前の記事<ワンダーランド「君府」の魅力-その光と影->で書きそびれたイスタンブールのもう一つの大きな魅力は、食のことである。
トルコ料理は美味しい。しかもバラエティ豊かで見た目も楽しく値段も手頃だ。
特に僕の大好きな子羊料理がいたるところで食べられるのは嬉しかった。子羊の肉の塊を回転させながらじっくりと焼き上げ、店頭で削ぎ落として客に提供するドネルケバブは圧巻。
イスタンブールの街中には「ロカンタ」と呼ばれる料理屋がそこかしこにあって、ありとあらゆる料理が並べられ展示されている。
客は自分の食べたい料理を一つ一つ指示する。肉や野菜やヨーグルト他の乳製品などが素晴らしいレシピで味付けされて、美味しく嬉しく楽しい。言うことなしの体験ができる。
ロカンタで食べたものの全てが美味しかったが、特に驚いたのは米料理。PILAV(ピラウ)と呼ばれる「ご飯」には目をみはった。ぶっちゃけ、ご飯料理は日本食が一番と思い込んできたが、ピラウを食べて考えが変わった。ご飯料理は日本とトルコが一番!・・と。
また、世界遺産カッパドキアで食べた「壷焼きケバブ」は、多種類の野菜と肉(豚肉だけ無し)を小さな壷に密閉して、ピザなどを焼く大窯に入れてじっくりと炙り煮る。料理法の面白さに加えて、抜群の味の良さがびっくりの絶品料理だった。窯から取り出した壷を、トルコ刀などの伝統具で、仕上げに客に割らせて中身を取り出す手法も楽しい。
ところで
世界三大料理とは「中華、フランス、トルコ」の三件という説と「中華、フランス、イタリア」の三件という主張があるが、それならいっそ世界料理の四天王「中華、フランス、トルコ、イタリア」とまとめた方がすっきりして分かりやすいのではないか。
しかし、世界三大料理とか世界四天王料理とかの定義や、規定や、定説などというものは存在しない。それはあくまでも『日本人にとっての』世界三大料理であり世界四大料理のことである。
日本人が特に好きな「三大~」というくくり方は、言うまでもなく徳川御三家という考え方に由来している。また四天王というまとめ方が、仏教の4守護神にまつわるものであるのも周知のことである。徳川も、4守護神をたとえ話にする手法も、ひたすら日本独自のもの。世界の誰も分からない。
ところで、日本人が勝手に、(たぶん)遊び心で決めている世界三大料理や世界料理の四天王の中に、当の日本料理が加わっていないのは、一体どうした訳だろうか?
味も種類も見た目の美しさも何もかも、日本料理は世界三大料理や世界四天王料理に匹敵する。いや、凌駕する、と僕は個人的には思う。
日本料理に唯一欠けているものがあるとすれば、世界での知名度くらいのものではないか。だが、それとて、もはや過去の話である。今どき日本料理を知らない世界の料理好きがいるなら、その人は“もぐり”である。と、言っても良いくらいに日本食は世界中で人気を博している。
という訳で、僕の考える世界の三大料理とは、ランク順に:
[日本料理、イタリア料理、中華料理]である。
世界の料理四天王とは、ランク順に:
[日本料理、イタリア料理、中華料理、トルコ料理]である。
申し訳ないが、フランス料理はこの後の世界五大料理に顔を出すのみだ。フランス料理には何の恨みもない。同料理の「こってり感と気取り感」が、個人的には5番目くらいに好き、というだけの話である。
またまたチョー個人的でどうでもいいことだが、僕はこれまでに実際に食べてみた世界料理の中では、六大料理というくくりを持っている。
いわく、やはりランク順に:
[日本料理、イタリア料理、中華料理、トルコ料理、ギリシャ料理、フランス料理]である。
あれ?フランス料理は6番目になってしまった・・
この先もあちこちの国の料理を食べるつもりだが、そうしているうちに僕の中に将来、世界七大料理という「七つの海」みたいな、あって無いような或いはあってもそれぞれ意味が違うような、要するにひと言では片付けられない、美味しいものの大海原ができる日がとても楽しみである。