欧州カップ決勝戦でのスペインの強さはケタはずれだった。

 

ジョーダンダロ?というくらいに。


それは4-0という大差のスコアよりも、ゲーム内容の中にはっきりと見ることができる。
 

日程がイタリアにとって不利だったとか、試合後半に選手一人が負傷退場して10人体制になったのが響いたとか、言い訳がましい意見もここイタリアではちらほら聞こえるが、それは二義的なことだと僕には思える。

 

過去数年間、もっと正確に言えば2008年以来、スペインのサッカーは欧州のみならず世界を席巻している。

 

スペインは2008年に欧州選手権を制し、2年前のW杯では欧州勢はもちろん、世界サッカーの強豪ブラジルもアルゼンチンも退けて優勝した。そして今回再び欧州カップで勝った。

 

その事実を見ても、今日現在はスペインが世界最強のチームであることは疑いようが無い。

 

そうではあるが、しかし、それにしても、決勝戦でイタリアを完膚なきまでに打ちのめしたスペインの強さはすごいのひと言につきる。

 

今年の欧州選手権で明らかになったことが幾つかある。

 

一つ

 

スペインの圧倒的な強さ。

 

二つ

 

イタリア、ドイツの底力の強大。

 

三つ

 

イングランドの弱い強さ。(強い弱さではない)

 

四つ

 

その他のチーム、つまり欧州全体のサッカーの底上げ。革新。実力の上積み。

 

そうしたことの全ては、スペインの強くて美しくて楽しいサッカーがもたらしたものである。

 

強くて美しくて楽しいスペインのサッカーとは、徹底したボールポゼッション(ボールキープ、ボール保持)及びパス回し。

 

1)  スペインチームはその技術をひたすらに追求し完成することで世界最強になった。

 

2)  欧州サッカーの2大勢力であるドイツとイタリアが、スペインのプレースタイルを模倣し、自家薬籠中のものにしつつあること。2国の底力の強大とは、スペインのパス回しを見習うことで本来の強さに加わった彼らの明確な熟達。

 

 

3)  サッカーの本家イングランドのスペイン模倣。サッカーをゲーム・遊びではなく、飽くまでも「スポーツ」と捉える律儀から来るイングランドの「弱さ」は、ドイツやイタリアと共にスペインを真似る競技概念を導入することで姿を消し、少しの「強さ」を獲得しつつあるように見える。イングランドの弱さの中に芽生えた強さ。

 

4)  欧州各国のチームは多かれ少なかれ、ドイツ、イタリア、イングランドに倣(なら)ってスペインを目標に研鑽を積んでいる。それが全体のレベルアップにつながっている。とは言うものの、ボールポゼッションやパス回しに習熟するのは至難の業。サッカー弱小国ではそれを血肉化するまでには相当の時間がかかるに違いない。そうこうしている内に、技術の流行は別のものに移って行くだろう。

 

スペインの偉大は、欧州のみならず世界のサッカー文化に強く影響していると考えられる。それは2年後のワールドカップで明らかになるだろう。

 

欧州を席巻しているスペインサッカーのコンセプトが、特に南米の強豪ブラジルとアルゼンチンにどんな差し響きをもたらしていくのか。

 

僕は2年後のW杯を思って、今からまたわく、わく、わくわく・・・・