心臓&心臓波形&医師の両手



狭心症の風船治療が成功したはずなのに、退院帰宅後に痛みが戻って再入院。再びカテーテルを血管から胸に差し込む冠動脈造影検査を受けた。一週間のあいだに2回目、という異常事態。

幸い執刀医を含む最初のオペを遂行したスタッフによる施術の結果はネガティブと出た。いわば狭心症はいったん完治、という結果である。

2日後には再退院した。冠動脈造影検査では針金(チューブ)を心臓冠動脈までいわば刺し通す。それだけを聞くと怖い療法である。実際に怖い事故も起こる。

だが世界中で実施され、医師らの経験が積み重ねられ共有されて、技術が進歩した現在は安全なものになった。体に傷がつくのは針金を差し入れるために血管に穴を開けることぐらい。

カテーテルは血管の中を心臓まで進むのでそこには傷はつかない。その後に施される風船治療も血管をふくらませる術で「切る」作業ではない。だからここでも体は基本的に傷つかない。

体への負担が少ない治療法なので、術後の経過が順調ならすぐにでも退院となる。僕の場合、2度目の検査の際は特に、「問題ない」状況だったのでほぼ即退院ともいえる経過になった。

ところが問題はその後である。今はいわば心臓の保全と狭心症の癒しと予防を兼ねた大量の薬を服用しながら静養中、というイメージだとおもう。

ところが最初の手術と再入院の原因になった胸の痛みが相変わらず消えないのである。その痛みは狭心症の発作を抑える薬を服用しても効かない。

つまり心臓周りの欠陥からくる痛みではない、という結論である。不思議な話だ。なにしろいわばその痛みのおかげで、消えつつあった狭心症の大きなぶり返しがみつかり僕は命拾いをしたのだから。

いろいろと悩ましい状況が続くので、この記事のタイトルも映画「西部戦線異状なし」にかけて「胸部戦線異状なしやありや?」とふざけておくことにした。

今回担当した心臓専門医らはそろって胃に疑念を持っている。心臓がいまのところ問題ない状況で起きる胸痛は、胃に問題がある場合のそれに酷似しているとのこと。

きょう現在は胃カメラを含む本格的な胃の検査を待っている状況。そこでなにか判ればよし。判らなければ・・ま、なるようになるだろう。

医師の見立て通り心臓の欠陥ではないのならば、直ちに命にかかわるというものではないのだろうと考えて、気持ちはさらに平穏である。

だが薬漬けの毎日と、明け方頃に決まってやってくる正体不明の胸痛は死ぬほど楽しいというものでもない。薬と痛みのせいなのか体力も落ち込んでいると感じる。

というふうな今現在の状況を、検査を待ちつつ書いておくことにした。はじめから黙っていれば何も書くことはないのだが、最初の入院の際ついここに報告してしまったので経過を書き続けている。

だが本心をいえばあまり気分はよくない。なんだが病気自慢をしているようで読者に申しわけない。そこで次回からはイタリアの医療や病院事情を中心に書こうとおもう。

TVドキュメンタリーや報道番組、また新聞雑誌の記事執筆などの仕事をやってきた関係で、実は僕は今回世話になった北イタリアの公立病院や医療機関とも多少のかかわりを持っている。

そうしたことも含めて「イタリア情報」をすこしでも盛り込めば、「病気の私的報告」じみた記事も、少しは読者の皆さんの役に立つものになってくれるかも、と期待しつつ・・



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