【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

2016年02月

レンツイ「愛は勝つ」ツイートを支持する

欧米主要国で唯一、同性婚を認めてこなかったイタリア上院で同性婚法案が可決された。法案への支持を強く訴えていたマッテオ・レンツィ首相は、可決と同時に“歴史的快挙。愛は勝つ!”とツイートして喜びを表した。

首相就任以来2年、39歳という若さだけが売りで海のものとも山のものともつかない存在だった首相は、懸案の上院改革案につづいて同性婚法案も形にした。

またレンツィ首相は、上院改革法案の前には大統領選でも自らの意を通して実績を残した。彼は少しづつ「海か山かの確かなもの」ではあるらしい、と証明しつつあるようだ。

同性愛をタブー視するバチカンの強い反対と、それに同調する急進派を含む議員らの抵抗で、同姓婚法案は危なく廃案になりかけた

どうにか可決にはこぎつけたものの、法案は最終的に結婚に「準じた」形になった。同性同士のカップルが養子縁組で子供を得る条項が削除されたからだ。

同性婚を認めるなら養子縁組も認めるのが筋だ。婚姻者が子供を得たいと願うのは普通の感情だ。合法化して彼らと子供の権利を保護するべきある。

だが、法案は不完全ではあるものの、同性愛者を敵視するカトリックの総本山バチカンとの相克の末の可決、という重い現実を見れば、大きな成功である。

レンツィ首相が“愛は勝つ”ツイッターで言及したように「歴史的な快挙」と言っても過言ではない。削除された養子縁組条項も近い将来必ず復活、承認されるだろう。

同性愛者への偏見差別の大本は、彼らの関係が生物学的には絶対に子供を成さない、ということにつきる。そこからいろいろな中傷や罵詈や嘲笑が生まれてきた。

その一つが以前僕が書いた記事:「友人でゲイのディックが結婚しましたが、それが何か?
に寄せられた次のコメントである。

佐藤 -- · 東京都 港区
ゲイに限らないのかも知れないが、アナルセックスは汚らしい。
いいね! · 返信 · 2012年11月15日 10:15

コメントは公開された記事に寄せられたものだから、ここで紹介しても構わないと考えた。このコメントへの論評は控えるが一言だけは言っておきたい。

普通の場合は人は、友人夫婦が「どのようにセックスをするのか」などと妄想したりはしない。知らない人に対してはなおさらそうだ。顔も知らない人のあれこれを想像するのは至難の技だ。少なくとも僕はそうだ。 これは善人を装ったり徳人を気取って言うのではない。

そうではあるが、同性愛者への嘲笑や悪意や中傷の中にはこのコメントに近いものも多い、というふうに感じる。いやこのコメントの内容は異性愛者の人々の普通のリアクションであるのかも知れない。

圧倒的多数派の異性愛者は、少数派の同性愛者を「異常性愛者」と決め付けることさえ辞さない。それが差別だということにも気づかないままにそうすることも多い。

同性愛者について語るときは、彼らの恋愛や性愛や痴話のみに関心が行きがちだが、そうした偏見差別のせいで泣いているのは、家族愛などの普通の感情や権利でもあるのだ。

人間である限り、誰が誰をどのように愛そうが問題にするべきではない。それは憎しみや怒りや差別などの対極にある『愛』だからだ。愛を否定するのは憎しみと同義語である。

同性愛者の人々の房事の形を、まさに“ゲスの勘ぐり”で邪推してそれを貶めるのは、差別意識の発露以外の何物でもないことを人々は知るべきだ。

愛の延長線上にある色事の形は、いかなるものでも構わない。それをあれこれ詮索するのは余計なお世話であり、再度言えば“ゲスの勘ぐり”だ。

それが受け入れられない批判者はこう考えてみればいい。同性愛者から見れば彼らの交合の形が普通である。さらにあえて言えば彼らの艶事が「正常」である。

多数者であるあなた(僕も含む)と、あなたの恋人や妻や愛人との情交の形が“変”であり“異常”なのだ。あなたは異性愛者という多数派に属するだけで正義や道徳や節操を代表するものではない。

同性愛者は、ひいてはLGBTの人々は、子を成さない、ということにまつわる宗教的、社会的、歴史的な差別によっていわれのない誹謗を受け続けている。だが彼らはわれわれの社会になんらの危害も与えていない。危害どころか多様性という大きな利益をもたらしているのだ。

先のコメントに同調する人々はもしかすると、同性愛者は道徳的に社会に悪影響を与えていると主張するかもしれない。だがその道徳とは、まず同性愛者悪者論ありき、の上に構築された似非道徳に過ぎない。

そんな道徳は、バチカンによる同性愛者や同姓婚の否定、さらにそれに影響された保守強硬論者やネトウヨ系差別論者の、ヘイトスピーチなどと何も変わるところはないのである。




バチカンが嫌う同性愛者の家族は悪魔の家族なの? 



同性(愛)結婚を認めるか否かでイタリア国会が紛糾している。この国は欧米主要国の中では唯一、同性婚を合法化していない。それは同性愛を認めないキリスト教・カトリックの総本山バチカンを擁していることと無関係ではない。

同性愛者の結婚は愛し合う男女の結婚と何も変わらない。好きな相手と共に生きたいという当たり前の思いに始まって、究極には例えばパートナーが病気になったときには付き添いたい、片方が亡くなった場合は遺産を残したい等々の切実な願いも背後にある。つまり家族愛である。

同性愛者は差別によって恋愛を嘲笑されたり否定されたりするばかりではなく、そんな普通の家族愛までも無視される。文明社会ではもはやそんな未開性は許されない。同性結婚は、ここイタリアを含むあらゆる社会で、ただちに認められるべきだと考える。

日常生活の場ではイタリアでも同性愛者への認知は進んでいる。ゲイやレスビアンの首長や国会議員は珍しくないし、アーチストや文化人などの有名人で同性愛者を表明している者も多い。世界的なファッションデザイナーで、同性愛文化への苦言も呈するドルチェ・ガバーナ自身もゲイだ。

遅れているのは法整備である。同性婚を合法化していく世界の風潮に合わせて、イタリアでもほぼ10年に渡って議論そのものは重ねられてきた。最近は立法化する方向で意見が集約され、今年に入ってからは決議に向けて上院で熱い審議が重ねられている。

立法化を主導しているのは民主党を主軸とする政権与党。それには議会第2勢力である革新派の五つ星運動も同調してきた。ところが同性愛者を嫌うバチカンの横槍などもあって、議会での攻防は紛糾。五つ星運動は法案の審議途中で自主投票にするとした。

風見鶏的な動きも得意な五つ星運動は、賛成から自主投票に変節して多くの保守派の国民に媚を売ったのである。同運動の方針が出たとたんに所属の上院議員が雪崩を打って反対に回り、議会は混乱の極みに。法案はいったん腰砕けになった。

最も革新的であるはずの五つ星運動の中には、イタリア的保守主義者が大勢潜んでいたことが図らずも露呈した。そのように表向きは進歩の仮面を被っていても、教会の古臭いドグマや偏執に影響されているイタリア人は多い。だからこそ同性婚は中々認められずにきた。

政治勢力でいえば、五つ星運動とは対極にある右翼の北部同盟がその典型である。五つ星運動は同性婚法の審議過程で自らの主張を投げ出すような動きをしたことにより、期せずして合法化に強く反対している北部同盟を利することになった。

イタリア社会には同性愛そのものもさることながら、彼らが子供を持つことへの強い拒絶感情も存在する。同性愛や同性婚は受け入れても、彼らの養子縁組には反対を唱える者が多い。それを認めればこの国では違法である代理母出産が一気に増えると恐れる者も少なくない。

同性婚カップルの子供は成長するに従って必ず他の子供たちから、そして社会から「いじめ」や「差別」 を受ける。それによって子供が蒙る被害は甚大である。従って同性愛者は将来苦しむことがほぼ確実な子供を持つべきではない、というのが反対論者の主張である。

告白すればつい最近まで僕もそれに似た考えにとらわれていた。僕はもうずっと前から同性愛者の結婚には賛成の立場である。それにもかかわらず彼らが子供を持つことにはかすかな違和感を抱き続けてきた。結婚したゲイの友人さえいるにもかかわらずだ。

ゲイの彼らが、同性愛者のカップルが子供を持つことには反対している事実も僕の気持ちを後押ししていた。しかし、そうした考え方は間違っている。僕はここからは、次の理由によって同性愛者が子供を持つことにも賛成する、と大手を振って言おうと思う。

ゲイの両親を持っていなくても、子供たちはあらゆる原因で差別やいじめに遭う。むしろそれが無いほうが珍しいくらいだ。それでも「ゲイの両親」を持つ子供への偏見や差別やいじめは、他の原因による場合よりも激しいものである可能性がある。

なぜ子供たちは同性愛者の親を持つ子供を差別するのか。それは言うまでもなく親や家族や社会が子供たちに差別感情を植え付けているからである。だからこそわれわれ大人は、子供たちにいじめや差別を教え込む社会の歪みを正さなくてはならない。

生まれてくる子供は親を選べない。子供が不利な環境で生まれてくる可能性としては、例えばここイタリアにも多い両親あるいは片親が麻薬中毒者である場合。 親が犯罪者とりわけ殺人犯人である家に生まれる子供。また世間が差別偏見の目で見るために、身体が不自由な親の場合も子供は不利である可能性がある。

その他さまざまなケースで子供は何かと差別され偏見の目で見られることがある。従って、同性愛者のカップルを親に持つ子供だけがほかのケースとは全く違う理由で差別される、と考えるのはその考察自体が既に偏見、とも言える。それは彼らを二重に差別することだ。

同性愛者の子供たちは、犯罪者や麻薬所常習者やその他の弱者の子供同様に、そして何よりもその他の全ての「普通の家庭の子供」と同じように、等しく愛され保護されるべき存在である。当たり前のことだが子供たちには罪はないのだ。

さらに僕はこうも考える。自然のままでは絶対に子を成さないカップルが、それでも子供が欲しいと願って実現する場合、彼らの子供に対する愛情は普通の夫婦のそれよりもはるかに強く深いものになる可能性が高い。またその大きな愛に包まれて育つ子供もその部分では幸せである。

いまの社会の現状では、子供が心理的に大きく傷つき追い詰められて苦しむ懸念も確かに強い。ところがまさのそのネガティブな体験のおかげで、子供が他人の痛みに敏感な心優しい人間に成長する公算も非常に高いとも考えられる。そうした明るい展望も見逃すべきではない。

同性愛者の皆さんを差別しない人々は彼らの子供たちに対しても偏見差別などしないはずだ。それどころか必ずそれらの子供たちを慈 しみ、他の「普通の」子供たちと分け隔てのない存在と見なし、又そう行動するだろう。

そしてイタリア社会は間もなくその方向に向けて歩み出すものと思う。この国はバチカンのおかげで何事につけ保守的なところもあるが、基本的に人間愛に満ちた人々の住む国だから、一度そう決めると良い方向に突っ走る傾向が強いのである。


ドナルド・トランプ氏への公開状~あなたの『我が闘争』の完遂法おしえます~



ドナルド・トランプ様

何よりも先ず大統領予備選挙の2回戦、ニューハンプシャーでの勝利おめでとうございます。第1戦のオハイオでは事前の予想に反して苦杯を喫し、内心さぞ不安でしたでしょうから、第2戦の勝利の味は格別なものだろうとお喜び申し上げます。


はじめに

私は現在欧州のイタリアに在住している者ですが、かつてはニューヨークに住んで仕事をしていた経験があります。あなたがマンハッタンの5番街にトラン プタワーを建設して間もない頃のことです。当時私は貴国の公共放送PBSのドキュメンタリー番組のディレクターでした。あなたもよくご存じのあのディック・キャベットさんがキャスターを勤めた番組です。

ニューヨークとテレビ、という2点で私はあなたに因縁浅からぬものを感じています。テレビへの露出度が異様に高いあなたは、それをうまく利用してビジネスを成功させてきましたが、今度はその力も巧みに操ってアメリカ合衆国大統領にまで上り詰めかねない勢いです。すばらしいの一言につきます。


闘いのキーワード“ぶれない”

ただし、あらかじめ申し上げておきますが、私はあなたが合衆国大統領になることを喜ぶ者ではありません。喜ぶどころか、あなたがアメリカ大統領に就任することは、過激派の「IS(イスラム国)」が中東の全域を支配するにも等しいほどの由々しき事態だとさえ危惧する者です。

私はあなたの選挙戦手法や政治姿勢には嫌悪感さえ覚えます。しかし、ここではその立場を忘れて、予備選2回戦で大勝したあなたの勢いが「今後も続く」場合を想定して、分析・提案をさせていただくことにしました。

あなたが闘いに勝利するためのキーワードは“ぶれない”です。人が何かを成し遂げようとする場合には決して“ぶれない”ことが重要です。何事につけ“ぶれる”人間は信用されません。

私はあなたが今後、予備選挙から本選挙に至る期間と、当選後に大統領職を遂行・展開する過程で、常に変わらずに今の主張や哲学や姿勢を維持し続けることを提案します。それがあなたが選挙に勝つ秘訣であり、合衆国大統領として米国を統治する基本にもなります。


人気の秘密

あなたは共和党の主流派にタテ突く形で選挙戦を戦って高い人気を得ています。そこでもっとも注目を集めているのが、人々の差別と不寛容と憎悪を煽る手法で す。たとえばあなたはメキシコ人は麻薬と犯罪にまみれたレイプ犯だと決め付け、メキシコからの移民を防ぐために国境に万里の長城並みの壁を築くと吼えまし た。

また貿易や厳しい金融政策によって生意気な中国を懲らしめ、不公平な同盟関係にあるずるがしこい日本を斥け、次には核の脅威を撒き散らす北朝鮮を叩き潰 す、とします。またイランとの核合意も取り消して核開発を放棄するように追い詰める。そして極め付きは、「イスラム教徒のアメリカへの入国を禁止する」と いう爆弾発言でした。

その言葉はイスラム過激派によるテロが頻発している中で飛び出したものです。アメリカは2001年の同時多発テロ以来イスラムフォビア (嫌悪)を国内に醸成し続け、テロへの恐怖にも苛まれています。それに加えてフランスでの同時多発テロに代表される欧州の危機的状況も強く意識されてきま し た。

そこに過激派組織ISに関わると見られる銃撃事件がカリフォルニア州サン・バーナディーノで起こりました。 従ってあなたの発言は、ムスリム夫婦によって
14人が銃撃殺害されたそのテロに強い衝撃を受けた人々の、恐怖と怒りと悲嘆を受け留めての大げさなリアク ションであって、深刻な意味合いのものではないという見方もあるかも知れません。


徹底した人種差別主義 

しかし、その劇的な発言は、あなたの一貫した人種差別と偏見と不寛容の発露であると私の目には映ります。あなたは日本人と中国人と朝鮮人に焦点を当ててて 黄色人種を否定し、メキシコ人を目の敵にすることでヒスパニックの人々を侮辱しています。そして極め付きがムスリム排撃発言です。あなたはそこでイラン人 も含めた全てのイスラム教徒を貶めました。

そればかりではありません。あなたはオバマ大統領の出自を執拗に問題にしていますが、そこには人種差別意識が働いていることは誰の目にも明らかです。オバ マ大統領は「共和党内のある種の人々にとっては、私が黒人であることへの抵抗感があり、そこから私への激しい批判が生まれてくる」という趣旨のことを言っ ています。このある種の人々の代表があなたであることは公然の秘密です。

あなたはわれわれ日本人を含む有色人種とヒスパニックの人々を本気で蔑んでいるようです。それはあなたが、ロシアを賞賛している事実でも裏付けられるよう に見えます。あなたはアメリカが厳しく非難・対立するロシアを是認し、独裁者のプーチン大統領とも仲良くしたい、と明言しています。不思議な心理です。で も プーチンさんが白人でありロシアは白人国家である、と言う点に注目すれば全てが腑に落ちます。


新アーリア人種優越論?

あなたは欧米とロシアのみを評価する、世界秩序の構築を目指しているのではないでしょうか。それはいつかドイツの独裁者が唱えた、アーリア人優越民族論にならった考え方にも見えます。さしずめ新アーリア人種国家構想とでもいうところでしょうか。

私は黄色人種ですので、その考えには違和感を覚えますが、この論説はあなたが大統領選挙を勝ち進み、ついには第45代アメリカ合衆国大統領に就任して、米国を統治する方法について考察し提案するものですから、私の気持ちは無視して進めます。

あなたの主張は一部の共和党支持者の間で熱狂的に支持されています。つまりあなたと同じ新アーリア人種構想に賛同する人々が多くいる、ということですね。あなたは今後もその主張を続けて支持者拡大を謀るべきです。

冒頭に申し上げましたように、勝利のキーワードは“ぶれない”ことです。あなたの主張に反発する人々もいます。が、あなたは彼らに迎合して主張を軌道修正 してはなりません。さらに過激に雄雄しく、騒がしく、暴言・放言を繰り返すべきです。それがあなたと同種の人々をさらにトランプ側に引き付けるコツです。


正論?目くらまし?

あなたは自らの本性とは相容れないように見える主義主張も披露しています。たとえばあなたはアメリカの中東政策を批判して、テロや内戦がはびこるイラクやリビアやシリアなどの悲惨な現状は、オバマ大統領とヒラリー・クリントン氏がもたらした、と声高に言い募っています。

つまり、フセインやカダフィやムバラクなどの独裁者が支配していた頃の中東の国々には、テロリストはいなかった。独裁者がテロリストを皆殺しにしていたか らだ、と。そうした主張には一理あります。オバマ政権以前のブッシュ共和党政権の瑕疵に言及しないのは少々不公平に見えますが。

あなたはまたこういう主張もしています。大統領になった暁には格差是正や社会福祉の拡大充実を押し進める。その財源としては富裕層や大企業などへの課税を大きくして国際金融資本やウォール街にも規制のメスを入れ、累進課税を強める。その増収分を社会福祉に充てる。


修正は“ぶれ”を意味するから決してやってはならない

それとは逆に、貧しい人々や中小企業などには減税をして経済の活性化を図るなど、など。その実現の可能性云々は別にして、まるでライバルの民主党の、しかも同党左派の考 え方にさえ通じる政策も掲げています。それらが特に、白人の労働者階級の人々に熱狂的に支持されているのはよく知られた事実です。

しかし、そういったヤワでリベラルな物言いや要求はあなたには似合わない。あなたは左派に迎合してはいけない。彼らを大声で言い負かし、罵倒して黙らせ、必要ならば誹謗中傷によってあなたの陣営に引っ張り込むべきです。今のあなたの勢いならきっとそれが可能です。

あなたは共和党主流派の古臭い考えを打ち砕くと同時に、あらゆる開明主義を撃破するべきです。金持ちへの増税策や貧乏人への減税なんてリベラルが考えそうなことは口にしない方がいい。なぜならそうした主張は、人々があなたを“ぶれている”と誤解する材料になりかねないからです。


安全保障

さて、そうやってぶれずにマッチョに勝ち進んであなたは晴れて第45代アメリカ大統領に就任します。就任と同時にあなたには急いでやるべき大仕事があります。それは安全保障に関する懸案を払拭することです。

あなたは「ムスリムを入国禁止にするべき」という大ヒット発言によって、アメリカ・ネトウヨや保守強硬主義者の皆さんの熱狂的な支持を集め、それが原動力 となってニューハンプシャー予備選を制しました。しかしあなたのその主張を、あなたの党員仲間でライバル候補のジェブ・ブッシュ氏は「狂気」と言うに等しい言葉まで使って強く批判しまし た。

それに対してあなたは「私は宗教ではなく安全保障の話をしているのだ」と言い返しました。あなたの論理では、「イスラム教徒は全てテロリストだからアメリ カ に入国させない。それが安全保障だ」というものです。あなたの立ち位置から見た場合、その主張は間違っていません。間違いどころか正論です。

しかしながら、彼らの入国を禁止するだけではあなたの安全保障政策は完成しません。あなたはそこからさらに十歩も二十歩も進んで、アメリカ国内のムスリム、つまりイスラム教徒の米国人も排斥しなければならないのです。


安全保障を完璧にするべき

なぜなら、彼らはあなたへの反発と憎しみを蓄え募らせてていくのが目に見えています。特に若者の中にはあなたに反撃をする者が現れるに違いない。いわゆるホームグロウン(国内出身)テロリストの誕生ですね。それが安全保障への最大の脅威です。

あなたはそれを取り除かなければならない。そうですね、米国人イスラム教徒を弾圧し、できれば全員抹殺してしまう方がいいでしょう。あなたは過激派組織 IS(イスラム国)への対応として、組織の戦闘員を徹底的に殲滅するばかりではなく、その家族も葬り去るべきとも断言しています。

家族まで殺戮の対象にするとは驚きですが、さすがはトランプさん。あなたはそこでも全く“ぶれて”いません。ムスリムは皆殺しにしろ、と暗に示唆するような勝利の方程式をしっかりと維持しています。そんなあなたにとっては、イスラム教徒の同胞を抹殺することなどきっと朝飯前でしょう。

あなたはそうやって米国内のムスリムを一掃して安全保障を揺るぎないものにし、ついでに黄色人種や黒人や同性愛者などの全てのマイノリティーも排斥して、 歴史に燦然と輝く偉業「我が闘争」を完成させることになるでしょう。その次には再び歴史にならって、あなたの仕事を本にします。タイトル は、そうですね、『新・我が闘争』あたりで決まりでしょうか。

敬具


トランプさんがもしも天地をひっくり返したならば

トランプ猫

米・ニューハンプシャーの大統領予備選で「有力泡沫候補」のトランプさんが2位以下に大きく水をあけて勝った。

すると、やっぱり彼の人気は本物だ、このまま共和党の指名を受ける可能性が高い、などと強気になる人々が増えた。

ここまでトランプさんに対してさんざん否定的なことを言ったり書いたりしてきた僕にも、間違いましたね、大丈夫ですか、などとコメントが寄せられた。

僕はまだ間違っていないし、彼は大統領にはなれないというこれまでの自分の考えを変えてもいない。まったく大丈夫である。

トランプさんの人気はもともと本物だ。ヘイトスピーチ以外のなにものでもない彼の言葉を愛し、偏見や人種差別に拍手喝采する者は多い。

僕は彼の人気が偽物などと考えたことはない。彼の危険思想を斥ける力が米国民にはあるから、彼の人気がアメリカの大半に広がることはない、と信じているだけである。

天地がひっくり返ってトランプさんが合衆国大統領に選ばれたなら、それは米民主主義の大いなる変質であり終わりだ、というのが僕の思いだ。

米大統領選にはゲームの要素が強くあって、勢いに乗った候補者があれよという間にさらなる旋風を呼び込んで突っ走ることがある。

最近の例で言えば、一期目のオバマ旋風がそうであり‘80年のレーガン旋風もそうだ。彼ら2人はしかし、少なくとも「まとも」な候補者だった。

あるいはアメリカの良心の内にいる候補者だった。彼らは差別と不寛容と憎悪を旗印に選挙戦を進めたりはしなかった。

もしも天地がひっくり返ったとしよう。

ならば僕はどうするか。

言うまでもなく、ほぼ無力に等しい全くの微力ながら、ひっくり返った天地を元に戻そうと戦う欧米や日本やその他の世界のあらゆる良識と共に抗う・・

というのは少し大仰に過ぎるけれども・・・

トランプさんが主張の軌道修正をしないまま、つまり米国世論が彼の極論をそのまま受け入れてトランプ大統領が誕生するならば、世界の多くの人々は競って反米国の旗印の下に集結することになるのではないか、と密かに思ってはいる。


書きそびれている事ども 



書こうと思いつつ優先順位が理由でまだ書けず、あるいは他の事案で忙しくて執筆そのものができずに後回しにしている時事ネタは多い。僕にとってはそれらは「書きそびれた」過去形のテーマではなく、現在進行形の事柄である。過去形のトピックも現在進行形の話題もできれば将来どこかで掘り下げて言及したいと思う。その意味合いで、例によってそれぞれをここに短く書きとめておくことにした。


吼える伊レンツィ首相

メルケルおばさんとその息子レンツィ伊首相150pic
メルケル母ちゃんとその最愛の息子

イタリアの若きレンツィ首相が燃えている。あらゆる機会を捉えて、EUの政策に噛み付いているのだ。それはこんな感じ=《難民問題を含む多くの懸案をアンゲラとフランソワの2人が、2人だけで解決できるなら僕は大いにハッピーだ。でも事態はそんな風には動いていない。僕ちゃんも仲間に入れて、皆んなで問題解決にまい進しよう!》と。アンゲラとはドイツのメルケル首相、フランソワとはフランスのオランド大統領のことだ。先進国の中ではいつもミソっかすな扱いをされてきたイタリアは、スケベでド阿呆なベルルスコーニ元首相のおかげで、近年はさらに評判を落として影が薄い。レンツィ首相はそのことにも腹を立てているらしい。イタリアの地位向上に情熱を燃やす彼は、ジョーク好きらがメルケルさんと自分を並べて『メルケル母ちゃんとその最愛の息子』とからかうほど仲の良いドイツ首相にさえ、大いに文句を言い続けている。僕は放っておけばいいのに、と思う。イタリアが英独仏の真似をして何になる。1番なんか目指さなくていい。イタリアは2番手3番手4番手、それどころか8番手9番手くらいであまり責任も負わずに好き勝手にやっているほうが面白いし美しいしステキだ、と僕などは思うのだけれど・・

BMW・アウディvsランボルギーニ

スーパー・パトカーLamborghini 150pic
スーパー・パトカー“ランボルギーニ”

エンジンをパワーアップした黄色のアウディが、ミラノ-ベニス-東欧に至るA4高速道を疾駆しまくって問題になった。高速道路を逆走するなどの暴挙を冒す車両を警察はスーパーカーのランボルギーニで追跡。しかし捕まえられず暴走アウディは最後には炎上、黒焦げになった・・・というのは半ば嘘。というのも警察はランボルギーニは投入しておらず、アウディがどうやって炎上したのかも分かっていない。アウディはスイスナンバーの車で昨年12月にミラノマルペンサ空港で盗まれたもの。またイタリア警察は2台のランボルギーニを実際に所持していて、スーパーパトカーは時速350キロで走行できる。アウディはせいぜい時速250キロまでと見られているから、ランボルギーニで追えばあるいは捕まえられたかも。ところがこの話はそこでは終わらない。今度は黒のBMWが高速に入り込んでアウディと同じ横暴を始めたのだ。防犯カメラで捕らえられた犯人の正体は分からないが、アウディの時と同様にアルバニアなどの東ヨーロッパ出身者と見られている。BMWはパトカー(多分アルファロメオの改造パワーアップ版)に追い詰められ、犯人らはガードレールを超えて逃亡。残された車の中には拳銃や爆発物などと共に自動小銃のカラシニコフも残されていた。強盗団というのが警察の見立て。事件は前述した高速4号線の東部(僕もしょっちゅう走っている)で発生し続けている。次にはおそらく警察によるランボルギーニの投入もあるだろう。不謹慎ながらカーチェイスをちょっと見てみたい。

Affittopoli家賃をめぐるスキャンダル汚職都市
先日ローマでは、それぞれが500軒以上のマンションを所有する1657人のオーナーらが、一切税金を払っていないことが明らかになった。その中には
1243軒ものマンションを所有する脱税常習犯の女もいた。そのローマで今度は、ローマ市が所有するおびただしい数のマンションやビルで、タダかほとんどタダに近い家賃で長年住んでいる人々の存在が明らかになった。彼らはローマ市職員の友人や知人で、知り合いであることを理由に家賃をごまかしてもらう恩恵を受けていた。コロッセオや大統領府やトレビの泉などに近い一等地で、広いマンション一軒の家賃が月千円前後はまだ増しな方、ほとんど無料というケースが多々あり、ローマ市の家賃収入の損失は年間1億ユーロ(約130億円)は下らないだろうと試算されている。この事件は間もなくベニスやナポリなどの観光地にも飛び火した。おそらくイタリア全土で同様の無体が繰り広げられていると見られている。

IS並みに危険なエジプト独裁政権~英ケンブリッジ大学のイタリア人学生は誰に殺されたのか

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殺害されたケンブリッジ大学院生ジュリオ・レジェーニさん

英国ケンブリッジ大学の博士課程で学ぶイタリア人学生、ジュリオ・レジェーニさん(28)は、論文を書くために大学から送られてエジプトのカイロで同国の経済について研究していた。彼は2016年1月25日、家を出たまま行方が知れなくなった。その日はちょうど、30年に渡って同国を支配したムバラク独裁政権が、民衆の蜂起で倒れた5周年記念日に当たっていた。それから9日後、彼はカイロ市内の排水溝で遺体で発見された。レジェーニさんは博士論文を書くために同地の大学に在籍していたが、研究を続けながらイタリアの左翼系日刊紙「イル・マニフェスト」にも記事を書いていた。彼は行方不明になる直前エジプト労働組合に関する記事を同紙に書き送っていたが、それは偽名(ペンネーム)で書かれた。彼はそれを発表することで身の危険を感じたからだという。彼の殺害にその辺の事情がからんでいる、と多くの人々が考えている。レジェーニさんは記事の中でエジプトの軍政権の横暴を批判し、100名を超える労働組合員が集合して活発な抵抗集会を持った、と記した。彼らはエジプト革命が起きたタハリール広場で抗議デモを行う計画だ、などとも書いていた。アラブの春で独裁政権が倒れたものの、民主政権は再び軍政に変わってエジプトの民主化は夢物語になった。今はISと何も違わないほどの軍による圧政が続いている。イタリア人学生の殺害は軍政権によるものである可能性が高い。

琴奨菊はモンゴル人でもハワイ人でも誰でもいいノラ!
琴奨菊の優勝を機に、相撲などまったく見ないかほとんど見ないらしい人たちが、民族主義的ニュアンスがぷんぷん臭うコメントを開陳したりていて、相撲好きの僕はちょっと違和感を覚えている。琴奨菊の優勝は素晴らしいの一言につきた。彼が日本人力士だからではない。クンロク大関という蔑称も真っ青なくらいのつまらない大関だったのが、見事に「化けて」強く面白いパフォーマンスを見せてくれたからだ。大相撲はどこにでもあるスポーツではなく、日本独自の「スポーツ儀式」だから面白く楽しい。また土俵上で戦う力士の国籍はどこでもいい。力士が日本人だから面白いわけではない。飽くまでも力士が強いから面白いのである。大相撲の競技を語ることと大相撲界の変化、具体的に言えば国際化、を語ることは分けてなされるべきである。なぜなら競技においては強い力士と弱い力士がいるだけで、その力士がモンゴル人か日本人かアメリカ人かなんて関係がない。関係があると思っている人は、純粋に競技を楽しんでいるのではなく、政治の眼鏡をかけて土俵を見ているに過ぎない。つまり本当に相撲が好きな相撲ファンではないように思う。

カナダのンドランゲッタBOSSの禁欲生活

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殺害されたカナダの“ンドランゲッタ”ボス、ロッコ・ジート

カナダのトロントで87歳になるマフィアのボスが頭に銃弾を撃ち込まれて死亡した。正確に言えば、マフィアのボスではなく“ンドランゲッタ”のボスである。カナダのマスコミはイタリア以外の全ての国のマスコミと同様に ンドランゲッタをマフィアと呼んでいる。僕はそのことへの違和感と同時に、死んだボスが凶悪な犯罪者とは思えない質素で穏やかで全く目立たない生活をしていた、とほとんど感動にも近いニュアンスで報道されていることに、違和感を通り越して呆れた。凶悪犯が質素で目立たない生活スタイルを押し通すのは当たり前だ。逃亡犯と同じで彼ら犯罪者は人目を引かない言動を押し通す。そうやってたとえばシチリアのマフィアの大ボス、トト・リイナは20年以上も官憲を欺き続け、もう一人の大ボス、ベルナルド・プロヴェンツァーノは43年間も誰にも見つからずに逃げ続けた。時には妻子さえ引き連れて。もっともそこには逃亡潜伏先がシチリア島の州都パレルモという特殊事情があった。


EUは壊れるのか
EU(欧州連合)内の人とモノの行き来を自由にしたシェンゲン協定が揺らいでいる。1990年発効したEUの真髄ともいえるこの協定のおかげで欧州統合は現実味を帯びたものになり、参加国も確実に増えて欧州は紆余曲折を経ながらも発展を続けてきた。ヨーロッパに押し寄せる中東難民が、旅券なしでの自由な往来を利してドイツなどの富裕国に集中し、パリ同時多発テロの実行犯らが難民にまぎれて欧州を横行するのではないかという不安が増大。そこにアフリカや中東からの移民と見られる男たちのドイツ・ケルンにおける昨年大みそかの集団性暴行事件なども加わって、EU参加国の中に協定への疑問が沸き起こった。シェンゲン協定は、「例外的な状況」下での参加国による国境での入国審査の再導入を認めている。この例外規定を利用して、最近ドイツ、オーストリア、フランス、デンマーク、スウェーデン、さらにEU非加盟ながら協定には参加しているノルウェーが、半年の期限付きで入国審査を再導入した。それは5月に期限を迎えるが、2年間に限って延長するかどうかが議論されている。入国審査の再導入とは、EUが高らかに謳い上げてきた欧州の一体性という基本理念の放棄を意味する。欧州は一体化することで自由と繁栄を謳歌できる。その原動力であり象徴でもあるのがシェンゲン協定である。欧州は今まさにそのシェンゲンの栄光が雲散霧消しかねい危機に見舞われている。

イタリアの燃える夏2015

ルノー溶ける車150pic
イタリアの暑さで溶け出したとされるルノー車

昨年の7月は過去4000年間で最も暑い7月だったと、アメリカの海洋大気庁が正式に発表した。計器などによる観測データは過去およそ130年分しか存在しない。なのになぜ日本なら縄文時代にまで遡る過去の7月の気温が分かるかというと、木の年輪や珊瑚や氷河等の氷の核などを調べることで、さまざまなデータから確認が取れたのである。ここイタリアももちろんチョー猛暑な7月だった。そんな折、あまりの暑さのためにイタリアでは車が溶けた、と称して車の塗装がぐちゃぐちゃに溶ける様子を撮影した映像がネットに流れた。いくら暑くても車が溶けるなんてありえない。それは明らかにガセネタだった。その証拠に動画は間もなく削除された。写真は今も残っているようだ。そのことについては僕はfacebookでもちらと言及した。異常な暑さにからませたそのガセネタ(と思う)はネットにおける典型的な危険の一つと僕には見えるので、当時そのことについて書き始めた。が、ばたばたしているうちに時間が経ち季節が移って時機を逃してしまった。でも一度きちんと書いておきたいと思う。危険情報のうちでも、思い違いを起こさせる類の嘘、という程度のあまり罪のない危険情報だが、そんな危険がネットにはあふれているのでやはり気をつけるべきだと強く思うのだ。





米大統領予備選~さてトランプさんは坂道を転がるのか踏みとどまるか~



今日(2月9日)は米大統領選、ニューハンプシャー州の予備選挙の日。民主党、共和党とあるが、気になるのは共和党の動静。オサワガセ候補のトランプさん。

民主党はクリントン、サンダース両氏に絞られたが、共和党は複数の候補者のうち、極論者のトランプさんが相変わらず騒いでいる。

初戦のアイオワ州でまさかの敗退を喫したものの、各種世論調査ではトランプ候補は依然としてトップの人気を保ったまま。

またアイオワ州では、マルコ・ルビオ候補が僅差の3位に付けて、すわ本命アラワルか、と多くの人々(僕もそのうちの1人)をおどろかせた。

ところが彼は、6日に行われたテレビ討論会で他の候補者に政治家経験の少なさを責められて、まさかの立ち往生。

経験の少なさとは、つまり若いということで、若さを責めるのは老人の得意技なのだから「ローガイはダマッテロ」などと言い返せば良いものを、しどろもどろになってミソをつけてしまった。

米大統領選の面白さは、各候補が予備選を含む長い選挙戦を通して「大統領としての資質」を徐々にシビアにしつこく問われ試されて、ある者は成長しある者は脱落していく過程だ。

今回の共和党に限って言えば、初戦でトランプさんが負けたのは彼のエキセントリックな主張が最初のふるいに掛けられたことを意味する。

一方、ルビオ上院議員は6日の討論会で、公衆の面前で痛いところを突かれて冷静に対応できるか否か、のふるいに掛けられた。

トランプさんの主張をエキセントリックと見るか、ルビオさんを若くて動揺しやすいと見るかは、おそらく見る者の主観によって違うだろう。

それでも、米大統領という世界最強最大の権力者はできれば極論者であってはならず、かつ沈着冷静であるほうが望ましい、というのは人々の最大公約数的な思いだろうから、ふるいに掛けるのは良いことなのである。

事前の神経戦を経て投票・選択が行われるニューハンプシャー州では、トランプ氏の勝敗の行方に加えてルビオ候補の戦い振りに注目が集まっている。

アイオワ州で勝ったクルーズ氏は、どちらかといえばトランプ氏に似た異端候補であり、ルビオ氏は主流派である。ひと言でいえば、民主・共和両党共に異端対主流派の戦いが予備選の常だ。

共和党の複数の主流派候補らは、最終的には1人に絞られて全員がその1人を支持する方に回る、と考えられる。その1人がルビオさんになるのかそれとも他の候補なのか、という点が興味深い。

主流派が一つにまとまれば、異端のトランプ、クルーズ両候補の戦いは厳しくなる。僕がトランプ候補を「有力な泡沫候補」と呼ぶのは、数字に裏付けされたその現実があるからだ。

同時に僕は、欧米社会が知恵と民主主義によって少しづつ獲得し現在も獲得する努力を続けている、自由と寛容と平等の精神に楯突くトランプ氏には嫌悪感を覚える。

彼の主張はフランスのルペン女史や日本のネトウヨや民族主義者らのヘイトスピーチと同じものであり、ナチスやファシストや日本軍国主義など、過去の亡霊とも手を結ぶ危険な代物だ。

僕は先に「米大統領選の面白さ」と言った。面白さとは重要性ということだ。米大統領に誰が選ばれるかは、好むと好まざるにかかわらず世界中のわれわれに等しく影響する。

いったい誰が次の合衆国大統領になるのか。そして彼はあるいは彼女はどんな考えで超大国の舵取りをしようとしているのかを監視するのは、自国のそれに対するのと同じ程度の意味さえ持つと考えるのである。




さては坂道を転がり始めたトランプさん?



2月1日、米大統領を選ぶ予備選挙が始まった。米50州の先頭を切ってアイオワ州で民主党と共和党の候補者選択が行われ、共和党では事前の予想を覆してドナルド・トランプ氏が敗れた。

勝ったのは保守強硬派とされるテッド・クルーズ氏。また保守本流といわれるマルコ・ルビオ氏がトランプ氏から僅差で3位に入った。ルビオ氏は選挙前には、大きく引き離されての3番手という予測だったから、これも番狂わせと言えるだろう。

トランプ氏が負けたことは驚きではない。彼が快進撃を続けていた昨年から僕は彼が最終的には失速すると見てきた。それは第一回目のアイオワで始まる可能性が大いにあると思った。僕に先見の明があったのではない。過去のアメリカの大統領選挙では普通に起こったことだからだ。

事前の討論や選挙運動を通して優勢だった候補がアイオワ州で躓いたり、逆にそこでの勝利をきっかけに快進撃を続けて候補指名を受け、大統領にまでなるケースが良くある。

例えば2008年には民主党の最有力候補と見られたヒラリー・クリントン氏が、現大統領のバラック・オバマに敗北してそのまま沈んだ。逆に言えばオバマ候補は、アイオワで勝って「オバマ旋風」を巻き起こし、最終的に勝利して第44代アメリカ合衆国大統領になった。

共和党のトランプ氏がアイオワで負けたのは、彼の勢いの終焉が近づいたのだろうと思う。人種差別や排外思想を振りかざす彼を、米国の良心が必ずブロックすると確信するからだ。

民主党は圧倒的に強いと見られたヒラリー・クリントン氏が、僅差ともいえないほどのわずかな差で左派のサンダース氏に勝った。サンダース氏の追い上げはすさまじく、こちらも番狂わせ並みの結果で、民主党のレースも分からなくなった。

ただクリントン氏は、紙一重の差とはいえアイオワ州で勝利を収めたことで、2008年の悪夢から覚めて、メール問題ほかの障害を抱えつつも、今後快進撃を始めるかもしれない。

共和党も最終的に誰が候補に選出されるかは分からない。が、トランプ、クルーズ、ルビオの3氏の争いに絞られた、とは言えるだろう。トランプ氏はそこで突然、最も脆弱な候補になったように見える。

クルーズ氏はアイオワ州での勝利を目指して何年も前から地道に選挙運動を続けてきた。そこが重要な場所だと知っていたからだ。彼は今回の勝利を足がかりに共和党候補になるかもしれない。

だが、事前には注目度が低かった若手のルビオ氏の突然の台頭も見逃せない。彼はいわゆる保守の主流派だ。あるいはルビオ氏がアイオワ州での番狂わせの最大の享受者、つまり最終的な勝者となる可能性も大いにある。

ここまではトランプ氏が、共和党のいわゆる主流支配層に楯突く極論を振りかざして同党内で支持を集めてきた。が、いよいよ風向きが変わったように見える。

再び、共和党では誰が勝つかは分からない。だが、トランプ氏が負けることは間違いない、と僕は相変わらず考えている。天地がひっくり返ってトランプ氏が共和党で勝っても、彼は決戦では民主党候補に敗れるだろう。

しかし、トランプ氏以外の候補者が共和党で選出された場合には、民主党候補を破って大統領になる可能性はもちろん十分にあると思う。つまり、「まともな」候補者同士の戦いでは民主・共和両党ともに互角だ。

それどころか、保守本流を自他共に認めるルビオ氏が共和党候補になって、たとえば民主党の相手がクリントン氏になった場合には、むしろ彼の方が有利である可能性が高い。

なぜなら「弱いアメリカ」を演出してきたオバマ民主党政権への反発は米国内に強いと考えられ、そのオバマ政権の後継と見られるクリントン氏に逆風が吹きつける可能性は決して低くないからだ。




祭りのあとの祭りは。怖い・・かも。


イタリア中が大騒ぎをする大晦日から新年にかけては今回も自宅で静かに過ごした。僕らは2013年の大晦日から日本式の年越しをするようになっている。

つまりチェノーネも催さず外出もせず、まず午前11時過ぎから衛星を介して生放送される紅白歌合戦を見る。夜には同じ番組の再放送を飛ばし見しながら一杯やるというパターン。

今回はそれとも違う過ごし方をした。昼間はなんと菜園に入って小型の耕運機を使って土作りをしたのだ。その頃は雪や雨が降らず暖かいのでそんな作業ができた。

夜。ゆるゆると熱燗を傾けつつ、録画再放送の紅白歌合戦とイタリアのテレビが生中継する各地の年越しコンサートをリモコンで行き来した。

紅白は長過ぎる。かったるい場面も多いので適度にチャンネルを飛ばし見するのがいい、と気づいた。そうすればイタリアなどの歌も共に2倍楽しむことができる。

紅白歌合戦につづいて録画の「ゆく年くる年」が流れた。紅白歌合戦と同じく、それは日本とのリアルタイムで昼間に一度放送されたもの。

いま届いているのは録画だが、ちょうど年を跨ぐ時間に組み込まれているので、日本で見るときと似た趣がある。

番組の途中から外で炸裂音が響き出した。年明けを祝う花火が、年明けを待ちきれずに上がり始め爆竹がはじけるのだ。

窓外を見ると、遠くの街灯がかき消されるほどの光量が四方に満ちて、途切れない爆発の響きが最高潮になろうとしていた。

hanabi カッツァーゴ500ピクセル

僕の住む田舎の花火。裸眼で見る光景はこの絵の100倍くらい華やかで明るくてうるさかった。


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同じ頃、ヴェスヴィオ火山を背景にナポリではこんな光景が繰り広げられていた。


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こんな光景も。


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はたまたこんな光景も。

イタリア中で花火や爆竹やカンシャク球やクラッカーなどのありとあらゆる煙火が発火し、爆発し、弾けてどよめいた。結果、死人こそ出なかったものの、爆発で腕や手を失ったり失明した重症者16人を含む、190人が負傷した。

ケガ人の多くは例年の如く南イタリアのナポリ近郊に集中していたが、大晦日を待っていた12月29日には、北イタリアのミラノ近くの町で花火の準備をしていた22歳の若者が、誤って火薬を爆発させて両手と両目を失い、全身に激しい火傷を負う事故もあった。

そうした凶事は年々歳々飽きもせずにイタリア全土で繰り返されるが、それでも今年は負傷者の数は少ない方だった。それはあるいは、ISなどの過激派のテロへの厳重な警戒が敷かれる中での祝賀だったからかもしれない。それらのことはこの前のエントリーでも書いた。


花火残り火

地上から屋根にかけての明るみのさらに上には暗い空間が広がっていた。そこには炸裂した花火の残り火や残り火の一部のような発光体がたくさん飛んでいた。


飛行火花3点

UFOというのはあるいはこんな感じの空飛ぶ発光体かとも思う。


ぽつり飛行火花2点

こんなふうにも。

そうやって夜が更けた。ツーか、年明けの夜が続いた
断続的に聞こえる炸裂音を聞きながら、僕は少し酔って眠った。


朝。
目覚めて、前庭に面した窓を開けてぎょっとした。

元旦庭ロング赤点500pic

前庭の、先の園の壁角のあたり。遠目にもあざやかに赤い物体がうずくまっているのが見えた。

何かが投げ込まれた?


pic赤ちょうちん庭石柱の間から500

あるいは誰かがドローンか何かで進入して危険物を落下させた?・・


赤ちょうちん中ロング形長方500pic

恐る恐る近づいた・・


赤提灯中より500pic

風船?・・提灯?


赤ちょうちん別角度ヨリ500pic
燃える何か・・昨夜空に浮かんでいた・・


ちょうちん最大ヨリ500pic

怪しいが、危険はなさそう



ちょうちん+則手+竹

一人でちょっと遊んだ。


花火残骸木に立てかけ中ヨリ500pic

遊び疲れて木にぶら下げた。


ちょうちん木にかけ不気味500pic

去りつつ。振り向いた。

ヤバイ。

ホントの物語はここから始まる・・のかも。




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