【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

2024年10月

NHKが“与党過半数割れの衝撃”と騒ぐ衝撃


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今回の衆議院選挙で最も気になったのは、相も変わらない投票率の低さである。

裏金問題という深刻な事案が争点の選挙でも、投票率は53.85%という寂しい数字だった。

日本の選挙の投票率が低いのは、国民が政治に関心を持たないからだ。そして国民が政治に関心を持たないのは彼らが民主主義を理解していないからだ。

自らの一票が真実、権力の行方やあり方を左右する、という厳然たる事実を多くの国民が意識すれば、投票率は必ず上がる。

結果、政権交代が起きる。

そして政権交代が起きることを政治家が肌身で感じれば、彼らは襟を正す。少なくとも国民を恐れ国民の声に耳を傾ける。

そこの部分が日本の民主主義には欠落している。つまり日本の民主主義は真の民主主義ではなく、民主主義の名を借りた「一党独裁政治主義」に過ぎないのである。

そのことを象徴的に表しているのが、選挙結果を踏まえてNHKの看板番組「クローズアップ現代」が放った、“与党過半数割れの衝撃”というタイトルだ。

与党の過半数割れは、まともな民主主義国家の選挙なら当たり前の事相だ。それを衝撃と呼ぶNHKの心状こそが衝撃である。

米英に代表される2大政党の回転ドア式政権樹立法を別にすれば、過半数を制する政党が無く、複数の勢力が連立を組んで政権を担うのが民主主義国の普通の在り方だ。

言葉を替えれば、与党過半数割れが現代政治の常態なのである。

自民党がほんのひと時を除いて政権を握り続けてきたのは、日本の政治環境が中露北朝鮮にも似た独裁主義まがいの硬直した政体だからだ。

日本はその醜悪な政治文化を早急に破壊して、政権交代が簡単に起きる政治環境を作り上げるるべきだ。

ここイタリアでも、戦後一貫して日本の自民党に当たるキリスト教民主党 が政権を担いつづけた。

だが1994年、スキャンダルに始まる政治危機の連鎖によってキリスト教民主党が崩壊、消滅しベルルスコーニ率いるフォルツァ・イタリア党が政権を握る“政治革命”が成就した。

以来イタリアは、政権交代が易々と起きる国になった。

イタリアの民主主義は、民主主義先進国の中では最も稚拙とみなされることが多い。だがそれは稚拙ではなく、多様性が差配する政治環境の殷賑が、外部からは政治の混乱と見えるに過ぎない。

混乱に見えるからイタリアの民主主義は稚拙、と知ったかぶりを言う自称ジャーナリストや専門家や知識人が、特に日本を中心に多くいる。

彼らにはイタリア政治を支配している多様性の精神がまるで見えていないのである。

それに対して一党独裁的な政治環境が継続している日本では、国民の政治参加が圧倒的に少なく、結果民主主義の核の一つである政権交代が起きない、という悪循環が続いている。

日本は敗戦後にタナボタで手に入れた民主主義を研鑽し、本質をしっかりと捉えて、子供たちに死に物狂いで教え彼らの血となり肉となるように仕向けなければならない時期に来ている。

それが成れば、必ず投票率が上がる。結果―繰り返しになるが―政権交代が起きる。そして政権交代が起きることを政治家が実感すれば、彼らは反省し態度を改め国民の声に真摯に耳を傾ける。

そうやって民主主義はさらに深化していく。

民主主義は漫然と付き合っていると、たちまち中露北朝鮮のような専制主義に取って代わられる危ういシステムだ。一人ひとりが立ち上がって闘わなければならない。

その最たるものが投票に行くという行為だ。

民主主義体制はそこにあるのが当たり前ではない。専制主義や過激主義、またトランプ論者や独裁者が跋扈する世界で、懸命に闘い努力をしてのみ得られる開放であり、自由であり、喜びなのである。










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地に落ちた勇者、マンチーニに地獄はない

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 イタリアサッカーの勝ち組、あるいは常勝監督とも形容できるロベルト・マンチーニ氏が、サウジアラビア代表監督を首になった。

マンチーニ監督は2021年、欧州選手権で53年ぶりにイタリアを優勝に導いて大喝采を浴びた。

ところが2023年、サウジアラビアから同国の代表監督就任を要請され、提示された年棒2500万ユーロ、およそ41億円に釣られてイタリア代表監督の職を投げ出した。

W杯にも匹敵する欧州選手権を勝ち抜いた、マンチーニ監督への賞賛に満ちていたイタリアの世論は、一夜にしてブーイングに変わった。

莫大な金額が右から左に軽々と動くサッカー界のこと。彼が大金に釣られるのは仕方がない。だが、W杯予選の大事な試合が控えているまさにその時に、代表監督の座を去った無責任さが国民の怒りを買った。

しかしそれも一瞬の出来事だった。サッカービジネス界の騙しあいと裏切りと金権体質に慣れきっている人々はすぐに事態を忘れた。

それから1年半後、つまり2024年10月24日、成績不振を責められてマンチーニ氏はサウジアラビア代表監督をお払い箱になった。

イタリアの一般有力紙はこぞって「金に転んでサウジアラビアに走ったマンチーニが、馘首されてすごすごとイタリアに舞い戻った」と、皮肉と指弾と嘲笑を交えて記事を書きまくった。

僕もそれらの新聞と同じ気分だが、同時にイタリアの、またヨーロッパのサッカー界は、明日にはもうマンチーニ氏の不徳などケロリと忘れて、彼を雇うために臆面もなく奔走しまくるだろう、とも思っている。






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ギリシャ旅の玉に瑕 

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ギリシャは都市部のカオス的愉快と、エーゲ海の島々の乾いた碧空とビーチの清涼が魅力一等のリゾート地だが、人によっては不快に感じるに違いないひとつの問題がある。

それは便器にトイレットペーパーを流せないことだ。

ほぼ全国に渡って水洗トイレが当たり前に整備されているのだが、配水管が細く設備が十分ではないために、トイレットペーパーでも詰まってしまう。

そのために使用済みの紙はトイレに流さずに備え付けのゴミ箱に捨てるように要求される。

世界には水洗トイレがあっても紙をそこに流せない国がゴマンとある。中国、韓国、ブラジル、アルゼンチン、トルコ、タイなど、欧米と日本以外の世界の国々の多くが同じ環境下にある。

一時期、日本に大量に押し寄せた中国人観光客が、使用済みのトイレットペーパーを水に流さずにゴミ箱に捨てる「事件」が頻発して、日本中が仰天した。

何のことはない。中国人は自国での習慣をそのまま日本でも実行したに過ぎない。下水設備がギリシャ同様に近代化されていないのだ。

しかし、ギリシャは曲がりなりにも欧州の一国だ。それだけに少し驚き、不快感も禁じえない、というのが正直な気持ちだ。

僕はずいぶんギリシャを訪れているが、トイレ事情についてはほとんど記憶していなかった。従って不快にも感じなかった。感じようがなかった。

今回もクレタ島ではまあまあハイグレードな部類のホテル・レジデンスに滞在した。そこはいわば僕らの定宿のようになっている。

トイレの壁には「紙を水に流さないでください」という注意書きがあった。僕はそれを「“トイレットペーパー以外の紙”を水に流さないでください」、と解釈した。

トイレットペーパー以外の異物を便器に流すな、という注意書きはイタリアでも日本でもどの先進国でも時々目にする貼り紙だ。

今回はたまたま清掃係りの女性と親しくなった。妻も加わって彼女と3人でよもやま話をするうちに、「紙を水に流さないでください」の紙がトイレットペーパーだと知った。驚き、少し気分が下がった。

使用済みのトイレットペーパーを片付ける清掃の女性も気の毒だが、そこに捨てる自分の心緒も爽快とは言いがたい。

今後も大好きなギリシャでは遊び続けるつもりだが、ほんの少しだけ「玉に瑕」というふうに感じるので、ここに記してギリシャ旅を計画している皆さんの注意を喚起しておくことにした。




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イタリア内の異国・アオスタを遊ぶ 


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ギリシャ・クレタ島からイタリアに帰った翌日、フランスとの国境の街・アオスタを目指して車を走らせた。

仕事兼遊びの道行。遊びの要素がある分だけ、ギリシャで溜まった“休暇疲れ”はほとんど感じず、真夏のような気候のクレタ島からふいに寒いアルプスの街に入る感覚が新鮮だった。

アオスタは、イタリアの5つの特別自治州のうちの一つ、ヴァッレ・ダオスタ州の首都である。

イタリアには20の州があり、そのうちの5つは特別自治州である。ヴァッレ・ダオスタ のほかにはシチリア島嶼、サルデーニャ島嶼、トレンティーノ=アルト・アディジェ、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州がある。

特別自治州は15の通常州よりも先に州として認定され、そのうえ通常州よりも強い自治権を付与されている。

イタリアの大部分を占める通常州に先んじて、特別自治州のほうが,共和国の構成要素として制されるところが面白い。多様性の花が咲き乱れるイタリアならではの歴史である。

イタリアは国の中に地方があるのではなく、各地方が蝟集して国家になったというほうが相応しい共和国である。そこでは多様性が非常に重んじられる。

特別自治州はいわば多様性尊重主義の象徴的存在。その名の通り特別に立法権が認められ地域で徴税される国税を分配されるなどの強い自治権がある。

つの特別自治州はイタリアの一部ながら独立志向が強い。特にシチリア州と トレンティーノ=アルト・アディジェ州がそうである。

そうはいうもののしかし、ドイツ語圏の トレンティーノ=アルト・アディジェ州とは違い、シチリア島嶼州はイタリア本土への敵愾心は強くないと言える。

一方トレンティーノ=アルト・アディジェ州の、特にボルザノ県などでは、事あらばイタリアから独立しようとする勢力がいつもうごめいている。

同州のボルザノ県の大半を占めるいわゆるチロルの人々は、イタリア人というよりもオーストリア人でありドイツ人という印象が強い。 イタリア人とドイツ人では肌合いが大きく違う。

イタリア語とは全く違うドイツ語圏を含むトレンティーノ=アルト・アディジェ特別自治州は、イタリア中央政府と摩擦を起こすことも少なくない。

ヴァッレ・ダオスタ州は外国語のフランス語圏に属する。その意味では ドイツ語圏にあるトレンティーノ=アルト・アディジェ州に似ている。

だがフランス語はイタリア語と同じラテン語であり、フランス人とイタリア人も同じラテン系民族。共通点が多いだけ、ヴァッレ・ダオスタ州はトレンティーノ=アルト・アディジェ州よりもイタリアの大部分と親和的である。

言葉を換えればトレンティーノ=アルト・アディジェ州は独立志向が強く、ヴァッレ・ダオスタ州はイタリアと一体化している。

北方民族の規律や整頓や機能性や小奇麗さよりも、南方ラテン系の猥雑や闊達や不器用やカオスっぽさがどうしても好きな僕は、両州のうちではヴァッレ・ダオスタ州により愛着を覚える。

食べ物もオーストリア・ドイツ風が多い トレンティーノ=アルト・アディジェ州に対して、ヴァッレ・ダオス州の料理はフランス的な面もあるが、ソースなどはあっさりしたイタリア風味が主で僕はとても好きである。





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なぜ村上春樹ではなく韓江なの?Ⅱ

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《前記事の追伸》

貼付した2017年の記事の頃は不確かだったが、その後に多くを読んで、桐野夏生も村上春樹や宮本輝と並ぶーベル賞候補と考える。また僕は同時に吉本ばななも読み、なぜ彼女がノーベル賞候補に挙げられるかを理解した。


参照:https://terebiyainmilano.livedoor.blog/archives/52255786.html










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なぜ村上春樹ではなく韓江なの?

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韓江さん のノーベル文学賞受賞はすばらしい出来事である。僕はノーベル賞をもらった作家の作品をあわてて読むことはほとんどないが、機会があれば手に取ってみようと思う。カズオ・イシグロのときのように。そして、カズオ・イシグロ受賞の際も言ったが、なぜ村上春樹ではなく韓江 なのか、とノーベル財団に問いたい。あらゆる文学賞は主観的なものだ。従ってノーベル財団の選考者が誰を選ぼうと構わない。僕は自分の主観で選ぶ優れた作家の作品を優先して読むだけである。そのことについては既に書いたので、ぜひ貼付する記事に目を通していただきたい。

https://terebiyainmilano.livedoor.blog/archives/52255786.html











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安かろう悪かろうもLCCの宿命

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イタリア・ベルガモ国際空港発のRyanair便で、ギリシャ・クレタ島への旅を計画した。

ベルガモ空港はイタリア随一のLCC(格安航空)のハブ空港である。格安大手のRyanairが、彼らの専用空港かと見まがうほど多くの旅客機を飛ばしている。

出発の日、そのRyanairの到着便一機の車輪が破裂して滑走路が破損。空港が全面閉鎖になった。朝早い時間の事故だったため大混乱。

129便がキャンセルされ、2万1千人が足止めを食うことになった。

ブリュッセル経由でクレタ島ハニアに向かう予定だった僕らのLCC便は、空港で10時間近く待たされた挙句にあえなくキャンセル。

事故は仕方がないが、欧州のいまいましいビジネス慣行で、客への真摯な説明はほとんど無かった。

特に格安航空便の場合は、機内食を無くしたり預け荷物を制限したりの合理化を徹底した上に、インターネット予約を活用して人件費を思い切り抑えているため、客対応がお粗末だ。

僕らは空港で早朝から夕方まで待たされた上に、ブリュッセル行きとクレタ島行きの2便が欠航になったが、そのことの説明はどこにもなかった。

たまたま僕が、何度もカウンターを行き来しては案内に訊ね、事態を確認するうちに知った情報なのである。

僕らは同じ日の旅は諦めた。だが、クレタ島の宿やレンタカーは全て予約済みなので、妥協せずに旅行代理店に相談した。

すると一気呵成に翌日の航空券を確保してくれた。改めてプロの仕事振りに感じ入った。

最近はネット仕様で旅の計画を立てることも多くなった。今回のクレタ旅もそうだった。だが問題が起こると立ち往生したり、解決のために右往左往することも多い。

時間の浪費がいちばん腹立たしい。

4月のフランス旅行でも、往路の便が突然キャンセルになる「事件」があった。

だがその旅では事前のホテル探しがうまく行かなかったので、航空券も含めて今回緊急にチケットの手配を頼んだ同じ業者の手にゆだねていた。

おかげでキャンセルにもすぐに対応して翌日の便を確保し、ホテルも一日分先に延ばす対応をしてくれた。

インターネットは便利な一方で、七面倒くさい操作が多々あり、習熟していないと時間を潰されることも少なくない。

若者ははなからスマホやネットに慣れている。若いからではなく、それが時代の流れだからだ。それに習熟しなければ彼らは生きていけないのである。

片や老人は、それが無くても生きていけるが、習熟しない場合は時代に取り残されるか否かの選択を迫られることになる。

人の歴史は、神代の昔から常に今を生きる若者と時代に取り残される老人の命題を背負って綴られてきた。目新しいことは何もない。

もはや老人世代に突入しつつある僕は、時代に取り残されるのは嫌だが、時代に追いつくために残り少ない人生の時間をムダ使いするのも癪だ。

時間の浪費また精神衛生上の悪影響という負の局面と、時代に取り残され嘲笑されることのデメリットを天秤にかけてみると、僕の場合は前者のほうがはるかに大きい。

特に時間の浪費は避けたい。

それなので、今後も多いはずの旅の準備対応は、多少の出費を覚悟の上で、以前のように旅行代理店の世話になろうかと考え出している。

それはほぼ常に、格安航空ではなくFSC、つまり従来の航空会社の便に乗ることを意味する。

ネットで旅行計画を練ることが当たり前になった今この時になっても、旅行代理店はしっかりと存続している。

そこには必ず理由があるのである。



10月のギリシャの真夏の光

海方向椰子葉パラソル人縦650

予定より一日遅れてギリシャ、クレタ島に着いた。

イタリア、ベルガモ空港でRyanAir機の車輪が破裂。滑走路が破損して空港が全面閉鎖になった。

129便がキャンセルされ、2万1千人が足どめを食う大事故に巻きこまれた。

ブリュッセル経由でクレタ島ハニアに向かう僕らの格安航空便は、空港で10時間近く待たされたあげくにあえなくキャンセル。

翌日の直行便が取れたのはほとんど奇跡だった。

クレタ島は10月3日の今日も夏真っ盛りである。さすがに最高気温は27~8℃止まりだが、相変わらず空気が乾いていてしのぎやすい。

人混みが落ち着くこの時期をねらっての海を楽しむ旅。

だが若い時とは違いビーチで日がな一日強烈な日差しを浴びつづけることはしない。

朝のうちに長い砂浜を散策し、パラソルの日陰で読書。昼はキッチンも付いているホテルの部屋でサラダなどを軽く食べるか、近場または車で遠出をして地元料理を探し求める。

食事後は名所旧跡を巡り、気が向けば夕刻前に再びビーチに戻って朝と同じ動きでのんびり時間を過ごす。

そのあとの夕食はメインイベント。

割ときっちりとレストランを選んで出かけ、料理とワインを時間をかけて楽しむ。

多くのギリシャの島々と同様に、クレタ島にも子羊また子ヤギ料理の美味い店が多い。僕はひんぱんにそこを目指す。

地中海沿岸旅では、羊肉またヤギ肉の探求が最近の僕の趣味になっている。

多くの日本人が眉をひそめそうな食材は、地中海域ではきわめてありふれたもの。

それだけにレシピも豊富で興味深いのである。




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