早朝から繰り返しリイナの獄死を告げる伊メディア
ボスの中のボス、と呼ばれたマフィアの頭領トト・リイナが獄死した。87歳。
1000人以上の殺人事件に関連し、そのうち少なくとも150人の殺害を直接命令したとされる。
1993年に逮捕されたリイナは、26件もの終身刑を科されながら決して罪を認めず、獄中から巨大犯罪組織を指揮し続けていたと見られている。
トト・リイナの前にも、また彼が逮捕された後にも、マフィアの凶悪犯は数多くいた。だがリイナほどの冷酷さと残虐さで大規模殺人を計画、実行した者はいない。
彼はマフィア間のライバルや敵対する官憲の抹殺、という「伝統的」なマフィア・ビジネスを「女子供」にまで広げて容赦なく殺害する、という手法でのしあがった。
野獣と呼ばれたリイナは、イタリア共和国そのものにまで戦いを挑んだ。それを象徴的に示すのがシチリア島で起きたカパーチの悲劇。
1992年5月23日、マフィアは自動車道を高速で走る「反マフィアの旗手」ジョヴァンニ・ファルコーネ判事の車を、遠隔操作の起爆装置を用いて正確に爆破、殺害した。
イタリア国家とマフィアが、食うか食われるかの激しい戦いを繰り返していた時期に起きたその事件は、マフィアがついに国家権力に勝ったのでもあるかのような衝撃をもたらした。
しかし、強い反マフィアの世論に後押しされたイタリア司法が反撃。翌年1993年には、24年間に渡って逃亡潜伏を繰り返していたリイナを逮捕した。
しかし、リイナは折れなかった。獄中でも傲岸な態度を貫き、反省や自白を一切しないままマフィアのトップに君臨し続けた。
彼の死は、昨年やはり獄死したベルナルド・プロベンツァーノに続いて、マフィアの一時代の終焉を告げるものだが、決して「マフィアの終わり」を物語ってはいない。
この項つづく