EU(欧州連合)の議会選挙が5月23日から26日に行われる。加盟28カ国の有権者の合計がインドに次いで世界で2番目に多い巨大選挙。EU離脱を延期した英国の有権者も投票することになった。
選挙で注目されるのは、EUのほぼ全域で勢いを増している極右政党がどこまで議席を伸ばすかである。特にドイツのAfD(ドイツのための選択肢)、フランスの国民連合などのEU懐疑派の政党が大きく議席を伸ばせば、EUの立法・経済政策その他に大きな絵影響が出ることになる。
世論調査によれば、極右ナショナリスト勢力が議席を伸ばす可能性が高い。が、EUを根底から揺るがすほどの力には「まだ」ならない、と見られている。
しかしながら、イタリアで極右政党の同盟が左派ポピュリストの五つ星運動と連立政権を樹立し、その後五つ星運動を差し置いて支持率を伸ばしているように、主として移民問題を争点にしての極右政党の勢力拡大は続いている。
そうはいうものの同盟は-今回選挙でさらに勢力を拡大することが確実視されながらも-例えば前述のフランス極右やドイツ極右ほどの影響力は持たないと考えられる。なぜなら同党は、大国とはいえ、世界および欧州政治の勢力図上は日本と同じで「小国」に過ぎないイタリアの政党だからだ。
欧州では2014年の選挙でもイギリスやフランスなどを中心にEU懐疑派の極右政党が躍進した。今回はそれを上回る議席獲得が予想されている。
極右政党の台頭はいやでもファシズムやナチズムを髣髴とさせる。欧州のほとんどの極右勢力と米トランプ政権は連動し、ひいてはそれは日本の安倍政権とも通底している。
今回選挙ではもう一つ注目すべき点がる。3月にEUを離脱するはずだった英国が、国内の分裂で混乱し再び欧州議会選挙に参加することである。
英国にとってはこの選挙が、EU離脱の是非を問う2度目の国民投票と同じ意味を持つ、という見方もある。
その英国の混乱の原因もまた、EU離脱を叫ぶ極右ナショナリストとEU残留を主張するグローバル穏健派の対立にほかならない。
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