【テレビ屋】なかそね則のイタリア通信

方程式【もしかして(日本+イタリ ア)÷2=理想郷?】の解読法を探しています。

2025年03月

地方紙の生きざまと限界と時どきトランプ大王と

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帰国して地方紙を読む機会が多くなっている。言うまでもなく、全国紙とは違ってローカルな話題を主に伝えるのが地方紙の面白さであり、力であり、同時に限界でもある。

限界の最たるものの一つが国際報道だ。経済的に弱小な地方紙は、ほとんどの場合海外に特派員や駐在記者を置く余裕はなく、共同通信などの通信社が配信する記事を採用している。

地方紙は海外のみならず、国内のニュースでさえ通信社の発する記事を頼みにしているケースが多い。

世界の地方紙の現実もほぼ同じだ。

ただ海外の場合、特にイタリアなど地方の多様性が盛んな国では、地方紙は独自の意見や主張を前面に押し出して、全国紙と張り合うケースが日常茶飯である。

そうしたことなども踏まえながら、旅先では僕は敢えて地方紙を手に取ってローカル色豊かな紙面を楽しむが、先日、心中に「?????」と疑問符が幾つも浮かぶ記事を見た。

共同通信発のその報告は、イスラエルが停戦合意を無視してガザ地区への攻撃を再開したことを「トランプ政権にとってウクライナ戦争の停戦交渉に加えてあらたな重圧となる事案が重なった」という趣旨の表現で記事を終えていた。

僕が「?????」となったのは、その表現があたかもイスラエルのネタニヤフ首相が「勝手に」停戦合意を破ってガザへの攻撃を再開した、というニュアンスだったからだ。

国際事情にも詳しいはずの共同通信の記者が発信した記事の内容は、彼の上司らも従って会社全体も、一様に同じ認識であることを意味していた。

だがそれはあまりにも井蛙な見解だ。今やネタニヤフ首相が、トランプ大統領の了解なしに停戦合意を破るなどはあり得ない。

攻撃再開はトランプ大統領のゴーサインを得て成されたと見るべきだ。

それどころかトランプ大統領自身が、イスラエルに攻撃再開を指示した可能性さえある。この時点では彼は、向かうところ敵なしの帝王だ。

弱体な地方紙は、国内外に強いネットワークを持つ共同通信の記事を、たとえ歪んだ内容でも受け入れざるを得なかった、ということだろう。

それもまた地方紙の限界である。もっとも記事の内容が屈折したものであることを、その新聞が気づいた上で採用したのなら、という条件付きだが。

トランプ大統領は、経済力で、ということはつまり軍事力でも、アメリカに並び追い越しそうな中国を牽制しつつ、プーチン大統領と手を組んで世界を分割統治することを目論んでいる節がある。

彼にとっては自由や民主主義などどうでも良く、ディール=取引きという「ビジネス・フェイクニュース」語を振りかざして、力を背景に相手を捻じ伏せる手法でアメリカの利益追求に没入している。

どこかで誰かが止めなければならないが、唯一の頼みである欧州でさえ米国の力には敵わない。

先の大戦で日独伊のファシズムを倒したアメリカは、事もあろうにファシスト以外の何者でもないトランプ氏を再び政権の座に据えた。

国内に対抗勢力を持たないトランプ政権は、暴走に暴走を重ねて行き着くところまで行き、かつての日独伊のように自滅することでしか目覚めない運命にあるのかもしれない。





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島の春

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南の島の冬は憧れである。寒くないからだ。

島の春は活動的である。3月には早くも海開きがある。

海は僕の遊び場であり学びの場所であり続けた。

海では泳ぎ、釣りをし、追い込み漁に興奮し、潮干狩りを楽しみ、裸馬を駆って水浴びをしたりした。

僕は間もなく島を出て那覇に学び、大学進学で上京し、ロンドンの映画学校で学んだ。

その後、東京、ニューヨーク、ミラノでドキュメンタリー及び報道番組の制作に勤しんだ。

その間も海はいつも僕の関心の的であり、友であり、喜びであり続けた。

ロケやリサーチ旅の合間にも海に遊び、休暇ではほぼ常に海に親しむ。

島を出て以降も続けた海の遊びは釣りである。

釣行はアメリカでも、今住まうイタリアでも、時間が許す限り出かけた。

今この時の早春の島では、浜を歩き、潮風と戯れ、思い出に浸り、若葉色の内海とコバルトブルーの外海の絶景を楽しんでいる。

釣りで時間を潰すのはもったいないと感じる。

それは、あるいは、ただ単に自分が若さを失ったせいかもしれない。

が、釣りの獲物の動向に集中する緊張がない分、より平穏でリラックスした気分になれる。

得がたい時間である。




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トランプ主義はドイツを、究極には日本をも、核武装へと追い込むかもしれない

インタビューされるメルツ650

欧州は安全保障を巡って風雲急を告げる状況になっている。

トランプ大統領が、軍事同盟であるNATOへの貢献責務を放棄する可能性をほのめかしているからだ。

特に核を持たない国々は、ロシアを見据えて不安のどん底にある。

トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領とテレビカメラの前で前代未聞の口論を展開するなど、相も変らぬ恫喝外交を続けている。

その一方では貿易相手国に関税をかけまくると叫び、欧州から、厳密に言えばドイツから米軍を引き上げる、NATO内での核シェアリングをやめる、などとも示唆している。

その中でも、特に核シェアリング否定発言に関して敏感に反応したのが、ドイツの次期首相と目されるフリードリヒ・メルツ氏だ。

彼はドイツと欧州が、アメリカから独立した安全保障体制を構築すると同時に、NATO内の核大国である英国またフランスと核シェアリングをするべき、という旨の発言をした。

だがその本音は、ドイツ独自の核開発であり核兵器保有だろうと思う。

ドイツでは核兵器の開発保有は、それを話題にすることさえタブーであり続けてきた。日本とよく似た状況だったのだ。

だがトランプ独断専行大統領の脅しに驚愕したメルツ氏は、やすやすとそのタブーを破った。

アメリカ第一主義をかざして、欧州との長い友好関係さえ無視するトランプ大統領に、オーマイゴッド・いざ鎌倉よと慌てた欧州首脳は、メルツ氏に限らず誰もが怒りと不安を募らせている。

彼らはトランプ&ゼンレンスキー両大統領が口論した直後、ロンドンに集まって緊急会合を開き、前者が切り捨てようと目論む後者をさらに強く抱擁、ウクライナへの支持を改めて確認し合った。

友好関係を金儲け論のみで捉えるトランプ主義は、権威主義者のロシア・プーチン大統領を賛美するばかりではなく、欧米ほかの民主主義友好国を大きく貶めている。

日本も見下される国の一つだ。

今のところは欧州やカナダまたメキシコなどの国々ほどなめられてはいないが「アメリカの同盟国」である日本を見るトランプ大統領の心情は容易に推察できる。

日本は欧州と同じく安全保障をアメリカに頼り過ぎて来た。いま日本が置かれている状況は、それぞれに「友人国同士が多い欧州内の国々」とは違う。

日本は孤立している。その意味ではむしろウクライナに近い。ウクライナにおけるロシアの代わりに、例えば中国が日本に侵攻しないとは誰にも断言できない。

日本は中国ともまたロシアとも友好的な関係を保ちつつ、アメリカに頼らない独自の安全保障も模索するべきだ。そこには核戦略が含まれても驚くべきではない。

人類の理想は核の無い世界であり戦争ゼロの世の中である。先の大戦で地獄を見ると同時に唯一の被爆国ともなった日本は、飽くまでも理想を目指すべきだ。

だが同時に国際政治にも目を配らなければならない。政治とは現実である。そこには軍備は言うまでもなく核戦略まで含まれる。

それらをタブー視しているばかりでは物事は解決しない。その善悪と、是非と、実現可能性の有無、またそれへの全面否定も含めて、日本は国民的議論を開始するべきだ。

メルツ・ドイツ次期首相の英仏との核シェアリング、ひいてはドイツ独自の核保有まで暗示した発言は、不本意ながら日本にも当て嵌まる、と見るのがつまり政治の厳しさである。




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トランプとAfDはやはり深く通底している

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ウクライナのゼレンスキー大統領と米トランプ大統領が、テレビカメラの前でおどろきの醜態を演じた。

世も末に見える大口論を見ながら、僕はトランプ政権が賛美するドイツのAfDを想った。

先日のドイツ総選挙で躍進した極右のAfDは、しれっとして黒を白と言いくるめるトランプ軍団に似た不吉な気配を帯びている。

ヒトラーはヒトラーを知らなかったが、ドイツのAfDはヒトラーをよく知っている。

だから彼らは野党でいる限りは、けたたましくも醜怪なだけの政治集団に留まるだろう。

しかし彼らが単独で政権を握るような事態になれば、トランプ“笑えないお笑い”大統領が、「独裁者はプーチンではなくゼレンスキーだ!」」とコペルニクス的大発明をわしづかみにして、世界に投げつけたような事件が起きないとも限らない。

それは例えば、彼らが「ヒトラーは独裁者でも悪魔でもない。独裁者の悪魔はユダヤ人だったイエス・キリストだ!」と神がかり的な発見を発明して興奮し、全ての教会とユダヤ人を殲滅しようと企てるような顛末である。

トランプ大統領の言動の多くとAfDの躍進には、それくらいの潜在的な危険がある。

僕はドイツ国民とアメリカの半数の国民の正気を信じる。

だが、ドイツには前科があり、アメリカ国民の半数は-徐々に明らかになったように-陰謀論やデマに踊らされやすい愚民である事実が、多少気がかりでないこともない。


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あるいはトランプとAfDの真実

女性trump-hitler写真を掲げる

ヒトラーはヒトラーを知らなかったが、ドイツのAfDはヒトラーをよく知っている。

だから彼らは野党でいる限りは、けたたましくも醜怪なだけの集団に留まるだろう。

しかし彼らが単独で政権を握るような事態になれば、トランプ“笑えないお笑い”大統領が、「独裁者はプーチンではなくゼレンスキーだ!」とコペルニクス的大発明をわしづかみにして、世界に投げつけたような事件が起きないとも限らない。

それは例えば、彼らが「ヒトラーは独裁者でも悪魔でもない。独裁者の悪魔はユダヤ人だったイエス・キリストだ!」と神がかり的な発見をして興奮し、全ての教会とユダヤ人を殲滅しようと企てるような顛末である。

トランプ大統領の言動の多くとAfDの躍進にはそれくらいの潜在的な危険がある。

僕はドイツ国民とアメリカの半数の国民の正気を信じる。

だが、ドイツには前科があり、アメリカの半数は-徐々に明らかになったように-陰謀論やデマ踊らされやすい愚民である事実が、多少気がかりでないこともない。


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