コンサートまでいよいよあと二日にせまった。少しプレッシャーを感じてきた。
ミラノの「希望の島」の友人たちが頑張っていて、慈善団体「マトグロッソ」のスタッフも、リラックスしつつも一生懸命に動いてくれているので安心だが、やはり一抹の不安はある。
その最たるものは、やっぱり客足。
私邸でのイベントなのであまり多くの客が押し寄せて来ても困るが、だからと言ってひどく少ない数の聴衆では寂しい。
前回記事(震災支援チャリティーコンサートⅢ)でも書いた通り、理想の客数は200名程度だが、それより少ない150名前後でも御の字というのが僕の胸算用である。雨天ならその3割減というところか。つまり雨に降られた昨年のコンサートの客数120人程度を目指す。悪天候のときは場所を屋内に移すので、客席のキャパシティは逆にそのくらいが限界である。。
たとえば発展途上国や、貧困家庭の子供達を支援するためのチャリティーコンサートなら、僕は客足などまったくと言っていいほど気にしなかったと思う。なぜならそういう趣旨のコンサートでは、黙っていてもある程度の数の聴衆は必ず確保できるから。
貧しい人々を支援する気持ちでいるイタリア人はそれほど多い。この国の人々にとっては、チャリティーや寄付行為は極めて日常的なことなのである。
しかし、日本はイタリアやその他の欧米諸国と同様に豊かな国である。そこがネックになる。豊かな国日本は自力で復興できるのだから、いちいち支援などいらないだろう、と多くのイタリア人が心の中では思っている。
それは彼らが冷たいからではない。冷たいどころか、日本に深く同情し、その素早い復興も願っている。が、わざわざチャリティーコンサートに出向いて、(日本にとっては)わずかな金額に過ぎないものを寄付するほどでもないだろう、とも考えてしまうのだ。これはイタリア人である僕の妻や、慈善団体「マトグロッソ」のスタッフなどが心配する点だから、おそらく単なる取り越し苦労とばかりも言えない。
卓越した二人のアーティストの出演、古色蒼然とした美しい雰囲気の会場、「マトグロッソ」と「希望の島」のすばらしいボランティアスタッフたち、そしてどうやら好天気に見舞われそうな気象予報・・・今のところ全てがコンサートの盛況を示唆しているように感じられる。
しかし・・
その上で、もしも客足が鈍いようなら、これはもう仕方がない。来て下さる客だけを大事にして、精一杯の持てなしをするばかりであろう。
そうすることで、出演者とわれわれオーガナイザーと、東日本大震災の被災地の皆さんとの見えない絆が、少しでも深まることを心から願うばかりである。