ウサギのカテリーナが死んでしまった。
数日前ブドウ園の中で息絶えているのをワイナリー責任者のマルコが発見した。
僕と妻が留守だったのでマルコは庭師のグイドを呼び、死亡を確認してブドウ園の一角に埋葬した。
カテリーナはブドウ園で横たわって眠るように息絶えていたという。仰向けとかうつ伏せとかの姿勢ではなく、横向きに丸まるように。全く自然な形で。
外傷はなく、吐血とかの異変も一切見られなかった。つまり他の肉食獣に襲われたとか、毒物を食べた可能性などは考えられない状況。
ブドウ園は完全有機栽培に移行していて、最近は除草剤などの毒物は一切投入されていないので、後者の可能性はほとんどない。
また何ものかに襲われたのなら、外傷なり出血なり、あるいはもがき苦しんだ痕跡(たぶん毒物を食べた場合も)などがある筈だから、これも可能性はゼロと言ってもいいだろう。
全くの突然死としか形容の仕様がない寝耳に水の出来事。
僕が彼女を最後に見たのはちょうど9月の終り。2週間と少し前のことである。
その時はいつものように元気いっぱい、ブドウ園で懸命に草を食んでいた。
カテリーナの死因として一番可能性があるのはやっぱり病気だろうと思う。
飼いウサギではなく、野生の形で、自宅庭と屋敷周り及びブドウ園を棲み処に自由に生きていたから、彼女の容体は全く分からない。
が、ウサギは結構病気にかかりやすい動物なので、やはり何らかの感染症などに取り付かれたということなのだろうと思う。
心臓発作とかも無いことはないだろうし・・
悲しいけれど、元を正せば彼女は檻の中で飼われて、うまく育てば遅かれ早かれ屠殺されて食肉として処理される運命だったのだから、ほぼ3年間自由に生きたことを少しの慰めにして彼女の死を受け入れようと思う。
カテリーナが主に棲み処にしていたのはこのブドウ園。中央の白いポツンがカテリーナ。
ブドウ園に通じる自宅前庭。ここもカテリーナお気に入りの場所だった。
僕の仕事場から見下ろすブドウ園。遊ぶカテリーナが良く見えた。
ブドウ園と前庭の間の車庫でも良く遊んだカテリーナ。夏頃には僕の車の下に潜り込んで油で汚れた。ワロタ。
カテリーナは夜も庭で遊ぶことがあった。危険を感じなかったからだろうと思う。僕の推理が当たっているなら嬉しい・・・
今は新しくウサギを放つ気にはなれないが、カテリーナのおかげで我が家の屋敷周りや庭や畑はウサギの棲み処としては上々の環境であることが分った。
なので、将来は子兎をもらい受けてまた放し飼いをするかもしれない。
カテリ-ナにはずい分癒やされたから。
ありがとう、カテリーナ・・・
さようなら、カテリーナ・・・