明日はペルーに向けて出発する。

 

あれこれ準備に手間取ったが、どうやら完了。

 

準備にもっとも気を遣ったのはビデオのハンディカメラ。

わざわざミラノまで出て小型のHDカメラを購入した。その際はカメラマンのステファノとピーノに見立ててもらった。

 

今はどこにでもあるハイビジョン用の小さなカメラ。でもプロ中のプロのカメラマンの二人に言わせると、セミプロ程度の価値がある、とのこと。

 

僕はディレクターだから、カメラの性能にはほとんど興味がない。

 

いや、ディレクターだからカメラの性能には興味がない、という言い方はおかしい。正確には「僕はカメラの性能にはほとんど興味がないディレクター」である。

 

ディレクターとしての僕の仕事は、一にも二にも「アイデア」をひねり出すことである。

続いてそのアイデアを映像に焼き付けることである。

 

言葉を変えれば、アイデアという抽象を映像という具象に置き換えることである。

 

ビデオカメラはその手段に過ぎない。カメラマンはその手段を活かすオペレーターである。

カメラの性能を活かし又殺すのはカメラマンの仕事だ。

そしてディレクターである僕のアイデアが無くては、カメラの性能もカメラマンの腕もクソもないのである。

僕はひたすらアイデアを考え、それを映像にする道筋を考え続ける。それがあって初めてカメラもカメラマンも存在し活きていく。

 

僕はカメラの性能にはあまり興味がない。言葉を変えれば、カメラの性能にこだわっている時間などない、というのがディレクターたる僕の正直な気持ちである。

 

ペルーでは購入したビデオカメラを自分で回すつもりだが、足手まといになるようならさっさと写真撮影に切り替えるつもり。

たとえそれがカメラの性能に疎(うと)い僕の問題だったとしても。

だって僕はカメラマンじゃないのだから。

 

ハードよりソフト、技術よりアイデア、具象より抽象を追い詰めるのがディレクターである僕の仕事だから。