チュニジアに行ってきた。

 恒例の地中海周遊の一環だが、昨年のアンコーナのポルト・レカナーティ旅行同様、迷いつつ突然のように急いで決めて出た旅だった。

アラブの春の騒動で、中東から北アフリカの国々は安心して旅をするには程遠い環境にある。その中でチュニジアは比較的落ち着いているとされる。

 一連のアラブの国々の中で一番初めにジャスミン革命が起こったから、沈静するのも早かったという見方もできる。しかし、そればかりではない。

誰も言わないが、実はチュニジアは北アフリカのムスリム国家の中では、最も穏健で開明的という考え方がある。

もっと身も蓋もない言い方をすれば、同地域のアラブ国の中では最も野蛮的ではない、ということである。 

だからという訳でもないだろうが、革命後の混乱も過ぎて平和になったという情報も耳に入った。

 一方、 チュニジア国内を自由勝手に動き回るのは危険だ、という意見もまたあった。

 一見平穏に思えるがやはりジャスミン革命の影響は大きい。また革命はまだ進行中であり、いつ何が起こってもおかしくない政情不安は続いている、というのである。

イタリアの旅行社などは彼ら独自のバカンス・ツアーを盛んに売り出していて、それには結構多くの客が付いている。

要するに自由気ままな旅は良くないが、彼らが管理運営する領域内に留まっていれば問題はない、ということらしかった。

思い切ってそのツアーに乗ってみることにした。

そうでもしないと、いつまで経ってもアラブの国々への立ち寄りができない、というほんの少しの焦燥感もあった。

結論を先に言うと、チュニジアは平穏だった。

ところどころに自動小銃で武装した警察官(軍警察?)が立っていたことを別にすれば、とても革命が進行している国のようには感じられなかった。

また機関銃で武装した警察や軍が街中に立っていたりするのは、欧州や南米でも良く見られる光景だからほとんど気にならなかった。