昨日(3月12日、土曜日)はずっと衛星放送でNHKの地震特集を見続けた。

時間がたって少し気持ちが落ち着いてくると、CNNやBBC、アルジャジーラなどの衛星局にもチャンネルを合わせて覗いてみる余裕が出た。

どの局も日本の地震の報告で満たされている。日本で放送されているものと同じ生のNHK映像や民放のそれが世界配信され、各局はそれを流しながら解説をする形を取ったり、特派員や日本に滞在しているエージェントと結んで、電話で話を聞くなど、独自の構成、番組作りをする努力も怠っていない。

夜も3時間ほど寝ただけでずっと地震のニュースを見続け、それは今日になっても続いた。

NHKは当たり前として、世界の24時間衛星ニュース局は、渾身の力で客観的な報道を続けている。

そして彼らの報道の根底には、日本に対する温情、頑張れと応援する気持ち、愛情がこもっているのが分かる。

それは当然と言えば当然のことではあるが、絶望的な状況の中では、やはりその気持ちは嬉しい。

イタリアのテレビの論調も、基本的には世界の衛星テレビ局と同じ。今朝になって一斉に発売された新聞も、全てが一面トップで日本の震災を伝えつつ、根っこにはやはり強いいたわりがあるように僕には感じられる。

僕はもしかすると、今日になっても次々にかかってきた友人知己の見舞いの電話やメッセージに影響されて、気持ちが少し甘くなっているのかも知れない。

連絡をしてくる友人たちは、当然の成り行きで、先ず日本の僕の家族は大丈夫かと話を切り出してくる。が、彼らの中には被災地に始まる日本全体への思いやりがいっぱいに詰まっている。

僕の個人的な体験ばかりではない。いろいろなところで人々が日本に寄せる友愛がある。例えば、先日活躍したサッカーの長友選手が所属するチーム、インテルは、日本をいたんで選手全員が喪章をつけて試合をした。それは有力なスポーツ新聞などに取り上げられて、サポーターの関心を引いた。

また、米国や豪州などに始まる多くの国々が、日本への支援を迅速に表明し、実際に動き出し、最近は対立することが多い中国でさえ、わが国への同情を隠そうとはしない。

被災地のすさまじい状況と、不運にも巻き込まれてしまった方々の絶望を思い、被害の最小と人命救護の最大を祈りながら、せめて僕は日本を取り巻く世界や、世界の人々の善意にも気を留めていたいと思う。

それはいわば「巨大な不幸中の、かすかな幸い」とでもいうべきものであり、大切にするべきものであるように僕には感じられる・・