イタリア北部の11の自治体が封鎖される原因となった集団感染の0号患者について誤報があったので訂正しておきたい。
2月22日のエントリー「イタリアの落とし穴」で僕は:
“最近中国から帰国した38歳のイタリア人男性が新型コロナウイルスに感染していた。男性の妊娠中の妻も感染。また男性が所属しているスポーツクラブのメンバーにも感染していることが次々に明らかになっている”
と書いた。
そこで言及した38歳のイタリア人男性とは、いわゆる0号患者(インデックス・ケースindex case)のことだった。だが正確には彼は、集団内の最初の患者である0号患者ではなく、第1号患者。
38歳の男性は中国に行ったことはなく、彼が発病前に会っていた友人の男が上海を訪ねていた。するとその友人の男が最初の患者、つまり0号患者と見られたのだが、ウイルス検査は陰性と判明。そのため38歳の男性がどこでどのように感染したのか分からないまま、感染拡大が続いている、というのが今現在の状況である。
なお当初の情報では、38歳の男性は武漢を旅した、となっていたがそれは友人が訪ねた上海の間違いだったようだ。ふいに感染者が続出した混乱の中で、世界恐慌の震源地である武漢の名がごく自然に独り歩きをした、ということなのだろう。
なお、0号患者である可能性がある上海帰りの友人が、陰性と判断された後も繰り返し検査を受けたがどうかは不明。ウイルス検査には間違いが多いという情報がある。日本のクルーズ船の乗客の検査でも、最初の検査は陰性で2回目に陽性と出たケースがあったのではないか。
イタリアの医療のレベルは高く、十分に信頼に値する。またペストなどの伝染病と戦ってきた歴史もあり、他の欧州の先進国と同様に疫病の調査、予防、治療にも熟達している。従って0号患者かもしれない上海帰りの友人の扱いに抜かりはなかったとは思う。が、少し気にならないでもない。