書こうと思いつつ優先順位が理由でまだ書けず、あるいは他の事案で忙しくて執筆そのものができずに後回しにしている時事ネタは多い。僕にとってはそれらは「書きそびれた」過去形のテーマではなく、現在進行形の事柄である。過去形のトピックも現在進行形の話題もできれば将来どこかで掘り下げて言及したいと思う。その意味合いで例によってここに箇条書きにしておくことにした。

ベルルスコーニ
少女買春疑惑で意外にも無罪になった元首相。裁判はまだ続くが鼻息は荒い。相変わらず悪運も強く、離婚した妻に支払った慰謝料の3割に当たる約50億円が、支払い過ぎと裁判所に認められて返還された。慰謝料は別居中の3年間分の金額。全体では年約34億円X生涯という途方もない金額。元首相は一括払いを望んでいて元妻側と交渉中らしい。

堕船長スケッティーノ

豪華客船コンコルディア号を遭難させた上、真っ先に船から逃げ出したトンデモ船長フランチェスコ・スケッティーノが、ローマ大学でなんと危機管理とはなんぞや、なんてテーマで講演をした。呼ぶほうも呼ぶほうだが、のこのこと出かけて行くスケッティーノ元船長も相当のKY鉄面皮だ。それよりもあれだけの事件を起こした男が、裁判進行中に自由に動き回っているのは、どういうことなのだろう。イタリアの仕組みは時々良く分からない。

ヤラ事件
13歳の少女ヤラ・ガンビラジオが強姦目的だった男に殺害された。多くの人々の人生をむちゃくちゃにした複雑怪奇な人間模様が次々に明るみになる中、犯人(DNA鑑定では100%犯人とされる)のマッシモジュゼッペ・ボセッティは犯行を否定したまま収監されている。

殺害された少女の下着とレギングに付着していた血液からDNA鑑定がなされ、それは15年も前に死んだ男の息子のものと分かった。しかし彼の実の息子たちは事件とは関係がないことが証明された。男が不倫によって産ませた息子がいるのではないか、という推測から警察による母親探しが始まった。無謀にも見えた捜索は奇跡的に功を奏して犯人に行き着いた。推理小説もマッ青のとてつもないドラマは今も進行中。

トト・リイナの暴力
1993年に逮捕・収監されているトト・リイナが、最近獄中で知人の囚人に語ったとされる内容がリークされて、新聞などで堂々と記事にされている。そこで彼は現在のマフィアのボスと見なされている逃亡潜伏中のマッテオ・メッシーナ・デナーロについて語る。いわく「奴は金儲けのことばかり考えて国家への挑戦を忘れている。死ぬべきだ」。また反マファイ活動の急先鋒であるチョッティ神父についても「奴はマフィア以上にマフィアだ。殺してやる」などと語っているとされる。

当局が獄中のリイナを監視し盗聴もしているであろうことは当たり前として、その内容を外にリークするのは何が狙いなのだろうか。トト・リイナは獄中にあってもマフィア組織を牛耳っていると人々に信じさせるため?そうすることでリイナへの恐怖心を新たに植え付け、かつ同時にマッテオ・メッシーナデナーロの威を削ぐため?あるいは単純にボスのマッテオ・メッシーナ・デナーロの逮捕が近いことを知らせる前触れ?マフィアの大物の逮捕が近づくと、 逮捕されるべき男に関する不思議な話題が突然出現するケースが多いのだ。

以前シチリア島の中心都市パレルモで、メッシーナ・デナーロ の顔を建物の壁に描いた落書きが出現して大きなニュースになった。壁の 似顔絵はメッシーナ・デナーロの逮捕が近いことの現われなのではないか、と僕はその時に密かに思ったが、何事もなくそのまま時間が過ぎて彼の行方は杳として知れない。そして、今またリイナの口を通して彼の話題が表に出た・今度こそもしかすると・・・

フランシスコ教皇に伸びる魔手?
フランシスコ教皇暗殺計画の噂が絶えない。バチカンの改革に熱心な教皇は、クーリア(バチカン内の保守官僚組織)に怨まれて暗殺されかねない、という話は以前からあったが、ここへきて中東の過激派組織「イスラム国」による脅威が現実化している。イスラム国は元々キリスト教徒への憎悪を隠そうともしなかったが、フランシスコ教皇が「イスラム国に対する国際社会の戦いは合法的」と武力行使を容認する趣旨の発言をしたために、テロリストの激しい反発を買うことになった。

イスラム国はイラクなどで訓練を積ませた欧州出身のメンバーをイタリアに送って、教皇の暗殺を画策しているとされる。イスラム国には、アラブ系移民を中心とする多くの欧州人の若者が参加している。彼らはそれぞれの母国に戻って、ヨーロッパ内でのテロ工作に従事する計画だという。教皇暗殺もその一環だと言われている。不穏な空気が欧州を包み始めている。