ワールドカップ・日本VSコートジボワール戦は、イタリア時間の6月15日午前3時のキックオフだった。

眠気と闘いながらPAYテレビの生中継に見入った。

試合開始から間もなく、本田圭祐の文字通り目の醒めるようなシュートがゴールに突き刺さった。

ぱっと眠気が吹き飛んで、僕は本気で目が覚めた。

だがその後は香川など活躍が期待された選手たちの沈滞で居眠り。

それでも頑張って観ていた後半、ドログバ登場で目が覚めた。

と思ったら、敵が立て続けに2ゴールを決めて、今度は僕は日本チームの行く末を思って不眠症になってしまった・・・


日本が負けたのは弱いからである。これは悔しくても認めなければならない。

そして、弱ければ強くなれば良いだけの話である。

もっと練習をし、研究し、創造につながる想像力を磨き、思考し、そしてまた練習をする・・

本気でそれを続ければいつか必ず強くなる・・・

と思いたい。

でも

何かが違う、と日本チームの試合運びを見ていていつもそう思う。今回のコートジボワール戦を見ながらもやっぱりそう思った。

「何か」とは何か、自分なりに考えてみた。

何かとは、多分サッカー文化のことである。日本には欧州や南米に深く根付いているサッカー文化が存在しない。

いや、存在しているのだが、その文化の深度が違う。

あるいは大胆に、敢えて言ってしまえば、そもそも日本の蹴球文化が強い欧州や南米のサッカー文化とは違う。

どちらが正しいにしろ、それはほぼ致命的と形容しても良い一つの大きな欠陥に由来している。

つまり、日本国におけるサッカーファンの絶望的な少なさである。

ここで言うサッカーファンとは、ワールドカップや国際試合を目の当たりにして、突然サッカーに興味を抱くにわか仕込みのファンのことではない。サッカーを心から愛し、従って情報収集にもいそしみ、勉強さえする真正のサッカーファンのことである。

日本における多くのサッカーファンと称する人々は、国際試合に際して急にナショナリズムに目覚める愛国的サッカーファンである。彼らはサッカーが好きなのではなく、日本が好きなのである。

それはそれで素晴らしいことだ。しかし、日本サッカーが本気で成長するためにはそれだけでは十分ではない。

ここからTV観戦記を書いていく間にそのことについてまた語りたい。

ここまでのもっとも大きな驚きはスペインの崩壊だ。

スペインの常勝サイクルが終わったことは、昨年のコンフェデ杯を通して僕はかなりはっきりと分かっていた

サッカー強国がしのぎを削る欧州 + 南米がリードする世界サッカーでは、一国がいつまでもトップに居座りつづけることはできない。サッカーを少し本気で追いかけている人間ならば、それはたやすく分かることだ。

しかし、スペインの崩壊を予想はしたものの、僕は正直に言って初戦でオランダに5-1で敗れるほどの大きな、かつ急速で明確な崩壊までは予想しなかった。

優勝争いに最後まで絡んだ上で敗れる、というシナリオを自分の中で描いていたのだ。

僕の独断と偏見では、世界サッカーの四天王はブラジル、ドイツ、イタリア、アルゼンチンである。この4チームはたとえ不調でも、下馬評に上がらなくても、常に強く常に優勝候補の一角を占める。

四天王の下に、スペイン、フランス、イングランド、オランダ、ウルグアイなどが控える。

こう言うと、なぜスペインが四天王の下なんだ、と目をむいて反論する人が必ずいる。

だが、スペインが圧倒的な強さを発揮してきたのは、2008年以降のことに過ぎない。その前にはフランスがジダンを擁して「一時的に」世界サッカーを牛耳った。

スペインが四天王の域に近づくためには、一度沈んでまた這い上がって世界に君臨する、というプロセスを何度か繰り返さなければならない。

四天王の真の強さは、世界のトップになって落ち込み、また這い上がって頂点を目指し、そして君臨する、という過程を何度も経験しているところにある。

W杯前に僕がひそかに予想していた優勝候補の筆頭はブラジル。その後にスペインとドイツ。続いてアルゼンチン、イタリア。そのさらに後ろにオランダ。やがてイングランド、ポルトガル、ウルグアイ等々が並ぶ、というものだった。

スペインの崩落を見た今は、ドイツが優勝候補の筆頭。続いてブラジルとイタリアが並んで、三者に肉薄してオランダ・・という風になった。

なぜスペインを蹴散らしたオランダがイタリアよりも下かといえば、ただ一言「オランダはまだW杯優勝の経験がないのでその分見劣りがする」というだけの、これまた僕の独断と偏見による意見。

だが、オランダは前回大会で決勝まで進んだ経験もあり、かなり高い確率で今回こそ悲願の初優勝、という結末も十分にあるとは思う。