【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

2020年10月

ロックダウンのジレンマ


伊アルプス紅葉 700

10月28日、フランスとドイツがほぼ同時に全土のロックダウンを発表した。

フランスは10月30日から12月1日まで国民の移動を厳しく制限する。国民は食料などの生活必需品を購入したり病気治療などの場合に限り、証明書を持参したした上で外出が許される。それ以外は自宅待機しなければならない。ただし、在宅勤務が不可能なケースでは出勤が認められる。レストランやカフェほかの飲食店また生活必需品を扱わない全ての店は閉鎖。一方で学校
は通常通りに授業が行われる。

ドイツのロックダウンは11月2日から一ヶ月間実施。フランスよりはゆるやかな規制が課せられる。それでもレストランほかの飲食店、映画館や劇場またスポーツジムやプールなどが全て閉鎖される。国民は不要不急の外出や旅行を自粛し、ホテルの宿泊は仕事で出張する場合に限り許される。サッカーなどのプロスポーツは無観客でのみ開催。学校はフランス同様に閉鎖しない。従業員50人以下の企業には、昨年11月の売上高の75%を一律に支給する、というのがいかにもドイツらしい。

2国の措置は爆発的に増える新型コロナの感染を抑えるためであることは言うまでもないが、ここからほぼ一ヶ月の辛苦を経てクリスマスが控える12月に規制を解除したい、という思いが込められている。ほとんどがキリスト教国である欧州にとっては、クリスマスは経済的にも文化的また社会的にも、さらには心理的にも極めて重大なイベントだ。そこではなんとしてもロックダウンを避けたいのである。

2国の措置は同時に、3月のロックダウンよりもゆるやかだ。ましてや世界一厳しかった3月-4月のイタリアのロックダウンに比べるとさらに生ぬるい。各国がロックダウンを解除した後の、6月から9月頃にかけての欧州のコロナ状況を振り返ると、イタリアの厳格なロックダウンのみが感染拡大を抑止できていたことが分かる。

従ってイタリアと比べた場合の、フランスとドイツのいわば「準ロックダウン」がどれほどの効果をもたらすかは未知数である。それでも行動を起こさなければ独仏両国の感染爆発は制御不能になる、とメルケル首相とマクロン大統領は判断した。そのこと自体はむろん正しい見解であるように見える。

第1波で奈落に落ち、過酷なロックダウンによって危機を脱したイタリアも、独仏英またスペインなどの後を追いかけて再び感染拡大の危険にさらされている。イタリア政府は娯楽施設の閉鎖とレストランほかの飲食店の営業を午後6時までに制限するなどの対策を取っているが、そうした措置への抗議デモと同時にさらなる規制強化を求める声も強まっている。

どちらの主張にも理がある。働かなければ生活が成り立たないという真実と、規制をかけなければ感染拡大が止まない、という真実がぶつかりあっている。経済社会活動が完全にストップするロックダウンを避けながら感染も抑制するためには、つまり-少なくとも有効なワクチンと治療薬が開発されるまでの間は-ある程度の経済社会活動の停滞と相当数の感染および犠牲者を受け入れる道しかない、ということなのかもしれない。



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イタリアの暴力とアメリカ政治に通底するもの


Nuova italia の暴力抗議10月24日からの週末650

イタリア政府は10月25日、翌26日(月)からレストランや飲み屋などの営業を午後6時までに制限し、映画館や劇場またスポーツジムやプールその他の人の集まる事業所を少なくとも11月24日まで閉鎖すると宣言した。

これを受けて10月26日、飲食店が閉まる午後6時丁度を期して、北部のミラノやトリノ、首都ローマ、南部のナポリなどの大都市を中心に抗議デモが発生した。そのうちの一部は暴力を伴う激しいものになった。トリノではグッチやルイ・ヴィトンなどの有名店が破壊された。

抗議デモはレストランや飲み屋のオーナーや従業員また彼らに同情する人々によるものだった。ところが平和的な彼らのデモはふいに暴力的になった。警察によると破壊行為を含む暴動を主導したのは、イタリア極右中の極右政党「新しきイタリア」のメンバーや組織犯罪集団の「カモラ」。

組織されたそれらのグループに、不満分子の外国人や犯罪者またアナキストなどが加わって暴力化。火炎瓶が投げられ、爆竹が炸裂し、火のついた発炎筒から色つきの煙が吹き上がる騒ぎになった。便乗した者らは前述の高級店などの押し入った。

再び警察の発表によると、極右政党「新しきイタリア」は政府の新型コロナ対策に反対する抗議活動を計画実践しており、10月24日にもローマで暴力デモを行った。ナポリでの暴動は同地を根城にする犯罪結社「カモラ」が扇動したが、そこにも「新しきイタリア」がかかわった可能性がある。

新型コロナパンデミックを軽視し、感染防止のための規制策よりも経済活動を優先させろ、と叫ぶのは米トランプ大統領でありその信奉者たちである。彼らの言動やアクションはブラジルを巻き込み欧州にも伝播している。イギリスでもフランスでもドイツでもどこでも、コロナ感染防止策に異議を唱えるのは、主として極右のトランプ主義者らである。

極右勢力「新しきイタリア」が抗議デモを組織するのも、世界中を混濁させている米トランプ主義に煽られた結果だ。犯罪組織の「カモラ」やその他の暴徒は、世界的な政治潮流の恩恵やおこぼれに与ろうと群がったに過ぎない。

突飛に見えるかもしれないが、世界はよくも悪しくも-そしてトランプ主義がはびこる限りひたすら悪しき局面で-しっかりと結びつき絡み合い影響しあっている。言うまでもなく影響力は、超大国アメリカの権勢をバックに押し出されるトランプ主義のほうが圧倒的に強い。アメリカの動静が世界各地に波及するのだ。

その伝でいくと例えば、フランスのマクロン大統領が表現の自由を抹殺しようと試みるテロリストを糾弾するのを見て、トルコのエルドアン大統領が「マクロンは精神を患っている」、と脳みそを患っている未開人が吐きそうなコメントをしゃあしゃあと口にするのも、世界の一部を席巻するトランプ主義とコロナ禍が結びついた一大悪風の影響なのかもしれない。


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コロナ第2波入り口の欧州事情~イタリアでは規制に抗議するデモも


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イタリア政府はコロナ感染拡大第2波のうねりに対抗して、レストランや飲み屋やカフェの営業を18時までとする命令を出した。するとこれに反対する店のオーナーや従業員や共感者が北部のミラノやトリノまた南部のナポリなどで抗議デモを行った。このうちトリノでは一部が暴徒化して通りの店を壊すなどした。

イタリアは第1波で惨劇に見舞われ、レストランなどの飲食業や宿泊業また観光業の全体が手酷い被害を蒙った。ロックダウン(都市封鎖)が解除された後、それらの業界は少しの回復を見たが全面復興には程遠い状況。そこに第2波とそれを受けての厳しい規制がきた。悲鳴を挙げた彼らは通りに飛び出して抗議行動を起こした。

だが彼らの異議は、日本を含む一部の外国メディアが、あたかも激しい暴力行為を孕んだ動きのようなニュアンスで伝えた内容ではない。彼らは基本的に政府の管制を受け入れている。苦しい立場を明らかにしてできれば補償や援助を引き出したい、という胸の内が見て取れた。第1波の地獄を体験したイタリア国民は、厳しい規制だけがコロナの感染拡大の歯止めになることを知っている。

第2波の勢いがイタリアよりもはるかに深刻なフランス、スペイン、イギリスなどの欧州主要国と多くの周辺国では、ロックダウンも念頭に置いたさまざまな制限が導入され始めている。

例えば累計の感染者が120万人を超えて欧州最多となったフランスは10月22日、パリを含む9都市で実施してきた夜間外出禁止令を、38の地域と南太平洋ポリネシアのフランス領にまで対象地域を拡大した。外出禁止措置は6週間続けられる。が、その前に全土のロックダウンが導入される可能性も高いと思う。

感染者数が欧州で初めて100万人を超えたスペインは、カナリア諸島州を除く全土を対象に緊急事態を宣言。夜間外出禁止令を発動した。また家族の集まりは公私を問わず6人までに制限する、という家族重視のカトリック教国らしいルールも布告した。同じカトリックの国のイタリアやフランスでも似通った束縛が課される。また各州はそれぞれが州を跨いだ住民の移動を禁止してもよい、という権限を付与された。

欧州で新型コロナの死者が最も多いイギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各地域(国)が独自のコロナ対策を敷く。加えてミニ・トランプのボリス・ジョンソン首相が独断と思い上がりが濃厚な施策を取りがちなため、混乱が著しく感染拡大を止める有効な手段がない。

例えばイングランド北西部のリバプールなどではパブやバーが終日閉鎖されているのにレストランや商店の営業は認められていたり、南西部の ウェールズでは午後6時以降に飲食店が一斉に店を閉める「ファイヤー・ブレイカー」という規制が強制されていたりする。統一性がないことがイギリスの感染拡大を後押ししている、という見方もできそうである。

ドイツはコロナ対応でも例によって優等生振りを発揮している。それでも1日の感染者が過去最多を更新するなど感染者が急増していて、伝統的なクリスマス市場の開催を取りやめる動きが全国で拡大している。

メルケル首相は地域限定のロックダウンを計画していると見られている。ロックダウンは全土で全面的に実施しなければ効果がない。だが日本同様にお上に従順で四角四面な国民が多い同国でなら、あるいは意外にも高い成果が期待できるかもしれない。

またギリシャは首都アテネなどに夜間外出禁止令を出し、オランダはバーやレストランを閉鎖。ベルギーの首都ブリュッセルでは、商店の営業は午後8時までに制限され、スポーツジムやプールの営業も禁止されている。

人口1000万人に過ぎないチェコは、10万人あたりの新規感染者数が欧州で最悪。いわば日本の沖縄県状態である。厳格なマスク着用令が敷かれ、自動車内でさえマスクを付けなければならない。また10月22日からは店舗などが閉鎖され、移動の自由も大きく制限されて食料の買い付けや病気以外での外出は厳禁となっている。




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鳴り響くロックダウンへの警鐘


うつむき加減の人々


10月23日、イタリアの新型コロナ新規感染者数は1万9134人。ちょうど1週間前に1万人に達し(1万10人)、以来ほぼ倍増した。累計の感染者数は10月24日現在、48万4869人である。

これを受けて、イタリアの第1波の感染爆心地のロンバルディア、それに隣接するピエモンテ、また首都ローマがあるラッツィオ、ナポリが州都のカンパーニア、カンパーニアと同じ南部のカラブリアの五つの州が午後11時から翌朝5時までの夜間外出禁止令を発動した。

このうちカンパーニア州のヴィンツェンツォ・デルカ知事は、即座に全土の封鎖、ロックダウンを要請。一方でロンバルディア州のアッティリオ・フォンターナ知事は、第1波時のロックダウンで蒙った経済社会活動の打撃を繰り返すべきではない、と主張。

第1波ではためらうことなく全土封鎖に踏み切ったコンテ首相も即座のロックダウンには慎重な姿勢。だが将来の全土封鎖の可能性は排除していない。

第1波で導入されたロックダウンによる経済破壊と、国民また社会全体の疲弊を思えば、ロックダウンは避けるべきだ。だがコロナの感染拡大を止める有効な手段は全土封鎖しかないのも事実。

累計の感染者数が、イタリアの2倍以上の100万人を超えたフランスとスペインの状況はさらに深刻だ。フランスは首都パリを含む9都市に課した外出禁止令を38地域に拡大。人口6700万人のうち約3分の2に当たる4600万人が規制の対象になる。

スペインは首都マドリードで部分的ロックダウンが行なってきたが、全国的な厳しい規制は導入されていない。政権が少数与党であるため統一した政策が取れないのだ。ペドロ・サンチェス首相は、スペインの感染者の実数は300万人以上だろうと述べ、危機感を募らせている。

EUから離脱はしたものの、欧州の一部であるイギリスの感染拡大も続いている。ドイツもまたその他の国々の状況も深刻化の一途をたどっている。部分的な移動規制や外出禁止令は当たり前になり、多くの国が全土のロックダウンを視野に入れるようになった。が、全土封鎖の結果の凄まじさを知るだけに、どの国も必死でそれを避けようと動いている。


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茶番劇の凄み~米大統領選討論会~ 


向かい合う2人色違いnewsweek

イタリア時間の10月23日午前3時、米大統領選におけるトランプvsバイデンの第2回で最後の討論会が始まった。前回第一回目の討論会は、およそ討論とは呼べない両候補間の非難の応酬と、お互いが相手の話に割って入る蛮人の咆哮に終始した。

それを受けて今回は、項目別の討論の冒頭2分間は発言する側の相手のマイクをオフにする、という異例の処置が取られた。その策はうまくいった。両候補は冒頭の2分間ばかりではなく、全体的に抑制のきいたしかし強い姿勢で互いの主張を展開した。

根拠のない個人攻撃はむろんあった。例によってそれはトランプ候補の側に多かった。これは人格の問題だからある程度予想できた。いうまでもなくバイデン候補は聖人だったわけではなく、彼もまた醜い人格攻撃を行った。しかし、先制攻撃をするトランプ候補への反撃、という側面が強かった。

アメリカまた欧州の日々の報道を見ている僕のような者にとっては、両者の政策論争には目新しい点はなかった。政策とはかかわりのない個人攻撃の中身も同じ。玉石混交の大手メディアやネット情報サイトが繰り返し言及し、本人たちも口にする内容があふれ出ていた。そのうちから敢えて例を挙げておけば次のような事案だ。

新型コロナパンデミックについてトランプ候補は、ウイルスを軽視した自身の大失策を棚に上げて「ウイルスがアメリカに被害をもたらしたのは中国のせいだ。私のせいじゃない」と鉄面皮に言い放ち、パンデミックはまもなく終わる、ワクチンも数週間のうちには出来上がる、アメリカ国民は“ウイルスと共に生きる”ことを学んだ、などとも発言した。

それに対してバイデン候補は、22万人以上のアメリカ人が新型コロナで死んだ。それはトランプ大統領の責任だ。国民をそれだけ多く死なせておいてなおかつ大統領職にとどまるのは許されない。アメリカ人はウイルスと共に生きているのではない。“ウイルスと共に死んでいる”のだ、と厳しく批判した。

人種差別問題では、トランプ候補は「私はこの部屋にいる誰よりも人種差別をしない人間だ」と主張。バイデン候補は「この国には構造的な人種差別がある。あなたはアメリカの現代史で最も人種差別的な大統領のひとりだ。あらゆる人種差別の炎に油を注ぎ差別を鼓舞する犬笛を吹きまくる男だ」と指弾した。

北朝鮮についてトランプ候補は、私はキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と仲良しだ。外国首脳と良い関係を結ぶのは重要なことだ。北朝鮮との間には戦争も起きていない、と発言。一方のバイデン候補は、あなたが仲良しの北朝鮮の指導者は悪党だ。悪党を親友と呼ぶことであなたは北朝鮮を正当化し、彼にアメリカ本土まで届く高性能のミサイルを保有させるまでになった。キム・ジョンウンとの関係が良好だと吹聴するのは、欧州侵略前のヒトラーと仲良し、と自慢するようなものだと反撃した。

それに対してトランプ候補が、(あなたが副大統領だった)オバマ政権は北朝鮮の指導者と会うことはできなかった。私は良好な関係を築いて実現させた、と反論するとバイデン候補はすかさず、オバマ政権は北朝鮮と妥協せず厳しい条件を突きつけ続けた。だから交渉が成り立たなかったのだ、と一蹴した。

気候変動についてはトランプ候補は、パリ協定はアメリカにとって不公平であり、高い金を支払わなければならないから離脱した。何千万もの雇用や多くの企業を犠牲にするわけにはいかない、と主張。対しするバイデン候補は、世界中の科学者が指摘するように時間がない。問題に対応することで雇用を生むことができる。アメリカは5万ヶ所の充電ステーションを設置することなどで、世界の電気自動車市場で優位に立つことができる、と反論した。

またトランプ候補の脱税疑惑を取り上げてバイデン候補は、私は22年間ずっと納税記録を公表してきたが、あなたは一度も公表していない。一体なにを隠しているんだ、と追及。するとトランプ候補は、税理士が対応している。用意ができればすぐにでも公表するし、私はここまで何百万ドルも納税してきた、と反論。それにはバイデン候補が、あなたはもう何年も同じことを言っている。だが未だに納税記録を公表していない、と切り返した。

トランプ候補は、バイデン候補がオバマ政権の副大統領だった時代、本人や家族が外国から巨額の資金提供を受けていた、と裏付けのない主張も繰り返した。これに対してバイデン候補は、私はこれまで外国からただの一度も金をもらったことはない。人生で一度もない。私の息子や家族も一切不正はしていない、と言い返した。

ふたりの候補の主張は、前述したように欧米のメディアで取りざたされてきたものばかりだ。しかし、トランプ氏とバイデン氏が顔を突き合わせて論戦を張ると、それらの中身はまた違うものにも見えていた。そこにはトランプ氏の嘘と強弁と詭弁がてんこ盛りにされていた。それでも彼が選挙で勝利する可能性が十分あることが、今のアメリカの悲劇だと僕には見える。だがそれは僕が自動的に且つ積極的にバイデン候補を支持することを意味するのではない。

ネトウヨヘイト系排外差別主義者で人種差別主義者、かつ実体は白人優位論者でもあるトランプ大統領の登場で、それらのコンセプトの対極にある哲学を理想として追求する「未来のアメリカ」への僕の100年の恋は冷め果てた。米国民のひとりであるバイデン候補にもその責任の一端がある。それでもバイデン候補が打ち出し標榜する理念には、「未来の理想のアメリカ」のかけらが内包されていると感じる。そこで僕は2016年の米大統領選と同じく、「消去法」で、バイデン候補を応援する気分でいる。



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イタリアはコロナ感染抑制の「貯金」を使い果たしつつある


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英仏スペインを筆頭に進んできた欧州の新型コロナ感染拡大の第2波が、どうやらこれまで極めて静かだったイタリアも飲み込みこんでさらに勢いを増しつつあるようだ。

10月初めのイタリアの一日当たりの新型コロナ感染者数は2000人台だった。当時はそれは驚くほど大きな数字に見えた。ロックダウン解除後、イタリアの新規感染は低い水準で推移していたからだ。

ところがその数字は感染が急増していたスペイン、フランス、イギリスなどに比べると、とても低い水準に過ぎなかった。だがその後イタリアの感染者数は、3国をなぞるようにじわじわと増え続けた。

そして10月16日、ついにイタリアの一日当たりの感染者数は1万人を超えた。翌日も増えて1万925人が新たに感染した。また累計の感染者数も節目の40万人を超えた。

18日は日曜日にもかかわらず感染者数はまた増えて1万1705人に達した。週末は欧州のほとんどの国と同じようにイタリアの検査数も少なくなる。それでも新規の感染者数は減らなかった。

だが第2波が猛威を振るっているフランスでは、イタリアの感染者数が1万人に達する前の10月15日に、一日の感染者数が3万人を超えた。それを受けてフランス政府は、首都パリを含む9都市に夜間外出禁止令を発動した。

パリの街の灯がまた消えた。マルセイユ、リヨン、グルノーブル、 サン・テティエンヌなどの街の夜も漆黒に閉ざされる。規制期間は4週間。だが状況によっては延長されることが決まっている。

スペインとイギリスの感染拡大も続いている。10月15日、イギリスの感染者は1万8980人を数えた。スペインの毎日の新規感染者数も極めて多い。優等生のドイツでさえ間もなく1万人に迫る勢いである。

各国は感染拡大に伴ってさまざまな規制をかけ始めている。飲食店などの営業時間が短縮されバーやパブなどでの立ち飲みも制限される。ロンドン市内にある3600余のパブの多くは、今後の展開によっては倒産閉鎖に追い込まれる可能性がある。

またスペインのカタルーニャ州では、バーやレストランの営業が大幅に制限されテイクアウトのみが可能となる。さらにジムや文化施設またショッピングセンターや各種店舗では、それぞれ定員の50%まで、あるいは30%まで、と収容人数が制限される。

一方オランダでは、全てのバーやレストラン、カフェなどの店内営業が全面禁止。テイクアウトのみが許されることになった。さらに人々が各家に招待できる客の数は1日に3人までに制約される。

国民の辛苦を尻目にオランダ王室の家族はギリシャに休暇に出向いた。当然国民から強い怒りの声が沸き起こった。そのため愚か者の王室のメンバーがあわてて休暇を切り上げる、というハプニングもあった。

その他の欧州の国々、たとえばチェコ、ベルギー、ポルトガル、またポーランドなどの感染拡大も急速に進んでいる。第2波はもはや誰にも否定できない。

ここイタリアではさらに、一日の感染者数が1万1705人に膨れ上がった10月18日以降は、各市町村長が、地域の広場や道路を含む公共の場所を夜9時をもって閉鎖できる、とする政府の決定が告示された。

同時にバーやカフェなどの営業は、午後6時以降はテーブル席のみに制限され、各席の人数は最大6人まで、とも決められた。レストランの営業もそれに準じる。また公共交通機関の混雑を避けるために、各学校に時差登校を要請するなどした。

イタリアでは長く厳しい全土封鎖措置を導入したことが功を奏して、夏の間は感染が押さえ込まれてきた。日毎の死者数も3月から4月のピーク時の900人超から激減した。だが感染拡大はじわじわと進行しつづけた。

イタリアは最近、残念ながら第1波の過酷な犠牲によって獲得した感染抑制の「貯金」を使い果たしつつあるように見える。だが人々の中にしっかりと留まっている恐怖心が感染拡大を堰き止めるだろう。

たとえ思い通りに感染を抑制できなくても、3月~4月の感染爆発とそれに伴う医療崩壊への怖れ、と同時に最終的にはそれを克服した自信が相まって、イタリアは危機を上手く切り抜けるだろう。

切り抜けると信じたい。


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SNSの愉快


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SNSはFacebookも利用している。TwitterもあるがFacebookほどには重宝していない。Facebookの友達は多くない。増やしたいが方法が分からない。少ないFB友だが、ブログへの関心度を探る観測気球としては十分以上に役に立つ。

Facebookに投稿するブログ告知への読者の関心と、ブログそのものを読む(訪問する)読者の数はほぼ正比例する。Facebookで「いいね」を押した読者が必ずブログを読むとは限らないが、不思議なことにそこでの関心が高いとブログの読者も増えるのである。

いま言ったようにFB友は少ないので「いいね」もひどく少ない。しかし、例えばひとりの「いいね」と3人の「いいね」の間には既にかなりの違いがある。後者の記事は間違いなく前者よりも多くの読者がついている。

ところがたまに、Facebookでは全く反応がないのにブログの訪問者(読者)数がロケット並みの勢いで上昇することがある。一昨日と昨日がそうだった。上昇の勢いは弱まったが今日も読者が増えそうな気配がある。

読者が誰であるかは著者の僕には分からないが、Livedoorブログでは訪問者(読者)数と読まれたページ数はブログの管理欄で分かる仕組みになっている。早朝(日本時間昼間)にブログを開けると同時に雰囲気が伝わってくる。

直近の記事で未知の読者(FB友ではない読者)に多く読まれそうなものはなにか、とすぐに探索してみる。今この時、何が多くの人の関心の的であるかを知るのは、テレビ屋としての僕のまた自称ブロガーとしてもマストの事案だろうと思う。

匿名で吼えるネトウヨヘイト系の卑怯者らに読まれそうな記事があればたちどころに分かる。つまり炎上だが、記事は読まれてナンボだから炎上は大歓迎だ。だがそんな記事は身に覚えがあるから実はわざわざ探索するまでもなくピンとくる。

今回は良く分からない。読者数が急激に増えたのは<海が割れるモーゼの奇跡がベニスに出現!http://blog.livedoor.jp/terebiyainmilano/archives/52308307.html>あるいは改題した同じ記事<海を塞き止める「モーゼの奇跡」がベニスに出現!https://www.cannapensante.com/2020/10/15/2832/ >を掲載した直後からである。

ベニス水没の危機は日本人もある程度知っているだろう。だから読まれた可能性はあるが、少し大げさに言えば爆発的に読まれるほどのトピックとは思えない。そこでまた少し調べると、トランプ大統領が好きなネトウヨらが怒るかもしれない<きちがいピエロ vsDトランプhttp://blog.livedoor.jp/terebiyainmilano/archives/52308113.html >があった。

また<狂犬vs痩せ犬http://blog.livedoor.jp/terebiyainmilano/archives/52307918.html ><盛り下がる米大統領選
http://blog.livedoor.jp/terebiyainmilano/archives/52307532.html >
なども読まれる類の話かも、と考えた。だがどうもしっくりこない。そしてやがて気づいた。パリで教師が首を切断されて死ぬ事件があった。またしてもイスラム過激派の蛮行である。

それにリンクするような記事を一ヵ月以上前に書いたことを思い出した。

<シャルリー・エブド~再びの蛮勇?英雄?http://blog.livedoor.jp/terebiyain.../archives/52307217.html >あるいは<Je suis Charlieか否か?https://www.cannapensante.com/2020/09/09/2708/ >である。この2本が一番怪しいが、確実なことはやはり分からない。だが多く読まれていればどの記事であろうが構わない。読まれることが記事を書く動機のひとつであることは間違いないのだから。



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海が割れるモーゼの奇跡がベニスに出現!



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沈み行くベニスにどうやら救世主があらわれたようだ。

2020年10月3日、ベニスは高潮に見舞われて街じゅうが水浸しになると予想された。住民は浸水に向けて建物や通りを厳重に防御し長靴や雨具などで重装備をした。海抜の最も低い街の中心のサンマルコ広場を筆頭に、戦々恐々とした時間が流れた。

高潮は135cmを超えると予報が出た。そこで巨大な移動式堤防「モーゼ」が起動されることになった。普段は水中に没している78基の鉄製の防潮ゲートがせり上がって、外海からベニスの潟湖へと流入する潮を堰き止めるのである。

装置はこれまで一度も使用されたことがなかった。試験的な起動は行われていたが、高潮時に実際に始動したことはないのだ。それどころか試験運転の成否はあいまいで、住民を納得させるだけの結果は得られていなかった。

モーゼの構想は1980年代に生まれ、建設は2003年に始められた。しかし経費の高騰や繰り返し起きた汚職問題などで、完成が何度も先延ばしにされてきた。いつまでも成就しない事業にベニスの住民は疲れ、モーゼへの期待も信頼もほぼ全て無くしてしまっていた。

人々は今回の悪天候でもお決まりの辛苦を想定した。ところが高潮が135cmに達してもベニスの街に水は流れ込まなかった。海抜の低いサンマルコ広場周辺も地面は乾いたままだった。つまりモーゼは見事に膨大な潮の流れを堰き止めたのである!

史上初の快挙にベニス中が沸き立ち、イタリア全土が賛嘆した。建設開始から数えて17年の歳月と55億ユーロ(約7000億円)以上の税金を飲み込み、汚職と疑惑と不信にまみれた一大プロジェクトがついに完成したのだ。

ベニスは遠浅の海に浮かぶ100以上の島から成る。海に杭を打ち込み石を積んで島々を結び、水路を道に見立てて街が作られている。街が生まれた5世紀以来、ベニスは悪天候の度に高潮に襲われてきた。海に浮かぶ作為の土地の宿命である。

近代に入ると、地下水の汲み上げなど工業化による地盤の乱用によって、街自体が沈下を始めた。海抜1メートルほどの高さしかないベニスの礎は、1950年から70年にかけての20年間だけで、12センチも沈降した。現在は大幅に改善されたが、脆弱な土壌は変わることはない。

人災がなくなっても残念ながらベニスの不運が変わることはない。というのもベニスの地下のプレートが、毎年数ミリづつ沈下しているからだ。放っておいてもベニスの大地は、数百年後には海抜0メートルになる計算である。

現在ひんぱんに起こるベニスのいわゆる水没問題の本質は、しかし、地盤沈下ではなく高潮の恐怖である。ベニスには秋から春にかけて暴風雨が頻発する。それによって高潮が発生してベニスの潟に洪水のように流れ込む。

元からあるそれらの悪条件に加えて、最近は温暖化による水位の上昇という危難も重なった。そのため自然と人工の害悪が重層的に影響し合って、ベニスの街はさらに大きな高潮浸水に襲われる、という最悪の構図が固定化してしまった。

高潮はアフリカ大陸発祥の強風「シロッコ」によって増幅され膨張して、アドリア海からベニスの浮かぶ潟湖へとなだれ込む。そういう場合にベニスは“沈没”して、壊滅的と形容しても過言ではない甚大な被害を蒙るのである。

ベニスで最も海抜が低いのは、前述したサンマルコ広場の正面に建つサンマルコ寺院。その荘厳華麗な建物は、1200年の歴史の中で高潮による浸水被害を6度受けた。そのうち4度は過去21年の間に起きている。その事実は、ベニスの高潮問題が地球温暖化による海面上昇と無関係ではないことも示唆している。

年々悪化する浸水被害を食い止めようとして、ベニスでは古くから多くの施策が編み出され試行錯誤を繰り返してきた。その中で究極の解決策と見られたのが、ベニスの周囲に可動式の巨大な堤防を設置して海を堰き止めるという壮大な計画、「モーゼ・プロジェクト」なのである。

モーゼという名は旧約聖書からきている。モーゼがヘブライ人を率いてエジプトから脱出した際、海が割れて道ができたという一節を模しているのだ。モーゼは海を割って道を作る軌跡を起こした。「モーゼ・プロジェクト」は海を遮断して壮麗な歴史都市ベニスを救うのである。

2020年10月3日、高潮の予報が出たとき、当局は史上初めてモーゼを起動すると発表した。だが既述したように、ベニスのほとんどの住民はモーゼの実効性を信じることはなく、むしろ「うまくいくわけがない」と内心で嘲笑った。誰もが濡れ鼠になることを覚悟した。

ところが、おどろいたことに、モーゼはうまく高潮を堰き止めた! 着想から数えると何十年もの遅延と汚職と疑義にまみれた歳月を経て、巨大プロジェクトがついに成功を収めたのだ。標高が最低のサンマルコ広場を含む海抜1メートルほどの街の全体が、史上初めて高潮災害時に浸水しなかった。

ベニスはあるいは今後、高潮の被害から完全に開放されようとしているのかもしれない。それはこの先、史上最悪の高潮だった1966年の194cm、また昨年11月に起きて甚大な被害をもたらした187cmの高潮などに迫る大難が襲うときに、一気に明らかになるだろう。



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イタリア南部の感染爆発が怖い



地球マスク630


フランス、スペイン、イギリス、ベルギーなどに続いてイタリアもついにコロナ感染爆発第2波に襲われつつあるようだ。

ここのところほぼ連日、ロックダウン解除後の新規感染者数の新記録が書き換えられていて、10月10日は5724人となった。

イタリアは6月のロックダウン解除後、比較的穏やかだった。ロックダウンをどの国よりも長く厳しく維持し、解除を段階的に行った結果が出た。

一方ロックダウンをイタリアよりも遅れて且つ緩やかに実施し、それの解除は素早く大幅に行った英仏西他の国々は、すぐに第2波に襲われた。

3月から4月にかけて医療崩壊に見舞われ。真のコロナ地獄を体験したイタリア国民の間には強い恐怖感がある。それも感染拡大の抑止力になってきた。

だが欧州大陸全体の感染拡大の大波は、イタリア一国の努力や警戒や恐れを軽々と呑み込んでさらに膨張する気配だ。

パリやマドリードやロンドンまたブリュッセルなどの大都市では、ロックダウンを彷彿とさせる規制がかけられたりしている。

イタリア全土の再びのロックダウンは考えにくいことだが、それらの都市と同じ程度の管制や束縛はイタリアでも必ず導入されるだろう。

イタリアの第2波の不安は、第1波では比較的傷が浅かった中部や南部で感染拡大が進むことだ。そこは北部と違って医療体制が脆弱だ。

第1波では、欧州でも一級の医療体制を整備した北部ロンバルディア州が、突然想定外の感染爆発に見舞われて医療崩壊に陥った。

同じことがイタリア南部で起これば、第1波よりも悲惨な事態になりかねない。現にナポリが州都の南部カンパーニャ州では、急速な感染拡大が起きて医療体制が緊張している。

加えて、感染爆心地だったロンバルディア州を始めとする北部州の感染拡大も再燃しつつある。状況は全く予断を許さない。

イタリアは第1波から多くのことを学んだ。医療現場の信頼と自信は深まっている。

しかし北部と南部が同時に、あるいはかつてのロンバルディア州並みの勢いで南部のどこかが感染爆発に見舞われたなら、第1波を凌駕する恐慌が訪れる可能性も高い。



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きちがいピエロ vsDトランプ 



気狂いピエロ+トランプ合成


新型コロナに感染して入院中のトランプ大統領が10月4日、警護のSPを始めとするスタッフをコロナ感染の危険にさらしつつ、病院を抜け出して車で支持者の前に姿を現し物議をかもした。

さらに翌日には、退院してホワイトハウスに戻り、集まった報道陣にマスクを外してテラスから手を振って見せた。新型コロナに感染したものの、病気は大したことではない、と虚勢を張ったのである。

トランプ大統領は、かねてから新型コロナの脅威を軽視して国民をミスリードし、結果20万人以上の米国民が死亡した。感染拡大は今も全く収まる気配がない。

国民が苦しみ、自らが病気に掛かってもコロナは大したことではない、とツッパる大統領に「無責任だ」という罵声が飛び、前日以上の大論争が巻き起こった。

だが全く懲りない大統領はさらに、支持者に向けて「新型コロナを恐れるな」「コロナに生活(人生)を支配されるな」などとツイッターで吼えた。

その気丈は悪くないとは思うが、彼の支持者に代表される蒙昧な人々の軽率な行動が、感染爆発の原因の一つとされる中では、その投稿もまた大統領の対コロナ政策の失態と見なされるべきだろう。

そればかりではなく、トランプ政権中枢の幹部らも次々に感染していることが明らかになっている。それはひとえに、ボスのトランプ大統領が新型コロナを侮り続けたツケだ。

大統領が感染防止を無視した行動を取ったことによって、アメリカで最も重要な建物のひとつであるホワイトハウスは、感染拡大の爆心地の一つになっている可能性さえある。

ただひたすら選挙に勝つこと、つまり権力に固執するのみで、国民はおろか周囲のスタッフがコロナに感染する危険さえ顧みないモノマニアが、また奇態をさらした、というところか。

昔、「気狂いピエロ」というフランス・イタリア合作の映画があった。監督はジャンリュック・ゴダール。フランソワ・トリュフォー、アラン・レネなどと並び称される仏ヌーベルバーグの旗手である。

一世を風靡した作品では、名優ジャンポール・べrモンド演じる主人公のピエロが、退屈な日常をかなぐり捨てて愛人とともに逃避行をする。カップルは殺人事件に巻き込まれたのだ。

斬新な色彩感覚と、みずみずしい言葉の遊びが画面いっぱいに弾ける前衛的な映画のテーマの一つは、「アメリカへの反発」だった。

ゴダールらヌーベルバーグ世代の人々が、正義と希望の象徴として敬愛してきたアメリカが、当時ベトナムで戦争を仕掛け彼の地で暴虐の限りをつくしていた。作品にはそのことへの失望と怒りが込められていた。

あれから半世紀余りが過ぎた2016年、映画とはなんの関係もないことだが、アメリカへの僕の100年の恋もトランプ大統領の誕生によってすっかり冷めてしまった。

ネトウヨヘイト系排外差別主義者、トランプ大統領への不信感も大きいが、彼を大統領に押し上げたアメリカ国民に僕は激しく幻滅したのだ。

アメリカは今あるアメリカが偉大なのではない。アメリカ国民がこうありたいと願い夢見る理想のアメリカが偉大なのである。

アメリカには不平等や人種差別や貧困にとどまらず、ありとあらゆる不幸が存在する。アメリカはそれらの解消に向けて動き、戦い、前進してついには理想の国家を構築する。

理想の国家では自由と民主主義と機会の均等と富裕が、人種の如何にかかわらず全ての国民に与えられる。アメリカが素晴らしいのはその理想を掲げ、理想に向かって歩む姿である。

理想的なアメリカ合衆国は、実は理想に向かって国民が「行動する」過程の中にこそある。それはトランプ大統領が叫ぶ「強いアメリカ」とはほぼ対極のコンセプトだ。

だがアメリカは、その理想とは相容れないドナルド・トランプという怪異を大統領に選んだことで、大きく変質した。アメリカはもはや理想を追いかける「理想の国」ではなくなったように見える。

再選を目指しながら自らの失態の連鎖に気づいたトランプ大統領が、周章狼狽し、まろび、泡を食って必死に足掻けばあがくほど、アメリカの混乱と堕落と無気力が奔出するように僕には見える。

たとえ彼が落選しても、アメリカへの幻滅感は癒されない。信頼の構築には膨大な時間がかかる。だが、崩壊は一瞬である。そして壊れた信頼の再構築には、以前に倍する時間がかかる。

「理想のアメリカ」を見失ったアメリカへの僕の失望感は、傑作映画「気狂いピエロ」に込められたアメリカへの怒りに似ている。

そこで僕は、新型コロナを軽視し且つ「理想のアメリカ」像を破壊し続けるトランプ大統領には、「狂信的な道化師」という意味で、映画のタイトルと同じフレーズをそっくりそのまま進呈しておこうと思う。



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秋の欧州で撃ち殺される確率



猟師を撃つ熊500


欧州は新型コロナ感染拡大第2波に襲われつつある。それどころか、スペイン、フランス、イギリス等の感染状況を見ると、第2波の真っただ中という見方もできる。

そんな中でも― いや感染を恐れて家に閉じこもる機会が多いそんな折だからこそ―ヨーロッパ人は狩猟に出ることをやめない。

欧州の多くの国の狩猟解禁時期は毎年9月である。新年をまたいで2月頃まで続く。いうまでもなく細かい日時は国によって異なる。

たとえばイタリアは9月の第一日曜日に始まり約5ヶ月にわたって続く。フランスもほぼ似通っている。

一方、狩猟超大国のスペインは春にも狩猟シーズンがあって、一年のうちほぼ9ヶ月間は国中の山野で銃声が聞こえる。

スペインの狩猟は悪名高い。狩猟期間の長さや獲物の多さが動物愛護家やナチュラリスト(自然愛好家)などの強い批判の的になる。

2012年には同国のフアン・カルロス前国王が、ボツワナで像を撃ち殺して世界の顰蹙を買い、スペインの狩猟の悪名アップに一役買った。

もっとも狩猟への批判は、フランスやイタリアでも多い。欧米の一般的な傾向は、銃を振り回し野生動物を殺すハンティングに否定的だ。

近年はハンターも肩身の狭い思いをしながら狩猟に向かう、といっても過言ではない。彼らの数も年毎に減少している。

それでもスペインでは国土の80%が猟場。今でも国民的スポーツ、と形容されることが多い。正式に狩猟ライセンスを保持しているハンターはおよそ80万人である。

だが実際には密猟者と無免許のハンターを合わせた数字が、同じく80万程度になると考えられている。つまり160万人もの狩猟者が野山を駆け巡る。

イタリアのハンターは75万人。状況はスペインやフランスなどと同じで、多くの批判にさらされて数は年々減っている。しかし、真の愛好者は決してその趣味を捨てない。

かつてイタリア・サッカーの至宝、と謳われたロベルト・バッジョ元選手も熱狂的ハンターである。彼は仏教徒だが、殺生を禁忌とは捉えていないようだ。

狩猟が批判されるもうひとつの原因は、銃にまつわる事故死や負傷が後を絶たないことである。犠牲者は圧倒的にハンター自身だが、田舎道や野山を散策中の関係のない一般人が撃ち殺される確立も高い。

狩猟は山野のみで行われるのではない。緑の深い田舎の集落の近辺でも行われる。フランスやイタリアの田舎では、家から150メートルほどしかない範囲内でも銃撃が起こる。

そのため集落近くの田園地帯や野山を散策中の人が、誤って撃たれる事故が絶えない。狩猟期間中は山野はもちろん郊外の緑地帯などでも出歩かないほうが安全である。

イタリアでは昨年秋から今年1月末までのシーズン中に、15人が猟銃で撃たれて死亡し49人が負傷した。また過去12年間では250人近くが死亡、900人弱が負傷している。

またフランスでは毎年20人前後が狩猟中に事故死する。2019年の秋から今年にかけての猟期には平均よりやや少ない11名が死亡し130人が負傷した。

狩猟の規模が大きくハンターも多いスペインでは、一年で40人前後が死亡する。また負傷者の数は過去10年の統計で、年間数千人にも上るという報告さえある。

事故の多さや批判の高さにもかかわらず、スペインの狩猟は盛況を呈する。経済効果が高いからだ。スペインの狩猟ビジネスは12万人の雇用を生む。

ハンティングの周囲には狩猟用品の管理やメンテナンス、貸し出し業、保険業、獲物の剝製業者、ホテル、レストラン、搬送業務など、さまざまな職が存在する。

スペインは毎年、世界第2位となる8000万人を大きく上回る外国人旅行者を受け入れる。ところが新型コロナが猛威を振るう2020年は、その97%が失われる見込みだ。

観光業が大打撃を受けた今年は国内の旅行者が頼みの綱だ。その意味でもほとんどがスペイン人である狩猟の客は重要である。2020年~21年のスペインの狩猟シーズンは盛り上がる気配があるが、それは決して偶然ではない。

スペインほどではないがここイタリアの狩猟も、またフランスのそれも盛況になる可能性がある。過酷なロックダウンで自宅待機を強いられたハンター達が、自由と解放を求めて野山にどっと繰り出すのは理解できる。

欧州では2020年秋から翌年の春にかけて、鹿、イノシシ、野生ヤギ、ウサギまた鳥類の多くが狩られ、ハンターと同時に旅人や散策者や住人が誤狙撃されるいつもの危険な光景が出現することになる。

同じ欧州は新型コロナの感染拡大第2波に襲われている。外出をし、移動し、郊外の田園地帯や山野を旅する者は従って、狩猟の銃弾の剣呑に加えて新型コロナウイルスの危険にも晒される、という2重苦を味わうことになりそうである。


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