400南中ヒキ
ブドウ園のうち絵の中央から壁際までの一帯が冷害で傷めつけられた区画


4月半ばから続いている北イタリアの寒の戻りは農作物に大きな被害をもたらしている。

雪にはならないが、雨もかなり降ってそれも気温の低下につながっている。

雨そのものはいい。3月以降は水不足で農業への悪影響が心配されていたのだから。

だが、降雨とともに居座ってしまった冷気が 厳しい状況を作り出している。

イタリア・シャンパンつまり「スプマンテ」の里として知られる、ミラノ近郊のフランチャコルタ地域のブドウ園も災難に遭っている。

場所によって、また風の具合や大気の流れの妙で、同じ区画内のブドウの木々が(写真のように)ダメージを受けたり受けなかったりする。

フランチャコルタ地方にはひそかにパニックが広がっている。

冒頭で今の低温を「寒の戻り」と言ってみたが、少し違う。それに似た言葉「花冷え」はもっと腑に落ちない。

日本の「寒の戻り」は晩春の冷温だが、ここの「寒さのぶり返し」は、時には6月にまで害するところが、北海道の「リラ冷え」にイメージが近いようにも思う。緯度的に見ても北イタリアは北海道北部あたりに位置している。

僕の小さな菜園にも影響が出ている。

4月初めの陽気ですくすくと育ったサラダ菜を除いて、野菜の発育が阻害されているのだ。

早めの収穫を目指して、苗屋から購入して露地に植えた果菜類の背も全く伸びてくれない。

キュウリ枯れUP400育苗用プランターの苗のいくつかは、霜焼けに似たダメージを受けて枯れてしまうものも出た。

冷温が続くこういうときには、温暖化現象を疑ってみたくなる。

しかし、温暖化という言葉ができるはるか以前から、4月~6月のイタリアの気候は、諺にもなっているように予測が難しいと相場が決まっていた。

温暖化という言葉は、高温をイメージさせることが多い。

だが、実際には温暖化とは、地球が暖まるとによって起こる異常気象の全体のことでもあるのだから、暑い時期に寒くなったりその逆の奇矯が展開されることも、つまり温暖化現象なのだろう。

それにしても、農家にとっては辛いこの冷温現象を、「リラ冷え」などという美しい響きの言葉で表すのは、よいことなのだろうか、鈍感のそしりを免れないことでもあるのだろうか。。。