はこれまで力を注いできたウクライナ危機への強い関与を継続し、フランスの指導力を世界に示そう、と国民に呼びかけるだろう。

ドイツのメルケル前首相が欧州政治の表舞台から消えた今は、マクロン候補こそ自由主義世界の木鐸ともいうべき存在だ。

独裁者のプーチン大統領に対抗する欧州の強い指導者は、マクロン大統領のほかには英ジョンソン、伊ドラギの両首相、EUのフォンデアライエン委員長などがいる。

だがジョンソン首相はBrexitを主導した反EU主義者だ。単身キーヴに乗り込んでゼレンスキー大統領を激励した行動力はすばらしいが、正体がトランプ主義者に近い存在だから100%は信用できないかもしれない。

イタリアのドラギ首相は、元欧州中央銀行の辣腕総裁という肩書きと、その肩書きに支えられた手堅い政権運営が評価されて、国内的はもちろん国際的にも一目置かれてはいる。

しかし彼には、政治家に必要なコミュニケーション能力が欠けている。それは仲介能力が低いというのとほぼ同義語だ。対話による停戦が喫緊の課題であるウクライナ危機のさなかでは、先導者を務めるのは少し厳しそうだ。

フォンデアライエン欧州委員会委員長も、海千山千の怪物プーチン大統領と丁々発止にやりあうには、少々役者不足と言わざるを得ない。

3人のほかにはドイツのショルツ首相もいるが、彼はエネルギー問題でロシアに首根っこを押さえられていて、今のところはほとんど身動きできずにいる。また存在感が巨大だったメルケル前首相に名前負けしている弱さもあって、リーダーシップを発揮できていない。

西側連合全体のリーダーはむろんバイデン米大統領だが、彼はプーチン大統領を口を極めて罵るばかりで、今のところは対話からは遠い位置にいる。

そうして見てくると、フランス国内では‘金持ちのための大統領’などという批判もあるマクロン候補だが、怪物のプーチン大統領と対抗できるのは、今はやはり彼が最も相応しい。

マクロン候補を抑えてフランス大統領になるかもしれないル・ペン候補は、穏健化路線の仮面を剥ぎ取れば、プーチン信奉者でありトランプ追従者だ。彼女はここイタリアの極右指導者サルヴィーニ、メローニ両氏とも親和的だ。

それらの反国際協調路線主義者は、各国それぞれの事情で立場に微妙な違いはあるものの、強権政治を志向する傾向がある点で中国や北朝鮮にも近い。

もしもル・ペン政権が成立した場合、ウクライナ危機に対しての欧州の結束は乱れ、米バイデン政権との仲もギクシャクする可能性が高まる。

そうなれば、言うまでもなくそれは、プーチン・ロシアへの援護射撃となることが確実だ。

ル・ペン候補は彼女が牛耳る極右政党の名前を、攻撃的なイメージが強い「国民戦線」からよりソフトなイメージの「国民連合」に変え、自身の過激な言動にも封印をして穏健化路線を進めた。

それは「脱悪魔化」とも呼ばれてきた策である。

支持の拡大を図るそれらの動きはしかし、あくまでもル・ペン候補と極右政党の「死んだ振り」政策に過ぎない。彼女の正体は「脱悪魔化」というおどろおどろしい言葉が示すように悪魔的であり、彼女の政党も好戦的な極右勢力であり続けている。

それは半島北部の独立を目指したここイタリアの北部同盟が、より全国区の協調路線をイメージさせようとして、党名を「同盟」と改名したことと同じ姑息な手段だ。反移民・反イタリア・反EUの同盟は、「北部同盟」時代と中身は何も変わらず極右の剣呑な政党であり続けている。

彼らはトランプ主義者であり白人至上主義者だ。加えて言えば、日本のネトウヨ・ヘイト系排外外差別主義者らとも親和的な政治勢力である。

またル・ペン候補もサルヴィーニ同盟党首も、はたまたトランプ前大統領も、いずれも隠れなきプーチン信奉者である。その周囲には中国もぴたりと寄り添って、隙あらば取り入り取り入れようと画策している。

マクロン大統領は、フランス政界分断をうまく捉えて極左と極右を痛烈に批判し、彼が「責任ある中道勢力」と彼が呼ぶ層をまとめて国を引っ張ってきた。だがその手法は選挙では、今のところ2017年ほどの明確な成功には至らず、ル・ペン候補の激しい追い上げに遭っている。

選挙戦の出だしではマクロン候補が大差でリードしていると考えられた。しかし、先に触れたように、ウクライナ危機がもたらす疲弊と急激なインフレが社会不安を招き、それへの対応を最優先すると訴えるル・ペン候補に庶民の支持が集まった。

世論調査によるとフランスでは、極左と極右を合わせた過激派への国民の支持率5割を超えている。それはここイタリアの状況にも似ている。もっといえば、アメリカのトランプ主義勢力、英国のBrexit支持派、などとも通底している現象だ。

さらにいえばそれらの政治勢力は、たとえ表立ってその素振りを見せていなくても、潜在的にはロシアのプーチン大統領とも親和的な政治力学である。

だからこそ真っ向からその勢威と張り合うマクロン大統領の存在は、自由と民主主義にとっての、今このときの最重要な拠り所なのではないか、と考える。



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プーチン信徒もはびこるイタリアの度量


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前回エントリーで、プーチン“悪の根源”大統領を受身に擁護する、ジュゼッペ・コンテ前イタリア首相を批判した

彼の名誉のために付け足すと、プーチン大統領を名指しで非難しないイタリアの有力政治家は、ほかにも少なからずいる。

その筆頭がマッテオー・サルヴィーニ同盟党首である。極右とも規定される同盟のトップは、かねてからプーチン大統領を崇拝し、彼を称揚する言動を堂々と展開してきた。

サルヴィーニ党首は先日、ウクライナからの難民に連帯を示したいと称してポーランドを訪れたが、プーチン大統領支持の正体を見抜かれて現地の人々の総スカンを食らった

サルヴィーニ党首は、プーチン大統領とともにトランプ前大統領も敬する。

サルヴィーニ党首はポーランドで叱責を受けた際、ロシアのウクライナ侵攻は良くないことだ、としぶしぶ認めたが、その後はコンテ前首相と同じく、“プーチン”という名を一切口にせず、むろんロシアを非難することもしない。

支持するとまでは表明しないものの、沈黙を守ることでプーチン大統領を支持した、もう一人の大物政治家もいる。ベルルスコーニ元首相である。

プーチン大統領と親密な元首相は、ロシアがウクライナで殺戮を繰り返すのを目の当たりにしながら、当初は同大統領を全く指弾しなかった。

ベルルスコーニ元首相はおよそ一ヵ月後、これまたしぶしぶという風体でロシアの蛮行を初めて批判した。

そして4月9日、自身が党首を務めるFI党の党大会で「プーチン大統領には失望した」と強い調子で友人の独裁者を糾弾した。

遅きに失した感はあるが、だんまりを決め込んだり、消極的にあるいは受け身にプーチン大統領支持に回るよりは増しだろう。

醜聞にまみれたベルルスコーニ元首相には多くの批判がある。だがそのことはさて置いて、彼は政治的には、いわゆる「欧州の良心」から大きく逸脱することは一貫してなかった、と僕は思う。

プーチン大統領を擁護する勢力は、イタリアにおいても左右の極論者が多い。左の代表が前述したようにコンテ前首相であり、右の極論者がサルヴィーニ同盟党首である。

彼らはトランプ主義者である点でも共通している。

僕が知る限りコンテ前首相は公にトランプ前大統領を称揚したことはない。だが彼の上に君臨する五つ星運動創始者のグリッロ氏は、隠れなきトランプ礼賛者でありプーチン追従者だ。

コンテ前首相は、残念ながら彼のボスに倣って、ここのところは“プーチン”という言葉を全く口に出さない主義を貫いている。

そのようにイタリアでは、他の先進民主主義国では中々見ることができない衝撃的な政治実況に出くわすことも珍しくない。

つい先日まで首相の座にあった者や10年近くも首班を務めた政治家、あるいは世論調査で支持率1、2位を争う政党の党首などが、今このときのロシアの蛮行を見て見ぬ振りをしたり、あまつさえ支持するなど、ほとんどあり得ないことではないか。

イタリアではそれが堂々となされることも少なくない。

イタリア政治の特徴は多様性だ。それは傍目には混乱に映ることも多い。

事実、混乱も起きるが、イタリア共和国は混乱では崩壊しない。国家の中にかつての自由都市国家群が息づいているからだ。

仮にイタリア共和国が崩壊しても、歴史的存在の自由都市国家群はしぶとく生き残って、さらなる歴史を継承していくことが確実だ。

イタリア共和国とは、つまり、決して崩壊しない一つ一つの自由都市国家の集大成だ。従ってイタリア共和国自体もまた崩壊することはない、とも言える。

むろんイタリアが民主主義国家であり続ける限り、イタリア共和国の「民主的な解体」はいつでも起こり得る。

そのイタリア共和国は、たとえばBrexitに走った英国や、国民連合が台頭するフランス、またドイツのための選択肢を抱えるドイツなどとそっくり同じだ。

つまり他の西側諸国がプーチン・ロシアの愚行を受け入れることがないように、イタリア共和国がプーチン大統領の悪行に寄り添うことはあり得ない。

だがイタリアの国民的合意には、イタリア的多様性がもたらす不協和音に似た耳障りな響きも、またくっきりと織り込まれているのが常なのである。




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残念なジュゼッペ・コンテ前首相 

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イタリアは2024年までに防衛費をGDP(国内総生産)の2%に引き上げるとしたNATOとの合意を反故にした。

連立政権を構成する五つ星運動の党首、コンテ前首相が激しく反対したからである。

コンテ前首相は、2019年に当時首相だった自分自身がNATOと約束した防衛費の増額を否定したのだ。

それによって彼は、右顧左眄と民心扇動が特徴的なポピュリスト政党のトップであることを如実に示した。

彼の主張は五つ星運動の目玉であるバラマキ策、「最低所得保障(reddito di cittadinanza 」とも深く結びついている。

コンテ氏が首相だった2019年、五つ星運動のゴリ押しが功を奏して、イタリア政府は低所得者層に一定の金額を支給し始めた。

コンテ政権は同年、NATOとの防衛費増額にも合意した。

ところが最近になってコンテ前首相は、イタリアを含む欧州が、プーチン・ロシアに侵略されるかもしれない危険に備えるための防衛費増は認めない、と声高に主張し始めたのだ。

弱者を援助するという名目で票集め用に金をバラまくのは構わないが、安全保障は天からの恵みで自然に備わるものだから気にしなくてもよい、とでも考えているのだろうか。

イタリア共和国がロシアによって破壊された場合、貧者も富裕者も関係がなくなり誰もが等しく地獄に落ちる。そんな瀬戸際に陥らないための防衛費増である。

NATOとEUを含む欧州各国が、歴史を大転回させるほどのロシアの凶行に太平の夢を破られて緊張し、欧州全体を守るために団結して即座の防衛費増を決めた。イタリア一国の問題ではないのだ。

言うまでもなく弱者は救済されるべきだ。だがそれは国が存続してはじめて可能になる事案だ。国が破壊されたら弱者への援助どころか、金持ちも貧乏人も何もかも消滅する。

今はその大本の真理のみを凝視して、基本原理に立ち返る努力をするべき時ではないか。

それをしないで詭弁を弄するのは、ロシアのプーチン大統領が「主権国家を侵略してはならない」という 原理原則を踏みにじっておきながら、細部を持ち出して言い訳や詭弁や強弁を声高に主張するのとそっくり同じ行為だ。

ドラギ政権は、コンテ前首相の強硬な反対に遭って、NATOとの合意を変更せざるを得なくなった。五つ星運動が大連立政権内の最大勢力だからだ。

過激は得てして ― それが右か左かには全く関係なく ― 常識を一気に飛び越えて極論に走る。

この場合は極左の五つ星運動が、大本の議論を無視して、たとえロシアからミサイルが飛来しても先ず貧者を助けろ、とわめいているに等しい。

五つ星運動は、ベーシックインカム(最低所得保障)導入に関しても、同じ偏執論理で突っ走った。

だが貧者を援助するための財源は働く人々の税金から出される。ならば先ず働く人々を助けるべきだ。

同時に働かない、あるいは働けない人々を、働くように仕向けることが重用だ。つまりバラマキの前に、仕事を生み出す知恵を働かせるべきである。その上で貧者に手を差し伸べる政策を強化すれば、誰もが納得する。

だが彼らは端からその努力を怠って、財源には全く目を向けることなく金をバラマクことばかりを目指している。そうすれば投票してもらえるからだ。

コンテ前首相は、イタリアがコロナ地獄の底で苦悶していた2020年、強い意志と勇気とポジティブ思考で国民を鼓舞し、厳しい全土封鎖を断行してイタリアを危機から救った。

僕は彼の力量を大いに評価して、そこかしこで褒めそやし喧伝した。

また彼が首相退任後に五つ星運動のトップに迎え入れられた時は、僕が強い違和感を抱き続けてきた五つ星運動を、根底から変えてくれるのではないかとさえ期待した。

コンテ氏は首相時代に五つ星運動の支持を受けてはいたが、そこの所属ではなかったのである。

だが彼は今や、大衆迎合主義政党「五つ星運動」の、過激な本性を身にまとっただけの極論者になりつつある。

いや、もともとそうだった正体が、コロナ禍の混乱が去りつつある現在、徐々に表に出てきたというのが真実に近いだろう。

コンテ前首相は、ウクライナで残虐行為を続けているプーチン大統領を支持する、という信じがたい迷妄の底にも沈んでいる。

正確に言えば、コンテ前首相は、彼のボスである党の創始者、ベッペ・グリッロ氏の「金魚の糞」化して戦争勃発以来ひと言も「プーチン」という言葉を口に出さす、ロシアを表立って批判することもない。

ボスのグリッロ氏がそうしているからだ。あるいは2人が示し合わせてそうしているのかもしれない。

コンテ前首相は、確信犯的にプーチン大統領の名前を口にせず、同時に彼の蛮行から目をそらすことで、プーチン大統領を援護しているのである。

彼が党首を務める五つ星運動は、親中国、親ロシアのポピュリスト政党である。また同党は反体制、反EUも標榜している。

彼らは古い政党や腐った政治家をインターネットを介して糾弾する、という目覚しい手法で急速に支持を伸ばした。

イタリア政界にはびこる腐敗政治家を指弾しようとする姿勢はすばらしい。また弱者に寄り添おうとする取り組みも共感できる。

だが彼らには創造的な政策がない。働く人々が稼いだ国庫の富を、無条件に貧者に分け与えろ!と叫ぶばかり。

その公平な分配法、財源、不正防止策などにはお構いなしだ。そして致命的なのは、繰り返しになるが、貧者のためまた国民のために仕事を創出する、という視点がないことだ。

そうした無責任な体質が、党首であるコンテ前首相のプーチン大統領への「受身の支持」を招き、NATO軽視、安全保障無視のスタンスを呼び込んでいる。

彼らが極左のポピュリスト、と規定され批判されるゆえんである。

極左、とは過激派という意味である。その部分では彼らは、右の過激派である極右の同盟やイタリアの同胞などと寸分違わない。極論には右も左もないのである。

コンテ前首相はつまるところ、左の過激派と呼ばれても仕方のない言動に終始している。

プーチン・ロシアの脅威を排除するための軍事費の増額を批判して、その金を貧者に回せ、と叫ぶのは平和時なら正しい。

だが平和が危機にさらされている状況では、まず平和維持を追求するのが筋だ。

また、蛮行に突っ走るプーチン大統領を、コンテ前首相がこの期に及んでも批判しない了見は、全く理解できない。それどころかほとんど狂気の沙汰だ。

2020年のイタリア全土ロックダウン時の彼の八面六臂の活躍は、もはや帳消しになったと言っても過言ではないだろう。

残念至極である。




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思い上がりが時間経過を速くする

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年を重ねるごとに時間経過が速く感じられるのは、「人の時間の心理的長さは年齢に反比例する」というジャネーの法則によって説明されます。

だがその法則は、状況の報告をするだけで「なぜそうなるのか」の論説にはなっていません。

それを筆者なりに解読しますと、要するに人は年を取るに連れて見るもの聞くものが増え、さらにデジャヴ(既視)感も積層して物事への興味が薄れていく、ということなのだろうと思います。

さしずめ、食べに食べ過ぎて次の一皿への食欲をなくしたスーパー・デブ、とでもいうところでしょうか。

多くの事案がどこかで既に見、聞き、体験したと感じることなので、人はそこで立ち止まって物事をしみじみと検分し、感じ、思案して勉強することが少なくなります。

立ち止まらない分、人は先を急ぐことになり、時間が飛ぶように過ぎて行くのです。NHKのチコちゃんはそれを「ときめかないから」と表現していましたね。

そこには自らの意志に反して心が乾いていく悲しさと、同時に大人のいわば驕りがあります。

年齢を重ねて知っていることも事実多いのでしょうが、無駄に時間を費やし馬齢を重ねただけで、実は何も知らない知ったかぶりの大人は、筆者自身も含めて多くいます。

それでも知ったつもりで、人は先へ先へと足早に進みます。死に向かって。

すると理論的には、知ったかぶりをしないであらゆるものに興味を持ち、立ち止まって眺め続ければ、人の時間はもっとゆっくりと過ぎて行く、と考えられます。


時計巻き戻す女

しかし筆者の感じでは、それも少し違うように思います。

何よりもまず、目の前に出現するあらゆるものの検分に時間をかけ過ぎれば、未知なるものに費やす時間がない、という物理的な問題が生じます。

知らないことがあまりにも多すぎて、その過大な未知のもろもろを学び、知り、体験するには、1日1日が短かすぎる。

短かすぎる時間の経過また毎日の積み重ねが、すなわち「時間の無さ」感を呼び起こすように思います。

そして 「時間の無さ」感 とは、時間が「速く飛び去る感じ」のことです。

つまり、時間が疾風よりも光陰よりもさらに速く過ぎていくのは、「一生は短い」という当たり前の現実があるから、とも言えます。

その短い一生を愚痴や、怨みや、憎しみで満たして過ごすのはもったいない。人生にはそんな無駄なことに費やす時間などありません。

と、何度も何度も繰り返し自らを戒めるものの、人間ができていない悲しさで日々愚痴を言い、怨み、憎む気持ちが起こります。

そしてその度にまた自戒を繰り返します。自戒に伴って苦い悔恨が胸中に忍び入るのもいつものパターンです。

結局、人の人生の理想とは、多くの事柄がそうであるように、愚痴らず、怨まず、憎まない境地を目指して、試行錯誤を重ねていく『過程そのもの』にあるのではないか。
そう考えれば、中々人間ができない情けない筆者自身にも、まだ救いの道があるようで少し肩の荷が軽くなる気がします。








ヒトラーはヒトラーを知らないがプーチンはヒトラーを知っている戦慄

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ウクライナのブチャでロシア軍が行ったらしい大規模虐殺が明らかになった。

それを示す衝撃的な絵の数々は、あるいはプーチン大統領の運命を決定付けた可能性がある。

敢えて言えばその運命とは、彼は死なない限りもう救われない、ということではないかと思う。

プーチン大統領の異様な性状については先に言及したが、あまりにも深刻な状況に見えるので、重ねてここにも記しておきたい。

プーチン大統領はヒトラーではない。彼はユダヤ人ほかの抹殺を目指したホロコーストは「まだ」引き起こしていない。

子供たちを含むウクライナの人民を虐殺し、政敵を弾圧し謀殺し、情報操作によってロシア国民を欺き、世界に殴りかかっているだけだ。

そしてそれらの悪逆無道な行為の数々を以ってしても、あるいは彼の悪はヒトラーの悪を上回ることはないのかもしれない。

だがプーチン大統領は、「ヒトラーを凌駕する魔物」とも規定されるべき、不吉な性根を秘めてそこに存在している。

不吉さは彼がヒトラーを知っている事実から来る。

ヒトラー自身はヒトラーを知らなかった。ヒトラーはまだ歴史ではなかったからだ。一方プーチン大統領は、ヒトラーという歴史を知っている。

それは彼が、「ウクライナを侵略した大きな動機の一つは、ウクライナからナチス勢力を排除すること」と、明確に主張している点からも明らかだ。

ユダヤ人であるゼレンスキー大統領と、彼の同調者がナチスとは恐るべき詭弁である。だが血肉の全てが、嘘で固められたスパイ仕様になっているらしいプーチン大統領にとっては、飽くまでもその欺瞞が真実なのだろう。

とにもかくにもプーチン大統領は、ヒトラーの悪魔性を知悉した上で、なおかつヒトラーを髣髴とさせる暴虐に突き進んだ。

それは極めて危険な兆候だ。

ウクライナに軍を進めるまでのプーチン大統領を、世界はまともな心情と哲学と知性を備えた強い指導者とみなしてきた。

自由主義世界は、彼の一風変わった政治スタイルを、強権主義的風潮が割と普通な、ロシアという「普通ではない」国のリーダーゆえの奇矯、と捉えていわば見て見ぬ振りをしてき

その姿勢は、プーチン大統領が基本的には自由や寛容や、そしておそらく民主主義でさえ支持しているだろう、という根拠のない性善説によって担保された。

だがプーチン大統領は、自由と民主主義と開明を空気のごとく当たり前に謳歌してきた、欧米と日本を含む西側世界全体の思い込みをあっさりと踏みにじった。

彼はわれわれが性善説に当てはめて、2022年2月24日までナイーブに思い描いてきたプーチン・ロシア大統領ではない。、

彼は常人のわれわれの世界の向こう側にいる、ヒトラーと同類の得体の知れない何者かなのである。

われわれはそのことをしっかりと認識しつつ、今後のウクライナ情勢とそれに影響また規定されていくであろう、世界のあり方を見つめ続けるべきだ。





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イタリアの化けは偽者かもかい?の答えは残念ながら YESだ!


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イタリアが2大会連続でワールドカップ出場を逃した。

あきれてものが言えず、おどろきで涙も出ない。

1年遅れで昨年開催されたEURO2020の覇者が、北マケドニアという人口200万とちょっとの国のささやかなチームに負けて予選敗退。

EURO2020で燃えに燃えた「燃え尽き症候群」といえばカッコいいが、また実際にそうなんだろうが、「ざけんなよコノヤロー、人の楽しみを2回も奪いやがって」という気分だ。

イタリアサッカーの大ファンの1人として、やっぱり次のことも言っておいてやる。

「イタリアには燃え尽き症候群という高級な病気にふさわしい超一流プレーヤーなどいない!ゼイタク言うな!」


昨年11月末、僕は:

イタリアの化けは偽者だったかも、かい?

という記事をここに書いた。その中に言いたいことの多くが込められているの

で、併せて読んでもらいたい。


閑話休題


結論を先に言ってしまえば、イタリアにはやはり違いを演出できる優れたファンタジスタ(ファンタジーに富む創造的なフォーワード)が必要だ。

イタリアの常勝監督の一人ファビオ・カペッロ氏は、サッカーでは監督の力量が影響を及ぼすのは15%ほどに過ぎない、と語ったことがある。

理論も実際もまた実績も超一流の監督の見解が、正しいかどうかは誰にも分からない。

カペッロ監督にも匹敵する力量の持ち主であるマンチーニ監督は、イタリアが60年振りにW杯出場を逃した2018年に就任した。

そしてすぐに改革を断行し、チームを強力軍団に作り上げた。

そうやってイタリアは2021年、53年振りに欧州選手権を制した。

そこまでのマンチーニ監督の貢献は70%、もしかすると80%程度にもなるのではないか、と僕は個人的に感じていた。

マンチーニ監督は、イタリアがW杯に出場して活躍し、あわよくば5度目の優勝を目指す、という明確な目標を掲げて監督に就任した。

ところがマンチーニ・イタリアは、いま触れたようにW杯を待たずに、W杯にも匹敵する厳しい欧州杯を制した。

彼の力量はますます高く評価され、カタールW杯への期待が一層高まった。

そんな折りにイタリアは再びコケた。

それでもマンチーニ監督の続投が決まった。

僕はその決定に賛成である。

だが、彼の能力が選手のそれを凌いでチームが勝ち進む、という幻想からは完全に決別すると決めた。

イタリアはやはり、1人あるいは2人の天才プレーヤーを中心に、9人~10人の世界クラスの選手が進撃する形を目指すべきだ。

それがイタリアサッカーの強さであり同時に面白さだ。

イタリアには次なるバッジョ、デルピエロ、トッティ、ピルロが必要だ。

早く出て来いスーパー・ファンタジスタよ!!



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プーチンは死して後も糾弾されるべき罪を犯した 

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プーチン大統領が停戦に応じるのではないかという見方と、逆にさらに険悪な展開に持ち込むのではないかという意見が交錯している。

プーチン大統領が停戦に肯定的らしいという見方は、彼が3月17日、トルコのエルドアン大統領と行った電話会談のあとに広がった。

会談の中でプーチン大統領は、 ウクライナが中立を保つと同時に北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請しないことを条件とする、と一方的に伝えた。

それに対してウクライナのゼレンスキー大統領は、「NATOには加盟できないと認識している」と公言するなどして、譲歩する姿勢を示してきた。

ロシアはまた、ウクライナが中立状態になるために軍縮を完了すること、国内のナチス的勢力を排除すること、同国内でロシア語を保護することなど、メンツを保ちたいだけらしいやや重みに欠ける要求なども明らかにした。

だがプーチン大統領の真の狙いは、ウクライナ東部のドンバス地方の割譲や、2014年に強奪したクリミア半島の永久ロシア領土化などが含まれる、という見方は根強い。

さらにウクライナを2分して、一方を北朝鮮化させる意図もあると言われる。それどころか、大帝国ロシアの復活を目指して、バルト3国ほかの国々に侵攻、併合する計画さえもあるとされる。

プーチン大統領が胸の奥に秘めているかもしれない壮大な計画は、決して荒唐無稽とは言えない。ロシアがウクライナに侵攻した当初は、多くの人々が彼の野望を危惧した。

だがロシア軍が前線で躓き、ウクライナを支持する欧米が速やかに一致団結し、世界の大半も欧米に同調して反プーチンの世論が形成されると、プーチン大統領の大望は挫かれて滑稽な様相さえ呈し始めた。

しかしプーチン大統領自身は、骨の髄まで“密偵”に違いない彼の正体に即して行動し続けた。

平然と嘘をつき、強権を行使して情報統制に躍起になり、核兵器の使用まで示唆して、ウクライナのみならず世界全体を恫喝し続けている。

停戦に向けたウクライナへの要求も、エルドアン大統領との会談後は合意に至るのが不可能な内容に終始。意図的にしか見えない手法とレトリックを駆使して、時間稼ぎを繰り返している。

それでも戦況そのものとプーチン大統領に対する世界の民意は、ひたすら逆風となって吹きまくっているのが実情だ。

国内世論を弾圧している彼には、軍部や側近らが戦況や国際世論の情勢を曲げて伝えて、結果プーチン大統領は多くの判断ミスを犯した、という憶測もある。

それらもいわば情報統制だ。国民を抑圧して情報を遮断し歪めた付けが、プーチン大統領自身への情報規制となって跳ね返ったに過ぎない。因果応報というべきものである。

停戦が実現するか戦争が泥沼化するかはむろん予断を許さない。追い詰められたプーチン大統領が、生物・化学兵器や核兵器を使用する悪夢のような展開の可能性も依然として低くない。

だがどんな経過をたどるにしても戦争は必ず終結する。そのときプーチン大統領がまだ生きているなら、-そしてもしも停戦が明日にも実現する僥倖があったとしても-プーチン大統領は決して許されるべきではない。

人は間違いを起こす。だから罪を犯した者もいつかは許されるべきだ。なぜならその人は間違ったからだ。人が犯した間違いと罪を決して忘れてはならない。だが人は究極には許されるべきである。

それが人と人が生きていく世界の縄墨であるべきだ。人は許しあうときに真に人になるのである、

だがその規範は果たしてプーチン大統領にも当てはまるのだろうか

ロシア側に即して事態を吟味した場合、プーチン大統領の行為にはなるほどとうなずけるような歴史や、事実や、出来事などがないこともない。

だがそれらの“詳細”は、プーチン大統領が「文明世界ではもはやあり得ない」と思われていた侵略戦争をいとも簡単に引き起こし、無辜の人民を殺戮している蛮行によって全て帳消しになった。

彼がたとえ何を言い、弁解し、免罪符を求めても一切無意味だ。それらは全て枝葉末節であり言い逃れであり虚偽となったのだ。

事態核心は、彼が歴史を逆回転させて大義の全くない侵略戦争を始めたことに尽きる。それによって第2次大戦後に獲得された欧州の恒常的な平和が瓦解した。

その重大な事実と共に、ウクライナに殺戮と破壊をもたらした張本人として、プーチン大統領は末代までも指弾されなければならない。

だが彼は、早い段階で停戦に応じた場合、あたかも善行を行ったのでもあるかのように見なされて、なし崩しに罪を許されてしまう可能性も十分にある。

しかし凡人で非寛容な自分は、とても彼を許す気にはなれない。もしも彼が許されるなら、ヒトラーも許されるべきではないか、とさえ思う。それはあり得ないことだ。

ヒトラーは間違いを許されるべき衆生ではない。彼は衆生の対極にいる魔物である。あるいはわれわれ衆生が魔物と規定せずにはいられない異形の存在である。

プーチン大統領はヒトラーではない。彼はユダヤ人ほかの抹殺を目指したホロコーストは「まだ」引き起こしていない。子供たちを含むウクライナの人民を虐殺し、政敵を弾圧しロシア国民を虐げているのみだ。

だがプーチン大統領は、「ヒトラーを凌駕する魔物」とも規定されるべき不吉な縁を性根に帯びている。

つまり、ヒトラー自身はヒトラーを知らなかったが、プーチン大統領はヒトラーを知っている、という真実だ。

彼はその上で、敢えてヒトラーを髣髴とさせる残虐行為に及んだ。

それは極めて危険な兆候だ。

彼はわれわれが性善説に当てはめて、2022年2月24日まで思い描いてきたプーチン・ロシア大統領ではない。ヒトラーと同類の、衆生の向こう側にいる得体の知れない何者かなのである。

われわれはそのことをしっかりと認識しつつ、今後のウクライナ情勢とそれに影響また規定されていくであろう、世界のあり方を見つめ続けるべきだ。

繰り返して言いたい。

人は間違いを犯す。従って間違いによって生まれた罪は許されなければならない。だがプーチン大統領が犯している間違いと罪を許すのは容易ではない。

それは神のみが下せる険しい審判なのかもしれない。




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欧州を怒らせたロシア

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ロシアがウクライナに侵攻して1月以上がたった。戦争は世界中で常に起きている。だが情報開示が進んだ欧州で実戦が出現するのは極めて異例だ。
 欧州は紛争や対立を軍事力で解決するのが当たり前だった、長い血みどろの歴史を経て、話し合いと外交でそれを解決しようとする開かれた民主主義の道を確立した。片やロシアは、いまだそこに至らない未開国であることが明らかになった。情報を隠蔽(いんぺい)し、ゆがめ、意図的に虚偽の消息を拡散するばかりでなく、主権国家に土足で踏み込む蛮行に及んだ。
 欧州各国は、ウクライナ危機が自国にとって対岸の火事ではないことを実感している。ウクライナが陸続きで地理的に近く、かつ欧州の過去の凄惨(せいさん)な殺し合いや大戦の記憶を誰もが共有しているからだ。そして何よりもプーチン大統領が、民主主義の精神とはかけ離れた独善と悪意と暴力志向の強い、異様な指導者であることが再確認されたからだ。
 一貫して西洋の開明と知性の根幹を形成する国の一つであり続けているイタリアは、ロシアがウクライナに侵攻するとすぐに、約400億円をウクライナとNATO(北大西洋条約機構)に献金し、5千人弱の兵士をウクライナ周辺国へ送る決定も下した。加えてウクライナ危機を国家非常事態宣言下に置くことも決めた。それによって政府はコロナ禍中と同様に、緊急の規制や法律を国会の承認を得ることなく施行することが可能になる。
 NATOとEU(欧州連合)の加盟国の全ては、国力に応じてそれぞれがイタリアと同じ役割分担を引き受けている。欧州は自由と民主主義の名において、静かにだが断固とした意志で、プーチン・ロシアに対抗し臨戦態勢に入っている、と形容しても過言ではない。




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雨を待つ間に


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北イタリアは厳しい旱ばつに見舞われている。昨年末からほぼ4ヶ月に渡って雨も雪もまったく降らない。

北イタリアを貫く大河ポーが、枯渇寸前まで水位が下がり大きな問題になっている。

これが夏の出来事なら強い危機感で息苦しさを覚えていたに違いない。それほど異様な雰囲気がある。

昨年夏、イタリアは熱波に襲われた。

南のシチリア島では、欧州で過去最高気温となる48,8℃が記録された。

雨も少なく、暑さとともに乾燥が続いて山火事が相次いだ

冬の間の水枯れが異様に感じられるのは、あるいは昨夏のおどろきの暑さと渇水と山火事の記憶が、未だに強く残っているせいかもしれない。

なにしろポー川が冬に枯渇する様を、少なくとも僕は見たり聞いたりした記憶がない。

僕の季節感覚は、近年は菜園の移り変わりとともに多感になったようだ。雨や雪や日照りや寒暖をしきりに気にする。

今の干天も大いに気になる。

いや、正確に言えば、春が来てそろそろ菜園の準備を始めようと思い立って以来、空を見上げ、雲の動きを追いかけ、しきりに天気予報を気にするようになった。

3月に入ってから少しづつ堆肥を埋め込み、小さな耕運機を動かし、マルチをはずしたり移動したりして準備を進めた。

ここ1週間ほどは動きを加速させた。

それというのも、3月30日の水曜日を皮切りに大雨が降る、との予報が出たからだ。

その前に土つくりを済ませて種をまき、また雨の後の植え付けや播種にも備える作業をひと息に進めた。

土つくりはほぼ完了した。サラダを始めとするいくつかの野菜の種もまいた。

今日は、これからCOSTE(フダンソウ)を直播する。

いつもはプランターに苗を作るが、古い種を整理する意味と直まきトライを兼ねての初の試みである。

その作業を済ませたら、静かに雨を待とうと思う。

イタリアの天気予報は最近はかなり正確だ。

おそらく恵みの雨がやって来るだろう。

ウクライナでは人々が苦しんでいる。

それを思うと心痛は絶えないが、こちら側の時間は不思議に平穏に進んでいる。



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バイデンの勇み足の是非

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ロシアがウクライナへの激しい攻撃を続ける一方で、停戦へ向けての交渉や各国の仲介協議また外交も活発に行われている。

印象としては、プーチン大統領がコワモテの独裁者を実演しつつ、ウクライナ潰しがうまくいかないことへの焦りから、停戦も模索している雰囲気である。

だがその間もプーチン大統領は、ウクライナで無垢な人々を殺戮し続けている、というのが2022年3月28日現在のウクライナ戦争の実相であるように思う。

そんな中でNATOの会議に出席したバイデン大統領が、彼の得意な絶好調失言をやらかして、米政権幹部や欧州首脳らを困惑させた。

バイデン大統領はアメリカに帰る直前、ポーランドのワルシャワで「プーチンはロシア大統領の地位にとどまるべきではない」という趣旨の発言をした。

バイデン大統領はあらかじめ用意されていた原稿を読み終えたあとに、彼自身の思いつきでそう発言して演説を締めくくった。

ありていに言えばバイデン大統領は、「プーチンを権力の座から引きずりおろす」と宣言するにも等しい発言をしたのだ。当然のようにその言葉は激震を招いた。

ブリンケン国務長官をはじめとするバイデン政権の幹部やスタッフは、大統領はロシアの政権の転覆を意図して発言したのではない、と火消しに躍起になった。

またマクロン大統領をはじめとする欧州首脳も発言におどろいて、バイデン発言を批判。

マクロン大統領は「停戦合意を追求するなら、言葉でもアクションでもエスカレートしないようにするべき」とやんわりと米大統領に釘を刺した。

マクロン大統領は戦争勃発以降、3月22日までにプーチン大統領と合計8回、またウクライナのゼレンスキー大統領とも20回近い会談を行っている。停戦に向けて懸命に動いているのだ。

バイデン大統領の失言癖は今に始まったことではない。彼は副大統領時代にも多くの失態を演じ、大統領になってからもその性癖は変わっていない。

バイデン大統領はロシアがウクライナを蹂躙してこの方、プーチン大統領を「凶漢」「人殺しの独裁者」「戦争犯罪者」などと公に罵倒してきた。それらの表現も失言と見なす人々が少なくない。

今回の発言も彼の失言と捉えられている。そして、戦争の激化を避け停戦を模索する西側陣営のリーダーの発言としては、それは失言以外のなにものでもない。

なぜならその言葉が外交慣例にそむき、ロシアを刺激し、なによりもプーチン大統領に絶好のプロパガンダの機会を与えてしまう可能性があるからだ。

プーチン大統領はその言葉尻をとらえて、大義の全くないウクライナへの侵略が、彼の政権を転覆させようと企む西側への対抗手段だ、などとも強弁しかねない。

バイデン大統領の勇み足は従って糾弾されるべきものだ。

だが同時に、人間としてのバイデン大統領の行為は賞賛されるべきものだとも僕は思う。

「プーチンを権力の座から引きずり下ろせ」という思いは、プーチン大統領自身とその取り巻きまた世界中のトランプ主義者及び排外差別主義者以外の誰もが、今このときに胸に抱いている願いではないか。

感情移入が激しいとされるバイデン大統領は、ウクライナを逃れてポーランドほかの国々に避難している多くの子供とその母親たち、また破壊されたウクライナの惨状を間近に見、感じて、人としての憤りに我を忘れたところがあるのだろう。

彼の憤懣もまた世界中のほとんどの人々が共有する感情だ。

バイデン大統領は以前、ロシアが蛮行に及ぶ予兆を知った時に、小規模の侵攻なら制裁しない、といつものボケをかました。

さらにロシアがウクライナに襲いかかると、メリカは軍事介入をしない、言わぬが花の真実を強調しまくるミスなども犯した。

彼はそこでは、「いかなる侵攻も侵攻であり決して許さない」と表明し、「アメリカは軍事介入をする覚悟がある」と示唆して、プーチン大統領をけん制するべきだったのだ。

それらの失言は、彼が老害大統領と陰口を叩かれても仕方がないミスだ。

だがプーチン大統領と彼の周りの権力を、歯に衣を着せずに糾弾する言葉は、人々の思いをストレートに代弁する分、失言とばかりは言えないのではないか。

少なくともプーチン大統領の悪を指摘することで、反プーチン世論を喚起し彼を追い詰めて停戦へと向かわせる効果がないとは言えない。

その一方で、追い詰められたプーチン大統領がさらに凶暴になる、という逆効果を招く可能性ももちろん否定はできないのだが。




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ロシア包囲網でのイタリアの立ち位置

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新聞、テレビ、ネットをはじめとするとするありとあらゆるメディアが、昼も夜もそして真夜中でさえも、ウクライナにおけるプーチン・ロシアの蛮行をこれでもかとばかりに伝え続けている。

戦争は世界中で一日の休みもなく行われている。だが情報開示が当たり前に展開されている欧州で、実戦が進行するのはきわめて異例のことだ。

欧州は紛争や対立を軍事力で解決するのが当たり前だった野蛮且つ長い血みどろの歴史を経て、それを話し合いと外交で解決しようとする、開かれ教化された進歩的民主主義の道を確立した.

片やロシアは、未だそこに至らない未開国であることが明らかになった

情報を隠し、歪め、虚偽を垂れ流すプーチン・ロシアは欧州の一部ではない。それはアジアである

ここで言うアジアとは、民主主義を理解しない中国的、アラブ的、日本右翼的勢力の全てだ。つまり未開で野蛮で凶悪なアジア的精神。

敢えて日本のみに目を向ければ、残虐でどう猛で卑怯な戦闘集団だった旧日本軍と軍国主義日本の過去を直視しようとせずに、むしろそれを隠蔽し否定し都合のよい情報のみを言い立てて、歴史を修正しようとするネトウヨ系排外差別主義勢力のことだ。

自由と民主主義を死守する西側世界は、アジアに属するロシアとは全く逆の社会状況にある。そこでは横暴と欺瞞と悪意に支配されたプーチン・ロシアの情報操作の実態が、あらゆる角度から暴かれている。

欧州の全ての国は、ウクライナ危機が自国にとって対岸の火事ではないことを実感している。ウクライナが陸続きで地理的に近く、且つ欧州の過去の血みどろの大戦や闘争の記憶が人々に共有されているからだ。

そして何よりもロシアのプーチン大統領が、民主主義の精神とはかけ離れた独善と悪意と暴力にまみれた異様な指導者であることが再確認されたからだ。

ロシア包囲網に断固とした意志で参加しているイタリアは、歴史的にロシアと親和的な関係を築いてきた。イタリアが長く欧州最大の共産党を有してきたからだ。同じ動機でイタリアは中国とも親しい

それはだが近代史における政治ゲームに過ぎない。独立心旺盛で自由な都市国家が統一国家イタリア共和国の真髄である。イタリアの核心は政治ゲームの主体ではなく、それらの都市国家がもたらす多様性なのである。

国家構成の基底に多様性が居座っているイタリアは、対外的にも多様で実践的な政治体制を維持している。敢えてひとことで分かり易くいえば、イタリアは世界中のあらゆる国と親和的なのである。少なくともその意志を秘めて世界に対しているのがイタリア共和国だ。

それは八方美人とか日和見主義を意味するのではない。自立志向の強い都市国家群を統一国家内に含む場合の必然の帰結である。言葉を変えれば中央政府は、国内にある多種多様な意見や意思を絶えず尊重し耳を傾け続けなければならない。

そのスタンスは対外的にも増幅されてイタリア共和国の立ち位置を規定していく。つまりそこでも多様性を重視する姿勢になる。イタリアは歴史的にもまた思想的にも、誰とでも共存しなければならない性根を持っている。あるいは誰とでも親和的でなければならない性根に縛られている。

イタリアとロシアは、地理的には遠い間柄ながらも、歴史的に良好な関係を保ち続けてきた。専門家の中にはその状況を指して「イタリアは欧州におけるロシアのもっとも親しい国である」と断定する者さえいる。

イタリアはプーチン大統領自身とも友好的な関係にある。その善し悪しは別にして、現代イタリア最大の政治的存在であるベルルスコーニ元首相は、プーチン大統領とは親友同士とさえ呼べる仲である。

86歳の元首相は2022年3月19日、性懲りもなく53歳年下の女性と3回目の結婚式を挙げた。彼の友人のプーチン大統領は、ウクライナへの暴力行使で忙しくしていなければ、あるいは結婚式に出席していたかもしれない。

また極右政党「同盟」と「イタリアの同胞」のサルヴィーニ、メローニの両党首は、相変わらずプーチン大統領を賞賛して止まない。イタリア中がプーチン大統領の残虐な戦争に怒りをあらわにしているため、彼らも戦争反対と口では言っている。だが本心は相変わらずプーチン万歳というところだろう。

ポピュリストの彼らは時勢が右といえばそれに追随し、左といえばそれに媚びる。節操もなく信義もなく核もない。あるのは粗暴で抑圧的な感情と怒りだ

そして極右の2政党とベルルスコーニ党が手を組んで選挙に臨めば、イタリアは世論調査の数字上は、明日にでも彼らに統治されることがほぼ確実な情勢だ。

だがそれらプーチン愛好家の人々の願いも空しく、イタリア政府は今のところはNATOまたEUとぴたりと歩調を合わせてロシアに歯向かっている。そしてロシアは、イタリアを敵性国家と規定しエネルギー供給を止める、などと脅してさえいる。

イタリアはエネルギー源であるガスの90%を国外から輸入している。そして総輸入の45%がロシア産である。イタリアはEU加盟国の中では、ガスの5割以上をロシアから購入しているドイツに次いでロシアへの依存度が高い。

2014年~15年のクリミア危機では、イタリアの当時のレンツィ政権は、ロシアと関係が深い国内のエネルギー業界の抵抗に遭って、ロシアに対して強硬措置が取れなかった。ドイツも同じ状況だった。

だが両国は、今回のロシアの蛮行に際しては揃って立ち上がり、他の国々と歩調をあわせてロシアに対峙している。

イタリアが速やかに行動できたのは、ドラギ政権の力によるところが大きい。

2021年に政権を握ったマリオ・ドラギ首相は、ほぼ全ての政党が一致団結して政権を支持している事実と、首相自身の求心力の強さを背景にEUにぴたりと寄り添い、対ロシアへの強硬路線を取っている。

イタリアはロシアがウクライナに侵攻して間もなく、11千万ユーロをウクライナ政府に提供すると表明した。またNATOには、今後2年間であらたに17400万ユーロの貢献をすることも決めた。同時にウクライナ難民には難民申請を出さなくてもイタリア滞在が可能になる措置を取っている。

さらにイタリアは、ひとまず合計約5000人の兵士をウクライナ周辺国へ送る決定も下した。ハンガリーとルーマニアにはそのうちの3500人が派遣される。ルーマニアでは同国の空軍をイタリア空軍が指導しサポートする。

加えてイタリアは、ウクライナ危機を国家非常事態宣言下に置くことも決めた。それによって政府はコロナ禍中と同様に、緊急の規制や法律を国会の承認を得ることなく施行することが可能になる。

イタリアを含む欧州は、静かにだが断固とした意志で、プーチン独裁政権に対抗して臨戦態勢に入っていると形容しても過言ではない。





サラミを手土産に早く日本に帰りたい

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まだ希望的観測の類ではあるものの、コロナが終息しそうだからと、日本帰国に備えてお土産を考え始めた。

するとそこにウクライナ危機が勃発して、気分が元の重さに逆戻りしてしまった。

コロナも戦争もなく、欧州もむろん日本も平和だったころ、僕は新聞に次のような趣旨のコラムを書いた。


               イタリアみやげ

かさばらない、腐らない、気どらない。それでいてイタリア的、とういうのが僕の日本へのおみやげ選択の条件である。例えばとてもイタリア的なものであるワインはかさばる。またうまいチーズや生ハムは腐りやすい。デザイン系の装飾品やファッションなどは気どる。試行錯誤を経てたどりついたのがサラミである。

サラミはかさばらず、腐らず、気どらず、しかも大いにイタリア的である。イタリアの食の本筋である肉のうま味が凝縮されていて、そのうえ優れた保存食という重大な一面もある。ところが、サラミは都会の人々には好まれるものの、田舎ではあまり人気がない。生ハム等に比べると香りや味に特徴があって、慣れない者には食べづらい印象もある。そのせいかどうか、たとえば東京あたりの友人知己には喜ばれるが、地方では人気がない。

僕の故郷の南の島々では、豚肉がよく食べられるのに豚肉が素材のサラミはもっと人気がない。地方の人は日本でもイタリアでも新しい食べ物を受けつけない傾向がある。いわゆる田舎者の保守体質というものであろう。

生まれも根っこも大いなる田舎者である僕は、白状すると、イタリアに来て丸2年間ほぼ毎日食卓に出るサラミを口にできなかった。2年後に思い切って食べてみた。

以来、今ではサラミや生ハムのない食事は考えもつかない。

僕は自分が体験した喜びを親しい人々に味わってもらおうと、いつもサラミを島に持ち帰っている。だが、歓迎されないおみやげは贈る自分もあまり喜ばず、正直少し疲れを覚えないでもない。


日本はその後、、口蹄疫、ASF(アフリカ豚熱)、高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の侵入を防ぐため、という理由で海外からの肉や肉製品の個人持込みを禁止した。

僕のイタリア土産の主力打者であるサラミももちろん持ち込み禁止になった。

イタリアは衛生管理の厳しい先進国である。言うまでもなくサラミや生ハムほかの製品は、峻烈な生産工程を経て店頭に出る。

しかもイタリアの加工肉の種類の豊富と品質は、日本が逆立ちしてもかなわない。またその安全性はまぎれもなく世界のトップクラスである。

肉製品だけに関して言えば、あるいは日本のそれよりも安全であり安心できるとさえ感じる。

なので僕は、サラミの日本への持ち込み禁止措置なんて一時的な対策に過ぎない。すぐに解除になると考えた。

ところがどっこい2019年、禁止措置は強化されて、海外からの畜産物の持込みには3年以下の懲役、または最高100万円の罰金が科されることになった。

しかもそれだけでは終わらなかった。

翌2020年7月には家畜伝染病予防法が改正され、懲役は同じだが罰金は最高300万円にまで引き上げられたのである。

正直、目が点になった。鎖国メンタリティーの日本の面目躍如、と思った。

コロナ禍中での外国人締め出し措置に似た、日本独特の異様な政策だと今も思う。

趣旨は分かるのである。島国の利点を活かした厳格なやり方で、合理的に行えば感心できる。

だが、日本人と外国人の区別をしないウイルスをつかまえて、日本人の入国はOKだが外国人はNGというのでは、排外差別主義的な政策だと批判されても仕方がない。

肉製品の全面持込み禁止措置は、むろんコロナ政策と同じではない。が、コロナ対策に似たいわばヒステリックな思い込みが見え見えでうっとうしい。

あえてイタリアと日本の間柄だけに限って言う。

イタリアの加工肉の最高傑作である生ハムやそれに匹敵するサラミの日本への持込み禁止は、例えばイタリア政府が「イタリアでは寿司や刺身の消費を厳禁する」と言い張ることがあるとしたなら、それと同じ程度に愚劣きわまりない施策である。




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プーチン命、と叫ぶ極右の行き当たりばったり


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イタリア極右政党「同盟」のサルビーニ党首が、ウクライナ国境に近いポーランドの町 プシェムィシル(Przemyśl)で、赤っ恥をかく失態を演じた。

彼はウクライナ難民を支援し連帯感を実地に表明したいとして、ウクライナからの難民が多く流入する同地を訪れた。

ところがプシェムィシルのヴォイシェク・バクン(Wojciech Bakun)市長は、サルビーニ党首がプーチン大統領の信奉者であることを問題にして、共同記者会見の場で面と向かって同党首を罵倒した。

バクン市長は、プーチン大統領の似顔絵と彼を称える文句がプリントされたTシャツを持ち出して、サルビーニ党首の目の前に掲げた。そして言った。

「ここにはあなたが友達と呼ぶプーチンのせいで故郷を追われた人々が、1日に5万人も国境を越えてやってきます。あなたがこのTシャツをまた着る勇気があるなら、それを着たままで難民センターまで案内して差し上げます。恥知らずめ!」

サルビーニ党首は、過去に何度もそのTシャツと同じものを着てプーチン大統領への友情と団結を呼びかけてきた。バクン市長はそのことをよく知っていて公衆の面前で彼に雑言を浴びせたのだ。

サルビーニ党首はあっけに取られて、それからか細い声で「私は難民を支援し母親や子供たちを助けたいと思っている」と返し、そそくさとその場を離れた。


赤の広場のサルビーニ

彼の背中には人々が、恥知らず、帰れ、などと叫んで追い打ちをかけた。

サルビーニ党首は反移民や反EUを標榜し、排外差別主義色の強い主張や政策を推し進めることで知られている。彼はフランス極右のマリーヌ・ルペン氏とも親しい。

サルビーニ氏はまたトランプ主義者でもある。

彼は米大統領選挙キャンペーン中の2016年、アメリカを訪れてトランプ候補との面会を求めた。だがトランプ候補は、「Salvini who?(サルビーニなんて知らねえよ)」と側近にもらしただけで取り合わなかった。

そのエピソードは当時、「サルビーニの“赤っ恥”事件」としてイタリアのメディアを沸かせた。

サルビーニ党首は今回、ポーランドとウクライナの国境の小さな町で、再び赤っ恥をかく事件を起こしてしまったわけである。

しかし、サルビーニ氏の名誉のために次のことも付け加えておきたい。

欧州の右派、特に極右勢力は、ロシアのウクライナ侵攻によって窮地に立たされているケースが少なくない。彼らはサルビーニ氏と同様にプーチン大統領を支持してきた。

欧州はウクライナを侵略し民主主義の王道を土足で踏みにじったプーチン大統領の蛮行に驚愕し、憤り、速やかに大同団結して立ち上がった。

通常はそれぞれの利害に絡めとられて、足並みが乱れがちな欧州各国がすばやく結束したのは、恐らくプーチン大統領にとっても想定外の出来事だったに違いない。

欧州の怒りはプーチン大統領を支持してきた極右勢力にも向けられている。

例えば1ヶ月後に投票が行われるフランス大統領選で、極右のルペン、ゼムール両氏への支持が急落しているのも、欧州の怒りを招いたプーチン効果のせいだと見られている。

ロシアの蛮行への欧州の怒りはとてつもなく大きいのだ。

サルビーニ党首が恥をかかされたのは、自業自得という面もむろんあるが、歴史の転換点に立つ欧州の暴風が、蒙昧な男を思いきり吹き飛ばした感があるのも否めない。






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独裁者の首~プーチンが堕ちる夢を見た

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NATOもEUも日本も、また中国とその追従者以外の世界の全ての猫も杓子も、ウクライナを全面的にモラル・サポートしている。

のみならず、武器や物資や金銭などの物理的なサポートもしている。

加えてロシアとベラルーシ以外の欧州の全ての国が、ウクライナ難民を大手を広げて受け入れている。受け入れる態勢でいる。

返す刀で、それらの全ての国と国民がロシアを、いやモンスターのプーチン大統領をこぞって指弾し唾を吐きかけている。

だが、全てのウクライナ支援国は、同時にウクライナを見殺しにしている。

軍事介入をしないからだ。

ウクライナに軍事介入をしないのは正しい。なぜなら軍事介入は高い確率で第3次世界大戦を招く恐れがある。

同時に、軍事介入をしないのは悪だ。ウクライナとウクライナの人々を見捨て、子供たちを爆撃の炎火の中に置き去りにするからだ。

そしてなによりも、無慈悲なラスボス・プーチン大統領を、したい放題にのさばらせるばかりで、いつまでも天誅を下せないからだ。

プーチン大統領への究極の天誅は、軍事力によってのみ完遂される。

経済制裁も最後には彼を破滅させるだろう。

だがそこに至るまでに、余りにも多くのウクライナ人民の犠牲と屈辱と苦悩が生み出されることになる。

だから彼はその前に排除されるべきだ。

NATOの超ド級の知略と権謀と軍略のネットワークは、いま必死にその道筋を探求しているに違いない。

いうまでもなくそれは、技術的にも物理的にも不可能に近いミッションだ。

だが成否は一旦さておいて、不可能を可能にしようとするのも、また彼らの任務なのである。






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独裁者プーチンが処刑される日  

ミモザ

3月の10日前後には何かと気にかかることが起きる。

3月8日は女性の日。イタリアではミモザ祭りと呼ばれている。

そのことについてはほぼ毎年のようにここでも書いているが、ちょうど10年前にも次のように書いた。

女性の日は元々、女性解放運動・フェミニズムとの関連が強い祭り。20世紀初頭のニューヨークで、女性労働者たちが参政権を求めてデモを行なったことが原点である。

それが「女性の政治参加と平等を求める」記念日となり、1917年にはロシアの2月革命を喚起する原因の一つにさえなった。

1975年には、国連が3月8日を「国際婦人デー(日)」と定めた。

しかし、この「国際婦人デー(日)」が、目に見える形で今でもしっかり祝福されているのは、僕が知る限りどうもロシアとイタリアだけのようである。

ロシアでは革命後、3月8日を女性解放の日と位置づけて祝ったらしい。だが今ではフェミニズム色は薄れて女性を讃え、愛し、女性に感謝する日として贈り物をしたりして寿ほぐ日になった。

ロシアの状況はイタリアにも通じるものがある。

イタリアでは3月8日には、ミモザの花を女性が女性に送るとされる。それには女性たちが団結してフェミニズムを謳歌する、という意味合いがある。

が、実際にはそう厳密なものではなく、ロシア同様にその日は女性を讃え、愛し、女性に感謝をする形がほとんどのようである。

男が女にミモザの花を贈るという習わしは実は、元々イタリアにあったものである。恐らくそのせいだと思うが、女性の日をフェミニズムに関連付けて考える人は、この国にはあまり多くないようだ。


ことしの3月8日の女性の日もロシアが大きく関わった。プーチン大統領がウクライナの女性たちを虐殺している暗黒の日だ。

また2020年の3月10日には、コロナに蹂躙されて地獄に落ちたイタリアが、ついに前代未聞の全土ロックダウンを敢行した。

その翌日3月11日は、いわずと知れた東北大震災の大きな記念日だ。

そして日にちが3月10日周辺からは少しずれるものの、ことしの2月24日も「ロシアのウクライナ侵略の日」として歴史に残るだろう。

その黒い記録の日は-いつになるかは神のみぞ知るだが-モンスター独裁者「ウラジミール・プーチンの処刑日」とペアになって語り継がれることになるのではないか。

語り継がれる日になってほしい。

できればその日が来年か再来年あたりの3月10日前後になれば、記憶に残りやすい。プーチンに死を。。。

と僕は重い心でひそかに願いつつ2022年の3月8日を過ごした。





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プーチンの冷ややかな狂気

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2月26日、ぼくはこのブログに

“アメリカが先導する民主主義陣営は、ウクライナがロシアに自在に蹂躙されるままに、哀れなウクライナを見捨てるだろう。

ウクライナを見捨てることでNATO加盟国を守り、自由主義世界全体の経済権益も守るのである。

そうやって海千山千の逆賊プーチンはますます強くなり、中国のおきて破りの習近平は、香港を破壊した勢いで台湾を踏みにじり、尖閣を掻っさらって沖縄を強奪し、さらに九州へと魔手を伸ばしていく可能性がないとは誰にも言えない”

書いた

それから10日後の今日、残念ながらぼくはその思いをあらためて強くした、と言わなければならない。

2月24日のウクライナへの侵攻開始以降、ロシア軍は大方の予想に反して進軍にとまどい、停滞し、混乱さえしていると見られてきた。

それはプーチン大統領が、多くのことを見誤り、計算違いを犯し、判断をし損ねたからではないか。

具体的には自軍の力量を過大評価したり、逆にウクライナ軍の力を過小評価した。ウクライナ国民の抵抗も軽視した可能性がある、ということなど。

そして僕は、プーチン大統領が犯した少なくない数の失策の中でも最大のミスは、アメリカが主導する西側世界が、反ロシアで一気に結束することはない、と予測したことではないかと考えた。

自由と民主主義また多様性を重視する西側世界は、同じ価値観を共有することで各国が友好親和的な関係を保っている。だが、まさにその共通の価値観ゆえに時として足並みが乱れる。

各国の足並みの乱れも自由主義社会のいわば美点なのだ。なぜなら足並みが乱れるのは、それが全体主義体制下での出来事ではないことの証しだから。

西側は2014年、例によって各国の足並みが乱れたために、ロシアによるクリミア半島の併合という蛮行を阻止できなかった。

当時はドイツやイタリアなどがロシアへの強烈な経済制裁に難色を示した。両国は、そして特にドイツは、エネルギーを大きくロシアに依存しているからだ。

自由主義陣営はしばしばそうした混乱に陥る。繰り返すが、そこがまさに自由な民主主義社会だからである。

プーチン大統領は、足並みの乱れからくる西側世界の弱さを見抜いていて、今回の悪行にも自信を持って臨んだ。

ところが彼の思惑とは裏腹に、自由主儀陣営はただちに結束して、最大の難関とされたSWIFTからのロシアの締め出しなどを即決した。

従来はクリミア併合危機で見られたように、エネルギーをロシアに大きく依存しているドイツが徹底して反対するため、発動できないのが習いだった。

だが今回はドイツは、自国の痛みを覚悟でロシアへの制裁措置を受け入れた。ドイツに次いで多くのエネルギーをロシアに依存しているイタリアも、迷うことなく賛成した。

そうやって西側は一致団結した。プーチン大統領はそのことにおどろき、進軍はしたものの挫折したロシア軍の弱さに苛立ち、西側をけん制しようとして-そのこと自体があらたな失策であることに気づかないまま-「核兵器を使用する」とまで示唆して、世界のさらなる反感を買った。

彼は錯乱しているという憶測さえ生まれた。それは誇張が過ぎるとしても、少なくとも彼は冷静さを失い、ノーと言える側近が周りにいない独裁者の常で、ますます暴走する可能性が高まっていると見られた。

ところが3月3日、プーチン大統領は「自ら申し出て」フランスのマクロン大統領と電話会談をした。

彼はそこで「何があってもウクライナでの軍事作戦を完遂する」と主張。軍事作戦は計画通り進んでおり、ウクライナが非軍事化などの条件を受け入れなければ作戦を続けると明言した。

それに対してマクロン大統領は、あなたはうそをついている。ロシアはこの作戦によって世界から孤立し、制裁によって経済破綻に陥る。高いコストを払うことになる、と「型通りの」反論をした。

「型通りの」反論とは、第3次世界大戦を恐れてロシアとの軍事衝突を避けようとする自由主義陣営の指導者は誰もが、今この時はマクロン大統領と同じ言葉で反論するしかないからだ。

マクロン大統領とプーチン大統領は親しい仲だ。彼らの電話会談は1時間半にも及び、お互いに言いたいことを言い合ったという印象がある。

ちなみにプーチン大統領は、ここイタリアのベルルスコーニ元首相、トランプ前大統領、安倍元首相など、少々いわくつきの男たちと親しいことで知られている。

一方で彼が、民主主義の原理原則と、開明主義また政治的正義を死守しようとする自由主義陣営の指導者の中では、比較的「まとも」なマクロン大統領と仲が良いのは意外な事実だ。

2人の指導者の論争が端的に示しているのは-マクロン大統領ではなくプーチン大統領自身が電話会談を申し入れた時点で明らかになっていたように-プーチン大統領は錯乱などしていなくて、マクロン大統領すなわち自由主義陣営は、プーチン大統領のウクライナ侵略を止められない、という厳しい現実だ。

つまりロシアは、強力な経済制裁によって将来は弱体化する可能性が高いものの、プーチン大統領の思惑通り一旦はウクライナ全土を支配下に置く。最低でも国土を分割して一部を自らの属国にしてしまう。

言葉を替えれば、西側はやはりウクライナを見捨てるのである。

今この時の状況から判断すれば、短期的にはそれがウクライナ危機の行く末だと考えられる。

だが長期的には-民主主義体制側が大同団結してロシアへの強力な経済制裁を続けるならば、という条件付きだが-プーチン大統領が敗北する可能性のほうがはるかに高いと思う。

SWIFT事案ほかの自由主義陣営のロシアへの経済制裁は、それほどに強力なものである。

だがNATO構成国とその味方である日本を含む世界の多くの国々は、一時的にはロシアの横暴を渋々認めざるを得なくなるだろう。それを見て、中国が台湾への侵攻を開始するかもしれない。日本を巻き込む危険と共に。

その可能性を完全否定する人々もいる。ウクライナを侵略したロシアの論理と、台湾を狙う中国の行動規範は違う、というもっともらしい理由を持ち出して。

だがまともな理論や国際法など無視して、やりたい放題をやるのがロシアであり中国だ。

クリミアやウクライナ、香港やチベットほかの歴史、また現実を見ればそれは明らかだ。それらのならず者国家には、残念ながら議論のための「まともな議論」など全く役に立たないのである。

可能性は低いが別のシナリオも考えられる。

自由主義陣営の支援を受けてウクライナが激しい抵抗を続け戦闘が長引いた場合、プーチン大統領には国内から強力な逆風が吹きつける可能性がある。

西側の巨大な制裁がロシア経済を破壊して、疲弊した国民の怒りがプーチン大統領に向けられるのである。

そうなった暁には、プーチン大統領は単に失脚するのではなくルーマニアのチャウチェスク、リビアのカダフィ、イラクのサダム・フセインほかの独裁者と同じ悲惨な最期を迎えることになるだろう。

たとえそうはならなくても、プーチン大統領には勝利は舞い込まない。ウクライナ支配と引き換えに、この先彼は世界の怒りと侮蔑にさらされて生きていくことになる。

だが、最後になったが、考えることさえ憚られるもっと恐ろしい、もっと不快なシナリオももちろんある。

今後の展開によっては、プーチン大統領が行き詰まって核攻撃のボタンを押す事態だ。

あり得ないとは断言できない。

彼はあり得ないと考えられたウクライナへの侵攻を実践した、冷徹な意志と狂気を秘めた怪異なのである。





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返り血を浴びる覚悟でロシア経済を徹底的に叩けば第3次世界大戦は避けられる

地下壕に非難す る子供たち(il messagero)650

ウクライナの首都キエフで、ロシア軍の爆撃に追われて地下壕に避難し震えている、多くの子供たちの姿が人々の涙を誘っている。

バイデン大統領は、エスカレートするロシア軍のウクライナへの蛮行を非難して、ロシアへの経済制裁に代わる措置は第3次世界大戦だ。だがそれはありえない、と言明した。

その言葉を後押しするように、EUを含むアメリカの同盟国は「ロシアの銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除する」と発表した。

共同声明には欧州委員会とフランス、ドイツ、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカの首脳が署名した。

ロシアへの厳しい経済制裁が発動される場合、国際決済システムSWIFTからロシアの金融機関を締め出せるかどうかが鍵とされた。

ロシアとの取引が多いドイツなどが強く反対していたからだ。だがロシアのウクライナ侵略はあまりにも重大だとして、ドイツも折れた。

SWIFTは国境を越えた決済、送金、資金の移動等が速やかにできる仕組みである。は世界中の11000以上の銀行や金融機関が加盟している。

SWIFTから締め出されることで、ロシア経済は大きな打撃を受ける。

また欧州委員会と前出の6ヶ国は、高額の投資をしたロシアの富裕層に与えられる、いわゆる「ゴールデンパスポート」も制限すると決めた。

それらの富裕層は、投資と引き換えに欧米諸国の国籍を取得し、欧米の金融機関を利用してプーチン政権を陰に陽に支援しているとされる。

ロシアがSWIFTから切り離されたのは大きな出来事だ。

しかし、それだけでロシア経済が完全に麻痺して戦争遂行が不可能になるかどうかは分からない。

SWIFTから排除されたのはロシアのすべての銀行ではない。またSWIFT以外のルートでの取引方法もある。

加えてロシアを支援する中国とその友好国が、SWIFTとは無関係なルートでロシアとの取引を

維持して制裁の抜け道を作る可能性もあるだろう。

「ロシアへの経済制裁に代わる措置は第3次世界大戦だ」というバイデン大統領の表現は、言い換えれば「ロシアへの経済制裁は第3次世界大戦に匹敵するものでなくては意味がない」ということだ。

SWIFTにつづくロシアへの峻烈な経済攻撃が速やかに且つ連続して繰り出されるべきだ。

第3次世界大戦の危険を避けるためには、第3次世界大戦に見合う規模での経済的犠牲さえ払う覚悟が必要ではないか。

つまり大きな返り血を浴びる覚悟で、ロシア経済を徹底的に破壊することだ。しかも迅速に。




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プーチンとシューキンペーがまもなく世界を支配するかも、かい? 


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ウクライナ危機に関しては、あらゆる人の勝手気ままな分析や意見や感想や予測などを尻目に、プーチンとバイデンの両大統領、ゼレンスキー大統領、そして英独仏の首脳など、当事者たちの動きや発言を逐一追いかけていた。

ロシアがウクライナに攻撃をしかけたところで思ったことがある。

つまりバイデン大統領は、諜報とロシアのクリミア併合などの直近の史実から、ロシアの軍事侵攻をほぼ正確に予測していながら何もしなかった、あるいは何もできなかった、ということである。

同時にプーチン大統領は丸ごと悪であり、性善説に基づく慈悲や惻隠の情や人間味などを、決して彼に期待してはならないということも明らかになった。

バイデン大統領は、ロシアが軍事侵攻はしないと言い続けていたころから、逆にロシアはまもなく侵攻を開始する、と繰り返し言明してきた。

ウクライナ東部の親ロシア勢力が政府軍に攻撃されたというフェイクニュースをロシアがでっちあげて、そこにいる自国民を救済するためとか、親ロシア派の人々をウクライナの虐殺から守る、などの理由をこじつけてウクライナを侵略する、と言い張ったのである。

それに対してプーチン大統領は、ウクライナには侵攻しないと示唆し、クレムリンを訪れた独仏などの首脳に対しても、「ウクライナに侵攻する気はない」としゃあしゃあと述べ続けた。

だがプーチン大統領は、その間もウクライナへの軍事作戦を周到に考え続けていた。狂言強盗も真っ青の役者ぶりである。

さらにプーチン大統領は、冬季オリンピックにかこつけて中国の習近平国家主席と会談。

密約を交わした。

つまり冬季オリンピックが終わるまではプーチン大統領はウクライナを攻撃しない。だが彼が攻撃を開始した暁には、中国はロシアへの支持を表明する、というもの。

そして中国は、プーチン大統領のウクライナ攻撃を積極的に支持する言葉こそ使わなかったものの、ロシア支持を鮮明に打ち出した。

片やNATOリーダーのバイデン大統領は、ロシアが小規模の侵攻に留めるなら制裁しない、といつものボケ失言などもかまして顰蹙を買った。

さらにウクライナにはアメリカ軍は介入しない、と言わぬが花の真実を強調しまくるミスなども犯した。

それはまるで、ロシアにどうぞ侵攻してください、とでも言わんばかりの稚拙な対応だ。このあたりが失言王の老害大統領、と彼が陰口を叩かれるゆえんだ。

そうではあるが、しかし、バイデン大統領の予言、つまり米諜報機関の情報はおどろくほど正確なものだった。

なにしろプーチン大統領は、バイデン大統領の予告をほぼ全面的になぞるような形でウクライナに侵攻したのだから。

プーチン大統領は、ロシアは最強の核兵器保有国のひとつ、とタブーのフレーズまで発して世界を恐喝。

だがそれでも、民主主義の良心とまともな思考力を持つNATO 諸国は、即座に反撃はできない。

たとえ言葉上とはいえ、NATO側も核を火遊びの対象にしてやり返せば、全面核戦争の悪夢が現実味を帯びかねないからだ。

結局、自由主義陣営のNATOとバイデン大統領ができることは、やはりロシアへの経済制裁である。

だが経済制裁は、軍事介入に比べて極めて効力が小さい。それは歴史が繰り返し証明している。

通りいっぺんの制裁ではダメなのである。

通り一遍の制裁とは、制裁相手のみが打撃を受ける制裁のことである。

そうではなく、制裁の効果が自国経済に跳ね返って、制裁をかける側も大きな打撃を受ける制裁こそが、真に強力な罰則である。

NATO側は、欧米全体と日本またそのほかの世界のすべての民主主義国家を巻き込んでの、そんな巨大な経済制裁をロシアに科すべきである。

ロシアは、中国を筆頭にする世界の独裁また強権主義陣営を相手に貿易を行うことで、民主主義陣営が科す経済制裁のダメージを最低限に抑えよう目論んでいる。

だが自由主義陣営が、真に自らの大きな損失と疲弊を覚悟でロシアを締め付ければ、戦争を仕掛けずにロシアを確実に損壊させることができるだろう。

それは同時に、ウクライナ危機とロシアの行く末をじっくりと観察、分析している中国を叩くことでもある。

ロシアがこのままウクライナの略奪に成功すれば、中国は足並みが乱れ勝ちな民主主義陣営が組しやすいと見て、たちまち台湾への侵攻を決意するかもしれない。

ロシアがウクライナ危機で全面勝利を収めれば、それはそっくりそのまま中国の勝利でもある可能性が高いのである。

その意味でも、中国の後ろ盾も得て猛り狂っているように見えるプーチン大統領の野望は、必ず粉砕されなければならない。

だが悲しいことに、民主主義陣営の各国がそれぞれの大きな犠牲を受け入れて、そこまで深く結束することはあり得ないだろう。

誰もが自国の利益に目が眩んでいる。

つまるところ、アメリカが先導する民主主義陣営は、ウクライナがロシアに自在に蹂躙されるままに、哀れなウクライナを見捨てるだろう。

ウクライナを見捨てることでNATO加盟国を守り、自由主義世界全体の経済権益も守るのである。

そうやって海千山千の逆賊プーチンはますます強くなり、中国のおきて破りの習近平は、香港を破壊した勢いで台湾を踏みにじり、尖閣を掻っさらって沖縄を強奪し、さらに九州へと魔手を伸ばしていく可能性がないとは誰にも言えない。

NATO もその他の世界の自由主義勢力も、そして尖閣と沖縄と九州を含む日本国全体も、ロシアの蛮行を指をくわえて見過ごせば、取り返しのつかない事態が連鎖的に起きるかもしれないことを、はっきりと意識しつづけるべきである。




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ジョコビッチ神話のプッツン

djokovic DeviantArt 切り取り650

反ワクチン主義者のノバク・ジョコビッチ選手が、オーストラリアオープンから締め出されて以来初めて、英BBCテレビの単独インタビューに応じた。

彼はそこで今後もワクチンを打つつもりはないと示唆し、そのために全仏オープンやウインブルドンなどの世界大会に出場できなくなっても構わない、とも明言した。

なぜそこまで思いつめるのか、という質問には

「自分の体内に何を入れるかを自分で決めたいからだ。私は常に自分の体に合うことをしている。健康や栄養に気を遣うことでアスリートとしての能力を高めてきた」

という趣旨の説明を返した。それはつまり、ワクチンは自分の体に合わないから接種しない、という主張にも聞こえる。

だが新型コロナワクチンは、これまでに世界中で100億回以上の接種が行われ、世界人口の約6割が接種を受けた。安全と効果については十分以上の知見がある。

普及している全てのワクチンはごくまれに重い事故が起きたり、それよりも多い頻度で軽い副反応が起きたりもする。

副作用や副反応のない薬というものは世の中には存在しない。コロナワクチンも同様だ。

ワクチンの安全性はこれまでのところ驚異的とも呼べるほどに高く、重症化や死亡を防ぐ効力も強力であることが明確になっている。

それにもかかわらずにジョコビッチ選手がワクチンは自分の体に合わない、と主張するのは不合理を通り越してほとんど笑止だ。

コロナウイルスも体に合わないものだ。だからわれわれの体内に侵入してわれわれを苦しめ重症化させ、最悪の場合は死に至らしめる。

一方、ジョコビッチ選手が体に合わないと主張するワクチンは、われわれの体内に入ってウイルスからわれわれを守りわれわれを救う。

そしてジョコビッチ選手も、天才的なテニスプレイヤーとはいえ、われわれのうちの1人であることは疑いがない。

ジョコビッチ選手は世界ランク1位の一流中の一流のプレイヤーである。だから彼が自分自身の体を気遣い、食事や栄養など体内に取り込むものに神経質になるのは理解できる。

そういう注意深い、克己心の強い選手だからこそ彼は世界一になった、という見方さえできる。

また、その信念に殉ずるためには、世界規模の大会に参加できなくても構わないという決意も、考え方によってはすばらしいものだろう。

だが一方でその頑なな考えは、根拠のないデマや陰謀論に影響されてワクチン反対を叫ぶ過激派の人々のそれにも酷似している。

ワクチン接種を拒否する個人の自由は飽くまでも保護されなければならない。だから百歩譲ってジョコビッチ選手が正しいとしよう。

だがコロナパンデミックに支配された社会全体は自由を失っていて、社会全体の自由があってはじめて担保される個人の自由は、それに伴い消滅している。

社会全体の自由を奪ったパンデミックは、集団免疫によって終息させることができる。そして集団免疫は、社会の構成員の全てがワクチンを接種することで獲得できる。

そうやってワクチンの接種は社会の構成員全員の義務になった。ワクチン接種は個々人をウイルスから守るだけではなく社会全体を守り、従って社会全体の自由も奪回するのだ。

社会に抱かれて個人の自由を享受しながら、その社会がコロナによって自由を奪われている危機的状況下で、個人の自由のみを主張するのは狂気の沙汰だ。

社会全体の自由がないところには個人の自由など存在しない。

社会全体の自由が存在しないところとは、ナチズムやファシズムや軍国主義下の世界であり、独裁者や独裁政党が君臨する社会のことであり、今われわれが体験しているコロナに抑圧支配されている社会である。

ワクチン接種は、社会全体の失われた自由を取り返すために、前述の如く誰もが受けるべき義務、と化していると考えられる。

ジョコビッチ選手は自由な社会に存在することで彼個人の自由のみならず、通常よりも多くの経済的、文化的、人間的な恩恵を受けてきた。なぜなら彼は有名人だからだ。

それでいながら彼は、受けた恩恵への見返りである社会への責任と義務を履行することなく、利己主義に基づいた個人の自由ばかりを言い立てている。

それは実は、少数だが世界中に存在する、ワクチン接種を断固として拒否する過激派の人々とそっくり同じ態度だ。

反ワクチン過激派の人々の見解はほぼ常に狂信的な動機に基づいている。それは彼らの宗教にも似たカルトなのである。

彼らと同じ根拠を持つジョコビッチ選手の反ワクチン主義は、今後も矯正が不可能であることを示唆しているように思う。

従って彼がテニスの世界大会から締め出されるのは、やはりどうしても仕方がないこと、と見えてしまう。



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先祖返りするイタリア

鈴蘭?白650

イタリア憲法裁判所は安楽死の是非を問う国民投票を実施しない、と審判を下した。

2月15日のことである。

イタリアでは安楽死を合法化しようという気運が高まって昨年8月、国民投票を求める署名運動が75万人を突破した。

この国では50万人以上の署名で、国民投票を要求できる決まりがある。

だが憲法裁判所は、国民投票で安楽死が認められれば、憲法が保障する最低限の生命保護の義務が守られなくなる、として弱者への配慮を示す形でこれを否定した。

イタリア生命倫理委員会は昨年11月、安楽死を切望する四肢の麻痺した40歳の男性の自殺幇助を認めた。

史上初の出来事だった。

イタリアでも安楽死を求める声は年々高まっている。だから国民投票を要求する署名が多く集まったのだ。

回復不可能な病や心身の耐え難い苦痛にさらされた人々が、自らの明確な自由意志によって安楽死を願う場合には許されるべきだ。

それが文明国のまっとうな在り方だと思う。

北欧やスイスなどではそれは法制化されている。

だがここイタリアでは難しい。自殺を厳しく戒めるローマ教会の影響が大きいからだ。

それでも昨年、ついに法制化に向けての国民投票が実施される、という観測が高まったのだった。

だが憲法裁判所の拒絶でイタリアは未開国へと先祖返りした。

今後は安楽死の法制化の是非は、国会で審議されていくことになる。







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