日本でユーロ杯などとも呼ばれる、4年に1度のサッカーの一大イベント、欧州選手権が始まった。 見所はたくさんあるが、一番大きいのは前回優勝のスペインが連続優勝できるかどうか、という点ではないか。 なにしろスペインは2008年の欧州選手権で2回目の優勝を果たし、その勢いに乗ったのでもあるかのように2年前のワールドカップも制した。それは同国にとって初めてのW杯制覇だった。 もしもスペインが今回のユーロ杯でも頂点に立つなら、それはW杯と欧州杯を跨(また)いで3連続優勝を遂げる初のチームとなる。 そんな快挙はW杯4回優勝のイタリアや3回制覇のドイツも経験がない。 しかし、スペインチームが興味をそそるのは、優勝回数のみにあるのではない。 華麗なパス回しで相手を翻弄する競技スタイルがすばらしいのだ。高いテクニックとチームワークと美意識に裏打ちされた見ごたえのあるプレーの数々が魅惑的。 美意識というのはあるいはここではそぐわない言葉かもしれない。しかし、サッカーの歴史始まって以来最高の、と言っても過言ではない、正確で迅速で意表を突く選手たちのボール回しの技術は、見ていてため息が出るほどの美しさだから、僕はあえて「美意識」と表現したいのである。 残念ながら僕が応援しているイタリアチームは、今のところスペインには敵わないと断言しても良いだろう。 歴史的に見れば、ワールドカップの優勝回数4回と1回から判断して、イタリアがスペインに勝っているとも考えられる。 しかし、2006年にイタリアがW杯を制して以降は、目の覚めるようなパス回しを武器に2008年ユーロ杯、2010年W杯と連続優勝したスペインの後塵を拝しているのがイタリアの実情だ。 2国間の力の差は何か。 僕の勝手な考えでは:「スペインには3人のピルロがいる」から、ということにつきる。 アンドレア・ピルロ選手はイタリアチームの司令塔であり肝心要(かんじんかなめ)の偉大なプレーヤーである。2006年W杯のイタリア優勝の立役者も彼だ。 アンドレア・ピルロの真骨頂は正確無比なパス回し。そしてスペインには彼に匹敵する華麗なテクニックを持つ選手が3人いる。 即ち、シャビ、イニエスタ、ファブレガスの3選手である。このうちファブレガスは実績の点で少し劣るかもしれない。でも1対3じゃイタリアに勝ち目はないのが当たり前だ。 若い選手の集まるドイツの活躍いかんも見所の一つ。 ドイツはイタリアと共に長く欧州サッカーを引っ張ってきたが、沈滞期に入っているイタリアとは対照的に、プレースタイルの変革と選手の若返りを見事に成功させて、さらに強くなったように見える。 ま、波乱が多いのが欧州杯なので迂闊なことは言えないけれど、順当ならば7月1日の決勝戦ではドイツがスペインにぶつかる、というのが衆目の一致するところではないだろうか。 もしそうなった時は、どちらが勝つかは神のみぞ知るだが、ラテン的軽快が好きな僕としては、やっぱりスペインに勝ってほしいような・・
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