最近どうしても気になるのはアメリカ大統領選。中でもトランプさんの動向である。合衆国大統領は米国民が選ぶのだから、外国人がとやかく言っても詮ないこと、という考え方もあるだろう。
だが、好むと好まざるにかかわらず、米国大統領のあり方は世界中のわれわれに大きく影響するのだから、そこに関心を持つのは意味があるし、できればいろいろと意見を発信したほうがいい。
なぜならそれは国際世論の一部となって米国の有権者に作用し、ひいては将来の米国大統領にも影響する。世界最強の権力者である米大統領といえども、グローバルな民意を無視しては政治は行えないのだから。
それにしても、もしも トランプさんが今のままの主義主張を大幅に修正することなく大統領に選ばれるならば、世界は本当に破滅的な状況に向かいかねないと思う。
僕の中にある米国への尊敬と憧れと信頼も跡形もなく崩れ去るだろう。それほどに“トランプ大統領”は不吉だ。いや、その前に僕にはどうしても米国民が彼を選択する図がイメージできない。
などと気にはしつつも、もちろん朝から晩までそのことばかりを考えているわけではなく、僕の日常は他の人々と何も変わるところはなく、ごくごく普通に過ぎていく。
そんな中、去った週末に菜園で今年初めてサラダ菜の種をまき、プランターの苗床も作った。3月に種まきをするのも苗床を作るのも生まれて初めてのこと。冬が暖かく、さらに最近は春が一気に進んだみたいな陽気なので、思い切って作業してみたのだ。
苗床を含む種まきには実は、適した日とそうではない時間があるとされる。日本ではそれは旧暦、つまり「太陰太陽暦」に合わせて太陽と月のリズムを見ながら種をまき、栽培し、収穫するとされる。だが、その真偽については賛否両論があってよく分からない。
少なくとも僕が知る限りは判然としない。種まきに適するのは満月の5日前から満月までの間、という説が辛うじて納得できるかも、という程度である。
一方、ここイタリアにも野菜の種まきに適した期間というものが広く信じられている。新暦に基づいた説だから、現在の日本で信じられているものとほぼ同じようにも見えるが、やはり判然としているとは言い難い。一般にそう信じられている、というふうである。
多くの実験で満月の前あたりに種をまくと発芽率がよくなると確認はされているが、科学的に実証されていることではない。そこで僕は今回、自分で確かめてみることにしたした。
イタリアの種まきカレンダーによると、僕が種まきをした3月18日は良くない日とされる。24日以降が適正期となっているので、同じような苗床をもう一つ作って育苗をしてみようと決めた。
確かに蒔いた種は育ちが良い場合とそうでもない場合があり、それは月の満ち欠けに関連すると聞き知ってはいた。しかし僕はそういうことをほとんど考慮しないまま野菜を栽培してきた。
それを踏まえて種まきをするほどの時間も情熱もなかった、というのが正直なところ。また菜園の野菜で家族を養う必要もないから深く考えなかった、とも言える。
仕事にするなら農夫のように真剣になったことだろう。僕の時々の農作業はどこまで行っても趣味の域を出ることはないのである。それでも、いや間違いなくそれだからこそ、野菜作りはとても楽しい。