5月12日の日曜日、マッジ伯爵家の中庭で催された、ミッレミリア祭りの審査員を務めた。
スプマンテ(イタリア・シャンパン)の里、フランチァコルタで開催される大規模田園祭「フランチァコルタインフィオーレ」の一環として、クラシックカーレース
「ミッレミリア」の参加車の一部を展示して盛り上がったのだ。
ミッレミリアは1927年にアイモ・マッジ伯爵が音頭を取って始まったカーレースである。だからフランチァコルタ田園地帯のまっただ中にある、マッジ伯爵家の邸宅で祭りが行なわれた。
ミッレミリアは世界的に有名になったカーレース。始まった当初から人気が高かった。
車好きの王侯貴族が北イタリアのブレシァ市に集合して、愛車をぶっ飛ばしてローマまで南下し、そこから折り返してブレシァに戻る周回路で競われた。
元々はスピードレースだったが、一般道を約1600キロメートル走行するため危険も多く、紆余曲折を経て現在は耐久レース形式になっている。
レースもさることながら、数々のクラシックカーの名車を見たい観客が押し寄せるのが、今のミッレミリアの特徴である。
アイモ・マッジ伯爵が存命中は、レースに参加するヨーロッパ貴族らが同家に宿泊して、親交を深めることが恒例だった。
世界でも指折りの名車の数々が、昨日の祭の場所に集まって華やかさを競い合ったのである。
彼らはレースの日には同家から一斉にブレシャ市のレース場に向かい、終了後は再び伯爵家に戻ってパーティーを繰り広げた。
僕はミッレミリアを数回取材したことがある。いずれも10分から20分程度の報道番組のロケだった。
カーレースを追いかける取材は結構大変だったが、ミッレミリアはイタリアの多くの歴史都市を縦貫して走るため、美しい景観が次々に目の前に展開して、いつも心が踊る撮影でもあった。
今回の仕事はそれともまた全く違う。ただただ楽しいだけの体験だった。仕事と言っても半ばボランティアの活動。
車の専門家4人と文化人4人の計8人の審査員が、参加車を好き勝手に審査するというもので、なぜか僕も文化人の一人として声を掛けられ、且つおこがましくも受諾して(笑)、審査に当たることになったのだった。
優勝したのは1950年製造のフェラーリ166MM。
僕は何も知識はないものの、この車にたまたま10点満点をつけていたので、結果が発表された時は素直に嬉しかった。