イタリア首相にはジェンティローニ外相が昇格。彼は辞任したレンツィ首相に最も近い閣僚だった。その意味ではマタレッラ大統領も同じ。この人事は将来のレンツィ復権をにらんだものかもしれない。

というのもマタレッラ大統領は、テクノクラート内閣ではないなら、パドアン財務大臣かグラッソ上院議長のどちらかを首班に指名して組閣要請をする、とされていたのが突然変わったからだ。

パドアン財務大臣は欧州ひいては世界経済への悪影響を少しでも抑えるために、また党派色の薄いグラッソ上院議長は政治危機を乗り切るための挙国一致内閣に相応しい、と見られていた。

マタレッラ大統領と辞任したレンツィ首相の間に、密約、とは言わないまでも、将来への含みを持たせた話し合いと合意があった、と見るのはそれほど突飛な発想ではないだろう。

ジェンティローニ、マタレッラ、レンツィの3氏は、今後強く連携し、助け合いながら2018年の総選挙でのレンツィ氏のカムバックを目指すのではないか。

むろん、ジェンティローニ内閣が信任され、政権が船出して、かつ権力を得たジェンティローニ首相がレンツィ氏にいつまでも忠誠を尽くす、というあり得そうもない話があった場合の物語だけれど・・

文字通り魑魅魍魎たちが跋扈する政局は、相変わらず複雑で見ていて面白くもありウンザリもする。ウンザリするなら放っておけばいい、というのが筋である。

しかし、それらの魑魅魍魎は、自らにも関わる政治決定や決断や取り決めをする権力をゆだねられているのだから、やっぱり監視をしていたい。いや、監視をしていなければならない。

もっとふざけたやわらかい話や、ノーテンキな発想や、エロやナンセンスやバカバナシというものが僕は好きで、またそういう人間だと思っているので、そこに集中したいというのが本心だけれど・・

ともあれ、ジェンティローニ首相のさしあたっての難題は- 彼の組閣が信任されたと仮定しての話だが- 世界最古でイタリア第3の規模の「モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ」銀行の救済策。

経営難に陥っている同銀行は、莫大な不良債権を抱えて倒産の危機にある。国民投票の影響でEU(欧州連合)が支援に難色を示して、問題がさらに深刻化しているのだ。

危機のただ中のイタリアは右も左も問題だらけ。誰が政権を担っても国の舵取りは順風満帆からは程遠い・・