人生初めてのブログ参入。
大学時代の友人二人が、すっかりオヤジになった今になって小説を書き出すという。いや、一人はもう大分前から書いていたらしい。僕はそのことにひそかに心を動かされた。
触発されてこのブログを始めることにした。
僕も小説家を夢見たことがあった。大学を卒業してロンドンの映画学校で学んでいた頃、小説新潮という文芸誌の月間新人賞佳作というものに選ばれて、有頂天になったこともある。月間賞の佳作なので作品そのものは雑誌には掲載されず、佳作受賞の知らせのみが載ったが、賞金というか原稿料がちゃんとロンドンまで送られてきた。確か2万円か3万円だったと思う。
僕はロンドン中のありたけの友人を呼び集めて、安ワインを大量に買って、お祝いに飲んで大いに騒いだ。いっぱしの作家気分だった。
僕の若さはバカさだったとつくづく思う。でも自分では面白がっている。それでなければ、今さらこんなブログなんか始めない。
その短編小説の後は泣かず飛ばず。文学雑誌に掲載された作品もあったが、ほとんどが原稿のままホコリまみれになっただけだった。僕はその頃映画制作の勉強に夢中になっていた。またロンドンの学校を終わってからは、プロとしてテレビドキュメンタリーや報道系番組の制作に一生懸命になった。だから余り書く時間がなかった、と後には友人たちに話した。それはほんの少しだけ真実だが、多くは嘘である。要するに才能がなかったから、書かなかった或いは書けなかっただけの話だ。
イギリスから日本に帰り、すぐにアメリカに行って次にはここイタリアへと移り住みながら、僕は忙しくテレビの仕事をしてきた。その間には本を出さないかという話もあって、時間を見つけて懸命に原稿を書いたがボツになった。日伊比較文化論のような、いかにもつまらない内容の雑文だった。その後、同じような趣旨で書かないかともう一つの話もあったが、こちらは原稿さえ書き上げられないまま長い時間が経った。
その間には雑誌や地方新聞にエッセイのようなコラムのような雑文記事を結構書いたが、小説はまるで世に出なかった。少しだがひそかに書いてはいたのだ。やがて諦めた。数年前から地方新聞に超短文のコラムなどを書いたりはしている。
そんな折、友人二人の決意を知った。僕らは東京の大学の文学部に籍を置いたかつての文学青年である。それにしても今になって彼らが小説を書き出すとは思いもよらなかった。文学オヤジの登場に僕はびっくりして、そして喜んだ。
僕は「今のところは」小説を書く気はない。モノにならないことが分かったから。でも文学ならやってもいいと思っている。ただし、ここで言う文学とは、僕が勝手に考える文学で深刻な意味はない。
つまり僕は金のもらえる小説だけを「小説」と呼んで、雑文を含む残り全てを「文学」と考えてみたのである。「文学」を「ブンガク」と表記してもいい。言葉を替えればプロの文章とアマチュアの文章。
アマチュアの文章にもすごい作品はある。例えば最近目にしたNHKの「カシャッと一句!フォト575」の俳句などはその一つだ。僕はたまに衛星放送でその番組を見て舌を巻いたりしている。素晴らしい作品も多いが、作者の皆さんはプロの作家ではないようだ。少なくともあそこで紹介される作品で金銭報酬は受けていないはずである。
そんな域には達せずとも、好きなことを好きなように書く「文学」を友人二人にならって僕も始めることにした。彼らは「小説」書き、つまりプロの物書きを目指す計画らしい。僕はそんな才能も勇気もないので、誰か読んでくれるかどうかも分からないこのブログで、書きたいことを書くことにした。
それでも結構ワクワクしている。なにしろ自分では「文学」・・いや「ブンガク」であそぶつもりだから・・・
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