イタリア、モンティ新首相が3人の女性を含む16人の閣僚名簿を提出した。
国会の承認は今日か明日中になるだろうが、もはやモンティ新内閣が発足した、と言い切ってもいいだろう。
閣僚の全員が民間人有識者という異例の形。文字通りのテクノクラート(実務型)内閣。
モンティ首相は、記者会見では「閣僚に政治家を起用しなかったのは、邪魔が入らずに仕事がしやすいから」という趣旨の説明をした。
しかし、実は政治家の内閣入りも模索した。だが、実現しなかった。拒否されたものらしい。
支持者や政党の思惑に縛られやすい政治家を排除した形だが、内閣は政治家で構成される国会の承認なしには何も仕事ができない。
そこにジレンマが発生する危険も大いにある。
モンティ内閣の前途は決して平坦ではない。
そのことを象徴するように、閣僚名簿が発表された11月16日のイタリア国債の金利は7.2%台に上昇した。
国債の金利は7%が危険水域とされ、それを越えると、国は自力での支払いができなくなる可能性が高まる。
辞任したばかりのベルルスコーニ前首相は、今のところモンティ新内閣に全面協力の姿勢を見せている。しかし、本心はどうか。まだ誰も知らない。
ギリシャからイタリアへと波及した欧州の財政危機は、フランスやオランダにまで及ぶ可能性が見えてきて、ますます混迷度を深めている。
ポスト・ベルルスコーニのイタリア・モンティ新政権は、暴風雨の中に船出をしたばかりなのである。