【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

2025年02月

AfDの恐怖はありきたりになって、故にさらに危険が増した

Weidel大&Merz650

ドイツ総選挙の結果は驚きのないものだった。極右のAfDが躍進して、第1党の「キリスト教民主・社会同盟(CDUCSU)」に次ぐ2位につけた

だがそれは早くから予想されていた展開で、目新いものではなかった。

ならばAfDの危険はなくなったかと言えば、もとより全く逆で、2021年の前回選挙に比べて支持を倍増させた極右党の勢力が今後も続伸すれば、やがて世界をも激変させかねない事態だ。

だが第1党になったキリスト教民主・社会同盟は、「ファイアウォール(防火壁)」を盾にAfDとの連携を拒否している。従ってAfDが近い将来に政権入りする可能性は低い

ドイツの「ファイアウォール(防火壁)」はナチスへの嫌悪と反省から生まれた。極右政治がタブー視され、政党間でAfDを政権から排除する合意が形成されたものである。

だが仮にAfDが政権の一角を担うことになっても、彼らは生の主張をそのまま前面に押し出すことはないと僕は考えている。

それはここイタリアの極右「イタリアの同胞」とそれを率いるメローニ首相が、極右からより穏健な急進的右派へと舵を切って進んだ例を見れば分かる。

ここイタリアでは政治土壌の要因子である多様性がそれを成し遂げるが、ドイツにおいては国内のリベラル勢力とEUの中心勢力が、極右モメンタムを厳しく抑制すると思う

また客観的に見て、AfD自体も過去のナチ党 (国民社会主義ドイツ労働者党)とヒトラーの轍を踏むとは考えにくい。

ヒトラーはヒトラーを知らなかったが、AfDとその支持者たちは巨大な負の遺産であるヒトラーを知悉している。その現実が彼らのナチス化を厳しく制すると思うのである。

そうではあるが、しかし、トランプ主義がトランプ氏以後、ヴァンス副大統領を始めとする“トランプの金魚の糞”勢力によって席巻され続ける場合は、状況が全く違うことになるだろう。

欧州ではAfDとそれに付き従うと見られる極右政党がさらに力を付けて、社会情勢がかつての日独伊三国同盟時代のような暗黒に向かいかねない。

人々の怒りをあおり、憎しみの火に油を注ぎ、不寛容の熾き火を焚きつけるのが得意な彼ら極右過激派の悪意は、易々と世の中を席巻する。歴史がそれを証明している。

従って彼らは拡大する前に抑え込まれたほうがいい。放っておくとかつてのナチスのごとく一気に肥大して、制御不能な暴力に発展しかねない。

とはいうものの、繰り返し強調しておきたい。欧州の今この時の極右勢力はヒトラーのナチズムやムッソリーニのファシズムと同じではない。

悪魔の危険を知り、悪魔ではないように慎重に行動しようとする悪魔が、現今の欧州の極右なのである。

しかしそれでも、いやそうだからこそ、極右モメンタムは抑さえ込まれたほうがいい。激流となって制御不能になる前に、その芽が摘み取られるべきだ。

なぜなら正義を振りかざし天使を装う狡猾な悪魔も、悪魔には違いないからである。





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トランプのマブダチAfDの恐怖

Trump&Weilde合成

2月23日に行われるドイツ総選挙を、極右政権下にあるイタリアからじっと見ている。ドイツの極右AfDがどこまで勢力を伸ばすかが最も気になるところだ。

AfDは各種世論調査で、キリスト教民主・社会同盟の30%に次ぐ20%の支持率を維持しているとされる。

ドイツの支持率統計は正確だと証明されているが、アメリカの隠れトランプ支持者と同じように、隠れ極右支持者がいる可能性もある。驚きの結果が出ないとも限らない。

AfDはトランプ政権、またプーチン大統領らと同じ穴のムジナである。その周りにはトランプの吼えるポチ、マスク氏がいて、彼はAfDはドイツの救世主だと叫んでいる。

彼らに親近感を抱きつつ遠くない場所から眺めているのが、ここイタリアのメローニ首相である。彼女はトランプ大統領とマスク氏の友人だ。友情の大本にはむろん政治イデオロギーがある。

メローニ首相は極右と呼ばれ、極端なケースではネオファシストと規定されることさえある。

だが彼女は政権樹立後は中道寄りにシフトし、穏健な極右あるいは急進的右派とでも形容できる政治姿勢を保っている。

EU(欧州連合)とも良好な関係を築き、それどころか時にはEUの中心的な役割さえ演じて、僕が規定する「欧州の良心」を体現する姿態さえ見せる。

彼女がそうなったのは、イタリア共和国の真髄にある多様性がもたらす必然である。

イタリアの政治風土には、多様性が乱舞するが故の極論や過激思想が生まれやすい。が、それらの極論や過激思想は、同じく多様性故により穏健へと向かうことを余儀なくされる。

メローニ首相と彼女が率いる極右政党「イタリアの同胞」は、トランプ主義と親和的だが、同時にそれと対立しがちな欧州の良心と民主主義を守ろうとする力でもある。

ドイツのAfDも、政権の一角を担うことがあれば、イタリアの同胞と同じ道を辿る、と僕は考えてきた。

もっともそれは、イタリアの国民性とは違い、キレると歯止めが効かなくなるドイツの民意の存在の可能性、という不安を脇に置いての話だが。

世界政治の舞台では、イタリアは日本と同じく取るに足らない存在だ。一方ドイツは強い影響力を持つ。従ってAfDの躍進は大きな脅威だ。

それでも同政党が単独で政権を握らない限り、ドイツのリベラル勢力と欧州全体のそれが抑止力となって、AfDの暴走はきっちりと止められると僕は考えてきた。

しかし、第2次トランプ政権の誕生でその見通しには霞がかかり始めた。

ロシアとさえ手を結ぶトランプ主義が、今後も勢いを増して世界を席巻すれば、それに引きずられて欧州の極右も本性を露わにする可能性が高まる。

その際に、イタリアのメローニ首相がトランプ主義に引きずられるか、あるいは欧州の良心を守る砦の一角に留まり続けるかは、世界が真にどこに向かうかを占う手がかりになるかもしれない。

言うまでもなくなく将来、AfDが単独で政権を握るような事態になれば、そしてトランプ主義が今と同じく猛威を振るっていれば、イタリアの政治状況などほとんど何の意味を持たなくなるだろうが。。



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見えてきたトランプの野望らしきもの

憎しみの塊トランプ800

関税に固執するトランプ大統領の頭の中にあるのは経済のことであり、経済を強くすることで彼の支持者を満足させ、アメリカを偉大に、つまりMAGAを達成することである。

それがトランプ政権の使命であり彼の支持者が熱望することだ、というのは一面の真実に過ぎない。

経済力が強くなるとは、要するに軍事力が拡大することでもある。トランプ大統領のひそかな野望は、経済を強くし軍事力を高めて世界を支配することかもしれない。

それというのも彼は、政権発足と同時にかねてからの主張だったグリーンランドを占領し、パナマ運河を収奪し、カナダをアメリカに併合すると公言し、そこに向けて動いている。

そればかりではない。アメリカファースト、つまりアメリカの孤立主義を捨ててガザを軍事支配し、住民を排除してリゾート地に作り変えるとまでうそぶいている。

それらの主張は帝国主義への先祖がえり以外の何ものでもない。どうやら彼は専制政治を導入して世界を支配したいようだ。

もしそうならば、一党支配の元で覇権主義に走っている中国の習近平主席や、ソビエト再興の野望を抱いてウクライナを席巻し、さらに支配域を広げることを夢見るロシアのプーチン大統領と何も変わらない。

それどころかトランプ主義の専横は、民主主義を騙たる分だけ質ちが悪いとさえ言える。

トランプ主義の岩盤支持者らは、トランプ氏が選挙キャンペーン中に強調した「戦争をしない」、「ウクライナとガザの戦争を止める」、「誰も死なせない」などのキャンペーンにも熱狂した。

アメリカはかつて世界の警察と呼ばれ、民主主義を守るという大義名分を掲げて多くの国に介入し戦争を仕掛けてきた。

トランプ支持者の国民はそのことにウンザリしている。だから彼らは戦争をしないと明言したトランプ氏を支持した。彼らはトランプ氏が平和主義者とさえ信じた。

だが果たしてそうだろうか?トランプ大統領は、先に触れたように、グリーンランド獲得とパナマ運河収奪に軍事力を使うことも辞さないとほのめかしている。

ガザの場合には米軍を投入しそこを占領して、瓦礫を片付けリゾート地を造るとさえ明確に述べた。それらは容易に戦争を呼び込む施策だ。

トランプ大統領は民主主義を守る戦争はしないが、侵略し、収奪し、支配する戦争は辞さない、と主張しているようなものだ。

仕上げには彼は、ロシアに蹂躙されるウクライナを「加害者」と断じた。向かうところ敵なしの狂気であり凶器である。

トランプ大統領の本性は僭王であり侵略者であり独裁者のようだ。危険極まりない。





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トランプ主義の怖さの真髄

トランプ瓦礫背景に

トランプ大統領は関税を武器にカナダとメキシコを平伏させ、 返す刀でガザの住民を追い出してリゾートに造り返る、というぶっ飛んだ案を発表した。

それはまさしくヒトデナシにしか思いつけないグロテスクな考えだ。なぜならそこには、イスラエルに痛めつけられた人々への憐憫の情がひとかけらもないからだ。

まさに金のためなら何でもする“不動産開発業者“の発想でしかない。アメリカ合衆国大統領の戦略的思考とはとても言えない。

人間を人間と見なせない者は人間ではない。

それがトランプ大統領の「ガザの住民を全て排除して“中東のリビエラ”にする」という発言を聞いたときの僕の率直な思いだった。

潰滅したガザを、故郷を、追い出されるパレスチナ人は、なんと哀れで何と屈辱にまみれた存在だろうか。

ところが行き場を失くしたパレスチナ人の中には、悲しいことにトランプ大統領の提案を受け入れる者も出るだろうと見られている。

ガザの疲弊はそれほどに深く徹底したもので、回復不能とさえ考えられているからだ。

ガザを壊滅させたのは、トランプ大統領の発言をニヤニヤ笑いながら隣で聞いていたネタニヤフ首相である。

彼はまるで米大統領の発言を引き出すために、ガザの破壊と殺戮を実行したようにさえ映った。

ネタニヤフ首相と、パレスチナの消滅を熱望するイスラエル内外のウルトラ極右シオニストらの罪は深い。

住民を追い出してガザをリゾート地に作り変えようという案は、政権内の高官らが集い意見を出し合ってじっくりと練ったものではなく、トランプ大統領独自のものらしい。

いかにも“不動産開発業者”トランプ氏が思いつきそうなアイデアだが、恐らくその前に、娘婿のジャレッド・クシュナー氏の入れ知恵があったのではないか、とも言われている。

ユダヤ人のクシュナー氏は、パレスチナを地上から消すと考える同胞と同じ立場で、ガザを開発して金を儲けると同時に、そこの住民をイスラエルのために排除したいと願っているらしい。

自らの家族と金儲けのためにはひとつの民族を浄化することさえ辞さない、という考えはすさまじい。トランプ一族の面目躍如というところだ。

皮肉なことにトランプ氏のアイデアは、その非人間的な側面を敢えて脇において観察すれば、ある意味天才的とも呼べるものだ。邪悪でユニークな思いつきなのだ。

徹底的に破壊されて瓦礫の山と化し、もはや人が住めない状況にまでなっているガザ地区を、米軍を中心とするアメリカの力で整理して立て直す。

それは他国の内政には首を突っ込まない、というトランプ大統領の「アメリカ第一主義」に反する動きになるだろう。

ガザ地区をアメリカが一旦支配して元通りに整備する、というのがガザ住民のためのアクションなら、人道的見地からもすばらしい案である。

しかし残念ながら、彼が考えているのは住民を完全無視した金儲け案だ。むごたらしいまでの我欲。

繰り返しになるが、とても人間とは思えない惑乱ぶりである

トランプ主義は、行き着けば自由主義社会全体の総スカンを食らう可能性がある。

そうなった場合、欧州とアラブ・アフリカ、またトランプ追従に見切りをつける見識があれば日本も、たとえば中国と手を組む可能性があり得る。

独裁国家、権威主義政権として欧米と日本ほかの民主主義世界に忌諱されている中国だが、トランプ主義の挙句の果ては、つまるところ中露北朝鮮にも似た恐怖政体だ。

ならば“トランプ小帝王“に苛められ脅迫され続けるよりも、中国のほうが御しやすい、と自由主義社会が判断することがないとは、誰にも言えないのである。




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