
11月6日のイタリアの新規感染者は37809人。死者は446人。1日あたりの感染者数は2月-5月の第1波と第2波を通して最大。検査数の増大によって新規感染者の数も第1波より大幅に増えているが、死者数は3月27日の最大919人よりは少ない。
だが感染拡大も死者数も、そしてICU(集中治療室)患者数も確実に増え続けている。イタリアの第2波の状況はフランス、スペイン、イギリスなどに比べるとまだ比較的平穏だが、危機感は日ごとに強まっている。
イタリアは11月6日からコロナの感染状況によって、全国20州を危険度の高い順にレッド(赤)、オレンジ、イエロー(黄)の3カテゴリーに色分けし、それぞれに適合した準則を導入した。最も危険度の高いレッド・ゾーンの4州では、1日を通して住民の移動が規制されるなど、第1波時とほぼ同じ厳しいロックダウン措置が実施されている。
次に危険度の高いオレンジ・ゾーンの2州と、比較的状況が穏やかなイエロー・ゾーンの14州でも、夜10時から翌朝5時まで外出が禁止され、博物館、映画館、劇場、スポーツジムやプール等は閉鎖。ショッピングモールに始まる大型商業施設も週末の営業が禁止されるなど、準ロックダウン的な規制がかけられた。
イタリアは社会経済活動の継続と感染拡大抑止との間で大きく揺れ動いている。3月-5月の過酷な全土ロックダウンによって感染拡大を押さえ込んだが、その代償として経済に大きな打撃を受けた。政府も財界も国民の大半も、その二の舞を演じたくない点で一致している。
同時に、第1波では一日あたりの最大感染者数が6557人(3月21日)だったのが、第2波では10月半ばに1万人を超え、11月6日には3万7千809人となった。第1波時よりも検査体制が拡充したとはいえ、感染爆発が連日続いている、と言っても過言ではない状況である。
イタリアは、このまま経済活動を続けるべきという声と、全土ロックダウンに踏み切るべきという声が高まって国論が二分されている。かつては飽くまでも全面的なロックダウン支持者だった僕は、今では感染拡大を抑える最大の努力をしつつ経済活動も続けるべき、と考えるようになった。
ロックダウンのイタリア経済への打撃は見るに耐えないほどに大きなものだった。それは現在も続いている。それでも少しの回復軌道に乗りつつあった。ここで再びのロックダウンに踏み切れば、イタリア経済は今後何年にも渡ってさらに低迷するだろう。それは避けるべきではないかと思う。
欧州各国は大なり小なりイタリアと同じジレンマを抱えている。欧州大陸の52カ国の感染者の合計は11月5日現在、中南米の1140万人よりも多い1160万人。死者は29万3千人にのぼる。そんな中、どの国も感染拡大抑止と社会経済活動の両立を目指して必死に対策を講じている。
レストランやカフェなどの飲食店の閉鎖や営業規制、日常必需品店以外の小売店の閉鎖や営業短縮、また劇場や映画館や美術館などの娯楽文化施設やスポーツジムなどの閉鎖に加えて、各国が国民に課している管制は例えば次の如くである。
ギリシャは11月7日、ロックダウン開始。小学校と保育所以外の学校は閉鎖。許可証を持参の場合のみ外出可能。
スペインはほぼ全土で住民の移動制限。国民は居住区以外の地域への移動ができない。首都のマドリード地区は週末に他の自治体との行き来を制限。
ポルトガルは国土の大半で、仕事、通学、食料購入以外での外出を自粛するように要請。
フランスは10月30日からロックダウンに入っている。日常必需品を扱う店以外の小売店は閉鎖。外出をする際は自己申告の外出許可証の携帯が求められる。
チェコは夜9時以降の外出禁止。全ての店は午後8時閉店。また日曜日は営業禁止。スロバキア、スロベニア、キプロス、ルクセンブルグは夜間外出禁止。コソボは65歳以上が外出禁止。ポーランドは映画館などの娯楽施設とほとんどのショッピングセンターが閉鎖。
オーストリアは夜8時から翌朝6時まで外出禁止。有名な劇場など娯楽施設は閉鎖。誕生パーティーやクリスマスのマーケットなども厳禁となった。
スイスはジュネーブと近郊の非日常品店は閉鎖。ほとんどのバーやレストランの夜間営業は禁止。多人数での邂逅も制限されている。
ドイツは11月2日から、テイクアウトサービス以外の飲食店の営業を禁止し、娯楽施設も閉鎖。同時に観光目的でのホテル宿泊も厳禁した。
人口比率での感染者と死者が極めて多いベルギーは、10月19日から夜間外出禁止。ロックダウンが導入されて飲食店や小売店は閉鎖。テレワークが義務付けられている。しかし、昼間の外出は許されている。
デンマークはいわゆるロックダウンの厳しい処置は取らないが、ユトランド半島 地域での移動の自粛を住民に求めている。変異したコロナウイルスがミンクから人に移ったことを受けての処置。
ノルウエーは欧州で最もコロナ感染が抑えられている国の一つだが、国民に最大限の自宅待機と他者との接触の回避を強く呼びかけている。ノルウエーはロックダウンをかけずにコロナ危機を乗り切ることを目指している。
スウェーデンは相変わらず独自のコロナ対策を推進している。国民は他者との接触や屋内での活動を避け、できるだけ公共の乗り物を利用しないように要請されている。それには法的根拠があるが、違反しても罰せられることはない。また全ての国民はテレワークを推奨され大きなパーティーや集会を控えるように呼びかけられている。
アイルランドは10月22日、第2波の欧州で一番初めにロックダウンを開始。学校は閉鎖しないが、必要危急の用事以外での外出は禁止。
英国のイングランドは、ウエールズと北アイルランドを追いかけて11月5日からロックダウン開始。学校は閉鎖されないが、パブなどを含む全ての飲食店が営業禁止。テイクアウトのみが許される。
など。