明るいデブ400んい拡大


統計によるとイタリア人は、新型コロナ感染抑止のために行われたロックダウン中に平均2キロ太った。

自宅にこもりきりで運動や散歩もできないのに、いやできないからこそ、人々の食事の量は18%増えた。

不安やストレス、またロックダウンによって十分な食料が手に入らなくなるのではないか、という恐怖感などが悪く作用した。

食べるものはジャンクフードにも似た簡単な内容や作りの料理。砂糖のほかパスタに代表される炭水化物、また脂肪質の豊かなもの。

その一方で、料理の勉強のために時間をかけてじっくりと調理をする独身者や若者も増えたが、飽くまでも少数派だった。

ロックダウンが明けた今、イタリア国民の47%にも当たる人々が、減量が当面の最大の目標と答えている。

良い話もある。ロックダウン中は66%の家庭が、野菜や果物の皮など、食べられない部分を除いて食料をほとんど何も捨てなかったと答えた。

またロックダウン初期の3月には、犯罪も大幅に減少した。昨年同月比で約70%も減ったのだ。DV(家庭内暴力)も37,4%少なくなった。ロックダウン中にDVが増えた英国やフランスとは逆の現象である。

一方、高利貸しなどの悪徳商法の被害者は10%近く増えた。これはロックダウンによる営業縮小で、経済的に行き詰まった小規模事業者や個人が、マフィアなどの犯罪組織から金を借りるケースが急増したもの。

シチリア島をはじめとするイタリア南部では、マフィアほかの犯罪組織が経済的に困窮する人々を救済する振りで金を貸したり贈与するなどして、彼らを借金漬けにして食いつぶす手法が社会問題になってきた。

経済活動がほぼゼロにまで制限されたロックダウン下で、組織犯罪が横行し特に貧しい人々が被害をこうむる事態に、イタリア司法は強い警鐘を鳴らしている。

倒産の不安を抱える企業はイタリア全体で4割近くに上る。パーティーや会食などに出張し料理を提供するケータリングを含む飲食サービス業また歓楽業では、5万社が破産し30万人が失業する可能性がある。

営業再開が全面解禁になったものの40%しかオープンしていないホテル業では、5月だけでも11万8千の季節雇用が失われた。

面白いことにロックダウン中にはおよそ63万人が禁煙に成功した。ただし、電子タバコの喫煙者は43万6千人増加。紙巻きタバコから電子タバコに乗り換えた者が多い、と見られている。

その一方で国家環境保護対策局の分析では、ロックダウンによって海やビーチから人影がなくなったことも手伝って、5400キロメートルに渡る海岸線がクリーンになり環境保全のランクが上がった。
  
またイタリア人のほぼ半数は、新型コロナもなんのその、 ことしも夏のバカンスを計画している。しかし実際に宿泊先などの施設や交通機関等の予約を入れているのは、たった5,5%に過ぎない。

最低でも一週間は滞在するのが当たり前のバカンスに、予約なしで出かける者はまずいない。従って「6月になっても予約を入れていない」とは、ほぼバカンスに行かない、と言っているに等しい。

片やバカンスに出ない、と決めた約半数の国民のうちの25%は、ごく素直に新型コロナが怖いからと答えた。また16%の人々は、コロナの影響で収入が減ってとてもバカンスどころではないという。

結局、コロナにもめげずにバカンスに行く、というのはバカンス好きのイタリア国民の願望、ということなのだろう。いつもの年よりも多くの国民が、7~8月のバカンス期に自宅に留まるのは間違いない。

すると、ロックダウン中ほどではないだろうが、人々はそこでもまた大食らいをしそうな雰囲気である。つまるところイタリア人が痩せるのは、ワクチン待ち、ということのようだ。



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