外国人観客だけを排除して五輪を開催するという考え方には賛成できない。
観客を入れないのなら日本人も除外するべきだ。それでなければ差別になる。
世界共有の宝であるオリンピックを誘致しておいて、パンデミックを口実に日本人(観客)だけを特別扱いにするのは間違っている。
観客がいたほうがゲームは確実に盛り上がる。選手のやる気も高まる。
それは大相撲でもイタリアのプロサッカーの試合でも証明されている。
同時に、無観客でも試合がある程度盛り上がることは、再び大相撲でもプロサッカーでも確認されている。
金儲けが気になるのなら、主催者と菅政権は、少し商品価値が落ちる「無観客ゲーム」の、世界配信収入のみで我慢するべきだ。
それでなければ、五輪に出場する全ての選手の背後にいる、世界各国の国民の競技場への「直接参加」を拒絶した申し訳が立たない。
落としどころがどこになるにせよ、東京五輪は後味の悪い結果になる可能性も高い。
最も安全なのは、この際、世界共通の悩みであるコロナパンデミックを世界とともに悩み、格闘し、打ち勝つ努力に専念することだ。
つまり、勇気を持って開催を諦めることである。まだ決して遅くはない。
そうはいうものの、開始された聖火リレーが福島県内を練り行く様子を見ると、大震災からの復興のシンボルとしての五輪開催に大きな拍手を送りたい、とも腹から思う。
聖火リレーを中継したNHKは、五輪に大金をつぎ込むよりも、いまだに避難を余儀なくされている多くの人々の救済を優先してほしい、という被災者の悲痛な声もしっかりと伝えていてよかった。
考え方は人みなそれぞれだ。
僕はあくまでも開催には懐疑的だ。だが、やはりどうしても開催するのなら、むろん成功を祈りたい。
世界同時中継されるであろうゲームもしっかりと観ようと思う。