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カトリックの一人の神父が、約300人の犠牲者とおびただしい数の被災者を出したイタリア中部地震は「同性カップルの権利を認めたシビル・ユニオン法に対する神の罰」だ、発言して物議を醸している。

神父の名はジョバンニ・カバルコリ(Giovanni Cavalcoli)。彼は以前から強硬派の神学者として知られており、カトリック系のラジオ局の宗教番組の中で自説を展開した。

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カバルコリ神父

神父のトンデモ発言は、多くの犠牲者と住む家を失った被災者が続出した、8月24日のイタリア中部地震よりもさらに大きな揺れが来た、10月30日に飛び出した。

その日の地震の震度はマグニチュード6、6。8月24日以降11月4日までに続くおよそ2万3千回の余震はおろか、過去36年間の全てのイタリア地震の中でも最大の揺れだった。が、神父の宣言は、それにも勝るほどの激震を国中にもたらしたようだった。

神父の発言はどこかで聞いた話だと僕はすぐに思った。記憶の糸をたぐるまでもなく気がついた。世界の実相には目もくれずに日本土着の狭窄思想に頼って万事を怨嗟する「引きこもりの暴力愛好家」石原慎太郎氏が、東日本大震災は天罰、とのたまった事案と同じだ。

石原さんは彼独自の傲慢と無神経と酷薄から、他者への配慮に欠ける言動をすることが多い。その時の天罰発言もそれに類したものだったように思う。いわゆる天譴論(てんけんろん)ではなく、彼の十八番である「鈍感KY論」が炸裂したものだった。

一方、カバルコリ神父の天罰論は、天譴論そのものと言っても構わない。確信犯なのである。その証拠に彼の属するバチカンは、神父の公言は(神と)カトリック信者を冒涜し、信者ではない人々に恥をさらす行為だ、として厳しく非難した。

ところがカバルコリ神父は全くひるまず、彼はその後も、地震は人間の罪業と家族や結婚の尊厳を破壊するシビル・ユニオンに対する神の厳罰だ、と主張し続けている。

LGBT旗yoko300イタリアはLGBTへの対策がひどく遅れた国だが、その原因の多くはカトリック教にもある。LCBTを認めない同教の戒律に、9割以上がカトリック信者であるイタリア国民が強い影響を受けているのだ。

欧州の中ではもっとも遅れていた、同性カップルの権利を認めるイタリアのシビル・ユニオン法も、ようやく先月施行されたばかりだ。神父の主張はそうした流れに真っ向から対立する。

またローマ教会の改革を推し進めるフランシスコ教皇も、同性婚や同性カップルを認めることなどを始めとして、LGBTへの理解を示す方向でいることは明らかだ。教皇イラストyoko250pic

バチカンの最高権力者で、カバルコリ神父のボスでもある教皇の指弾をものともせずに、神父が自説を声高に叫ぶのはなぜか。

それはおそらく彼の背後に、バチカンの保守派官僚組織「クーリア」が控えているからだと考えられる。クーリアの官僚の一部あるいは多くは、とてもシビル・ユニオンに好意的とは言いがたい。

だからこそ同性愛者を受け入れようとするフランシスコ教皇のバチカン改革案も、遅々として進まない。教皇とクーリアの対立を象徴的に表しているのが、カバリコリ神父の不可解な動きなのではないか、と僕は思う。