無敵艦隊切り取り
北朝鮮の将軍様を威嚇するために、勇んで朝鮮半島方面の海域に向かっているはずのトランプ大統領の無敵艦隊は、なんと北朝鮮ではなく完全に逆方向の海に向かっていたことが明らかになった。

米政府当局は4月8日、北朝鮮の挑発行為への対抗処置として「空母カール・ビンソンを中心に編成された無敵艦隊すなわち空母打撃群が、シンガポールを出発し西太平洋北部に向かう」と発表した。

その時アメリカ当局は、朝鮮半島への空母派遣は金正恩政権に軍事力を誇示するものだと述べた。またその翌日には米国家安全保障担当補佐官が、軍事力をそれとなく示すために艦隊を朝鮮半島に向かわせたと語った。

さらにドナルド・トランプ大統領自身も4月12日、「我々は非常に強力な艦隊を北朝鮮海域に送った。空母よりもさらに強力な潜水艦も付随している」などと強調してFOXニュースで表明した。

それらを受けて、世界中のメディアが米朝戦争勃発の兆候か、とまで騒ぎ立てた。米軍がアフガニスタンで使用した、通常兵器では最強クラスの「大規模爆風爆弾(MOAB)」も 、北朝鮮への脅しの一環だと考えられた。

またその直前に米海軍が巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリアに撃ち込んだ軍事行動も、実は北朝鮮への威嚇を兼ねていたのであり、新たな核実験やミサイル発射などの挑発行為に出るな、というトランプ大統領から金正恩一派へのメッセージだったという見方さえ出た。

中でも日本の報道の加熱振りが目立った。韓国などと共に日本も北朝鮮の挑発の被害者であることを考えれば当然とも言えるが、日本の場合には、別の意味でも報道が過熱する理由があったのは、隠しようもない事実だろう。

つまり多くの日本人が、アメリカの威嚇を危険行為と思い不安を感じつつ、しかし米海軍の動きは「日本防衛」の一環でもあると頼もしく思った。

あるいはそれを、将来日本が危機に陥った時にアメリカが起こすであろう行動にも重ね合わせて見て、米軍の北朝鮮打撃への「期待」も胸中に抱きつつ固唾を呑んで見守ってきた、というあたりではないか。

ところが米艦隊は4月15日には朝鮮半島から約5600キロも離れたインドネシアのスンダ海峡を通過してインド洋に入っていた。そこで行われたオーストラリア海軍との演習に参加するためだ。

冒頭で述べたように北朝鮮とは逆の方向に向かって進撃(!?)していたのだ。その事実が米主要メディアによって4月19日に暴露された格好だ。

まるでトランプ大統領得意の「フェイクニュース」じみた話が、4月19日朝のBBCやロイターなどの英語圏大手メディアのトップニュースになっていた。

笑い話みたいなこの実話は、本物の笑い話なのだろうか、それともトランプ政権の深謀遠慮が隠されている動きなのだろうか?

米軍って、本当に日本を守ってくれるの?と日本人はそろそろ本気の本気で考えて見る時期に来ている、と僕はこのエピソードを知って「また」思ったのだけれど。

なにしろ言うこととやることが、キリンとオタマジャクシくらい違うことが多いからなぁ・・・だからといって、日米同盟をやめろ、というわけでは毛頭ないが。



※なお米艦隊は4月19日現在は朝鮮半島に向かって北上中とされ、「最高速度で航行すれば4日間程度」でトランプ大統領が初めに示唆した海域に移動できるらしい。無敵艦隊(打撃群)は、戦闘機60機余が搭載できる空母カール・ビンソンをはじめ、ミサイル駆逐艦やミサイル巡洋艦などで構成されている。