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都議選における「都民ファーストの会」の躍進は、フランス総選挙における「共和国前進」の成功を思いおこさせる。それはポジティブなイメージである。

マクロン仏大統領率いる「共和国前進」の飛躍は、Brexit(英国のEU離脱)と米トランプ大統領誕生によって最高潮に達した、世界ポピュリズムの流れに歯止めをかけるものである。

それはオーストリア大統領選、オランダ総選挙などを経て成長し、仏大統領選でさらに地盤固めをして、先のフランス総選挙で再びその流れが確認された

次は9月のドイツ総選挙においてメルケル首相が4選されれば、ポピュリズム排撃は完成する、というのが僕の見解だが、その前に都議選がポピュリズム放逐の風潮に肩入れをしたと思う。

世界政治の傍流に属する日本の、さらに地方選挙に過ぎない東京都議選で旋風を起こしただけの「都民ファーストの会」を、世界レベルのコンセプトで論ずるのは噴飯ものだ、という声が聞こえてきそうである。

また「都民ファーストの会」自体がポピュリストではないか、という反論もありそうだ。それらはもっともな意見だが、僕は同時に「都民ファーストの会」の役割は、フランスのポピュリストの代表である極右の「国民戦線」の前に立ちはだかった、「共和党前進」に近いとも考えるのである。

ならば「共和国前進」にとっての極右政党・国民戦線にあたる、「都民ファーストの会」の対抗者はなにかといえば、それは言うまでもなく安倍一強自民党である。

自民党をポピュリスト政党とは呼べないだろうが、安倍晋三首相はトランプ大統領に追従し、日本以外のグローバル世論のそこかしこから「極右」とレッテルを貼られて、その意味ではフランス極右のルペン氏に肉薄する存在である。

従ってその観点から論を進めた場合、「都民ファーストの会」と「共和国前進」を並べて考えるのは、あながち荒唐無稽とばかりは言えないように思う。

ルペン氏は米トランプ大統領につながり、彼らはBrexitを誘導した英国独立党のナイジェル・ファラージ氏などともつながっている。そこにはここイタリアの極右政党、北部同盟なども賛同し連携を模索している。

そしてどちらかというと極左的な性格を持つ五つ星運動も、トランプ大統領に強い共感を抱いているところが、ポピュリズム集団のポピュリズム集団たるゆえんだ。節操がないのである。

安倍さんはさすがにあからさまな極右的言動は極力抑えているように見えるが、彼の政治的スタンスと思想は、それらのポピュリストと何も変わらないものなのだ。

つまり、例えば日本国のリーダーとして、同盟国で且つ最重要な国であるアメリカのトランプ大統領に擦り寄るのは、仕方がないこととして認めよう。

だが、差別排外主義者で保護貿易主義者のトランプ大統領に、独メルケル首相や仏マクロン大統領、あるいはEU首脳やカナダその他の欧米のリーダーがしたように、「それは受け入れられない」と釘を刺せないところが彼の限界なのだ。

内弁慶で不甲斐ない安倍さんに強烈な一撃を食らわした「都民ファーストの会」は、ルペン国民戦線を撃破することでBrexit、トランプ大統領誕生、と続いたポピュリズムの流れを食い止めた「共和国前進」と同類なのである。

いうまでもなく共和国前進は国政政党であり、「都民ファーストの会」は東京都の地方政党に過ぎない。しかし首都の総選挙において、森友・加計問題の隠蔽、共謀罪法案の独裁手法によるゴリ押し可決などに象徴される、驕り高ぶった安倍一強自民に鉄槌を下した事実は大きい。

「都民ファーストの会」の代表を退く小池知事は、国政への進出は今のところ考えない、としているようだが内心は違うのではないか。将来は国政への転進・攻勢を目指し、国民がそれを後押しする構図が見えてくるようにも思う。

それでなければ、驕る安倍一強自民がさらに暴走し、戦前の闇に似た社会が出現する可能性までを不安視しなければならない、いやな世情が今後も続く見込みが高い。

再生を予想することが困難なおバカ民主党、いや、民進党が頼りにならない今、共産党や社民党などが束になっても自民党の勢いを止めることはできない。

従ってそこには乾坤一擲の新しい政治勢力が生まれなければならないし、生まれることが期待される。そしてそれはもしかすると、「都民ファーストの会」なのかもしれないと考えるのは、全くの奇異荒唐だろうか。