4月18日に始まったイタリア大統領選挙は、中道左派・民主党の混乱、分裂で紛糾している。
民主党は当初、右派連合のベルルスコーニ前首相と同党のベルサーニ書記長が裏取引で決めた大統領候補、フランコ・マリーニ元上院議長を担いで初日の投票に臨んだ。だが、民主党内には右派のベルルスコーニ前首相と取引をした書記長への反発が強く、あえなく頓挫。マリーニ元上院議長の目は初日でなくなった。
翌19日朝、民主党は急ぎロマーノ・プロディ元首相に乗り換えて投票に臨んだ。前日まで共闘していたベルルスコーニ率いる右派はその選択に激怒した。プロディ氏はベルルスコーニ前首相を総選挙で2度破っている不倶戴天の敵だからだ。
しかしプロディ元首相は、民主党内の造反者にも受けの良い候補。これで党内の融和が図られ、加えて五つ星運動の支持も得られる可能性がわずかながらあった。しかし、当選に必要な票数が3分の2から過半数に軽減されたにも関わらず、プロディ氏も惨敗。
民主党内の書記長への不信と怒りは収まるどころか増幅されていて、造反者がさらに増えていた。この屈辱の結果に切れたベルサーニ書記長は、自らの不徳を棚に上げて、民主党議員の4人に1人は裏切り者。それが我慢できないから大統領選挙後に書記長を辞任すると表明した。だが、そのことを悲しんで泣く者はどこにもいない。
20日朝、5回目の投票でももちろん当選者は出ず、政権の行方と同様に大統領選挙も完全に行き詰まったと見えた。ところが、午後の投票を前に、ナポリターノ現大統領がマリオ・モンティ首相やベルルスコーニ前首相の働きかけに応じて、もう一期務めても良い、と表明した。二期目は一年間の期限付きで、という報道もあるが詳細は今のところ不明。
いずれにしても今日(20日)午後の投票で、ナポリターノ大統領の二期目の当選が決まるかどうか注目される。