バウータ的650


新型コロナウイルス感染拡大を受けて、フランス、ドイツに続きイギリスも11月5日から12月2日までロックダウンに入る(を導入する)ことになった。

レストランやパブやバー、美容室やスポーツジムなど社会生活の維持に必要不可欠ではない施設や店舗は全て閉鎖。

またフランスやドイツと同様に学校や大学や公園は閉鎖しない。ことし春に実施したロックダウンではそれらの施設も閉じられた。

外出が許されるのは 食料品の買い出し、在宅勤務ができない場合の通勤、通院や病気の治療、通学など。住民は不要不急の外出を控えて自宅待機するよう強く求められている。

だが、ロックダウンが導入されるのはイングランドのみ。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでは、各自治政府が独自の行動制限をかける。

そこがイギリスのロックダウンの限界のように見える。イングランドと各自治体との往来や各自治体間の人と物の行き交いが禁止されなければ、ウイルスの拡散を防ぐのは難しいのではないか。

イタリアは3月-4月のロックダウンでは、州や県はいうまでもなく住民票のある自治体から他の自治体への移動さえ厳しく禁止した。結果、感染拡大が収まった。

そのイタリアは、再びロックダウンを敷くか否かで国論が割れている。イタリアの第2波は、第1波時に導入した厳しいロックダウンが功を奏して、欧州の主要国の中では低く抑えられてきた。

だがここにきてイタリアの感染拡大も急速に進み、10月26日から映画館や劇場、スポーツジムやプールが全面閉鎖。レストラン、カフェ、バールなどの飲食店の営業も午後6時までに制限された。

それでも一日あたりの新規感染者の数は、ほぼ連日ロックダウン解除後の新記録を塗り替え続けている。それを受けて直ちにロックダウンに踏み切れ、という声と反対のそれが錯綜している。

イタリア政府は今のところ、凄まじい経済破壊を伴うロックダウンを避けたい意向だ。春の感染爆発時には、先行するイタリアを眺めながら英仏西などの国々がロックダウンをためらった。

その結果、5月-6月のロックダウン解除後にはそれらの3国はすばやく第2波の襲撃に見舞われ、イタリアは平和を保ってきた。現在はイタリアがロックダウンを躊躇している。立場が逆転したのだ。

イタリア国内には感染爆発はもはや制御不可能になった、とう批判さえある。コンテ首相は週明けの早い時期に次のコロナ対策を打ち出す予定である。

そこで再びロックダウンが導入されるかどうかは不明だが、もし導入される場合は、先行している国々と同様に学校などの閉鎖はしない、春よりもゆるいロックダウンになるのではないか。

また、経済への甚大な打撃を避けるために、第1回目よりも多くの会社や事業や工場等の操業を認め、その他の規制も緩和する対策になるのではないかと思う。

それによって感染拡大が劇的に抑えられるかどうかは誰にも分からない。いや、恐らく抑えることはできず、よくても感染拡大の速度を弱める程度の効果しかないだろう。

それでも規制を強化しないよりは強化するほうが増し、という風に見える。経済活動にブレーキはかかるだろうが、イタリアは3月-4月の惨劇を繰り返す訳にはいかないと思う。


facebook:masanorinakasone