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ジュゼッペ・コンテ首相候補による組閣作業が頓挫した。

マタレッラ大統領がコンテ氏の閣僚名簿を憲法規定に沿って拒否したからだ。

正確に言えば、財務大臣候補のパオウロ・サヴォナ氏を大統領が否認した。

これによってコンテ首相候補は組閣を断念。イタリア政治不安がさらに深まった。

コンテ氏を首相候補に推薦し、彼を通して組閣名簿を大統領に提出した五つ星運動と同盟は激怒。

五つ星運動のディマイオ党首は大統領を弾劾するべきと発言。

一方、前政権与党の民主党は早速マタレッラ大統領を支持すると表明。

同盟と袂を分かったフォルツァ・イタリア党首のベルルスコーニ元首相も、マタレッラ大統領を弾劾しろという主張は無責任、と発言した。

マタレッラ大統領が強い不信感を示した81歳のサヴォナ氏は、過去に大臣経験もある経済学者。

EUの基本精神が詰まっている1993年発効のマーストリヒト条約(欧州連合条約)に激しく反対していることで知られる。

マタレッラ大統領は「サヴォナ氏が財務相に就任すれば、イタリアがEUと合意している財政矯正策を反故にし、最終的にはユーロからの離脱を画策するだろう」と否認の理由を説明。

サヴォナ氏を財務大臣に強く推していたのは、極右政党・同盟のサルヴィーニ党首。

サルヴィーニ氏は内務大臣になって反移民政策を強力に押し進めると見られていた。

彼はEU懐疑派のサヴォナ氏を財務大臣に仕立て、連携してEUとの対決姿勢を鮮明にしたい思惑があった。

ディマイオ氏と同様に怒りをあらわにした同盟のサルヴィーニ氏は、即刻総選挙を、と叫んだ。

マタレッラ大統領は独自に首相候補を指名して組閣要請を出すかもしれない。彼にはその権利がある。

しかし、議会で過半数を握る五つ星運動と同盟が連携してそれを阻止すれば政権は樹立できない。

二転三転する米朝首脳会談の行方よろしく、イタリア政局も再び駆け引き満載の政治ショーに終始しそうだ。


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