米・ニューハンプシャーの大統領予備選で「有力泡沫候補」のトランプさんが2位以下に大きく水をあけて勝った。
すると、やっぱり彼の人気は本物だ、このまま共和党の指名を受ける可能性が高い、などと強気になる人々が増えた。
ここまでトランプさんに対してさんざん否定的なことを言ったり書いたりしてきた僕にも、間違いましたね、大丈夫ですか、などとコメントが寄せられた。
僕はまだ間違っていないし、彼は大統領にはなれないというこれまでの自分の考えを変えてもいない。まったく大丈夫である。
トランプさんの人気はもともと本物だ。ヘイトスピーチ以外のなにものでもない彼の言葉を愛し、偏見や人種差別に拍手喝采する者は多い。
僕は彼の人気が偽物などと考えたことはない。彼の危険思想を斥ける力が米国民にはあるから、彼の人気がアメリカの大半に広がることはない、と信じているだけである。
天地がひっくり返ってトランプさんが合衆国大統領に選ばれたなら、それは米民主主義の大いなる変質であり終わりだ、というのが僕の思いだ。
米大統領選にはゲームの要素が強くあって、勢いに乗った候補者があれよという間にさらなる旋風を呼び込んで突っ走ることがある。
最近の例で言えば、一期目のオバマ旋風がそうであり‘80年のレーガン旋風もそうだ。彼ら2人はしかし、少なくとも「まとも」な候補者だった。
あるいはアメリカの良心の内にいる候補者だった。彼らは差別と不寛容と憎悪を旗印に選挙戦を進めたりはしなかった。
もしも天地がひっくり返ったとしよう。
ならば僕はどうするか。
言うまでもなく、ほぼ無力に等しい全くの微力ながら、ひっくり返った天地を元に戻そうと戦う欧米や日本やその他の世界のあらゆる良識と共に抗う・・
というのは少し大仰に過ぎるけれども・・・
トランプさんが主張の軌道修正をしないまま、つまり米国世論が彼の極論をそのまま受け入れてトランプ大統領が誕生するならば、世界の多くの人々は競って反米国の旗印の下に集結することになるのではないか、と密かに思ってはいる。