ウクライナの首都キエフで、ロシア軍の爆撃に追われて地下壕に避難し震えている、多くの子供たちの姿が人々の涙を誘っている。
バイデン大統領は、エスカレートするロシア軍のウクライナへの蛮行を非難して、ロシアへの経済制裁に代わる措置は第3次世界大戦だ。だがそれはありえない、と言明した。
その言葉を後押しするように、EUを含むアメリカの同盟国は「ロシアの銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除する」と発表した。
共同声明には欧州委員会とフランス、ドイツ、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカの首脳が署名した。
ロシアへの厳しい経済制裁が発動される場合、国際決済システムSWIFTからロシアの金融機関を締め出せるかどうかが鍵とされた。
ロシアとの取引が多いドイツなどが強く反対していたからだ。だがロシアのウクライナ侵略はあまりにも重大だとして、ドイツも折れた。
SWIFTは国境を越えた決済、送金、資金の移動等が速やかにできる仕組みである。は世界中の11000以上の銀行や金融機関が加盟している。
SWIFTから締め出されることで、ロシア経済は大きな打撃を受ける。
また欧州委員会と前出の6ヶ国は、高額の投資をしたロシアの富裕層に与えられる、いわゆる「ゴールデンパスポート」も制限すると決めた。
それらの富裕層は、投資と引き換えに欧米諸国の国籍を取得し、欧米の金融機関を利用してプーチン政権を陰に陽に支援しているとされる。
ロシアがSWIFTから切り離されたのは大きな出来事だ。
しかし、それだけでロシア経済が完全に麻痺して戦争遂行が不可能になるかどうかは分からない。
SWIFTから排除されたのはロシアのすべての銀行ではない。またSWIFT以外のルートでの取引方法もある。
加えてロシアを支援する中国とその友好国が、SWIFTとは無関係なルートでロシアとの取引を
維持して制裁の抜け道を作る可能性もあるだろう。
「ロシアへの経済制裁に代わる措置は第3次世界大戦だ」というバイデン大統領の表現は、言い換えれば「ロシアへの経済制裁は第3次世界大戦に匹敵するものでなくては意味がない」ということだ。
SWIFTにつづくロシアへの峻烈な経済攻撃が速やかに且つ連続して繰り出されるべきだ。
第3次世界大戦の危険を避けるためには、第3次世界大戦に見合う規模での経済的犠牲さえ払う覚悟が必要ではないか。
つまり大きな返り血を浴びる覚悟で、ロシア経済を徹底的に破壊することだ。しかも迅速に。