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2020年12月17日現在、イタリアの新型コロナの累計死者数は6万6千537人。欧州最悪である。

死者数は長くイギリスがトップだったが、12月13日にイタリアがイギリスを超えた。

なお累計の感染者数では依然としてフランスが最も多い246万5千126人。2位はイギリスの191万8千736人。3位はイタリアで188万8千144人。続いてスペインの177万3千290人。

イタリアの1日当たりの感染者数はいわば高止まり状態。連日1万5千人前後から1万9千人の間で推移している。

イタリアの死者数は相変わらず多い。感染者数が減少傾向にあった12月3日、突然993人もの死亡者が出て過去最悪を更新した。

その後はさすがに減少して1日あたり500人前後で推移しているが、12月10日にはまたふいに887人が死亡するなど、凄惨な状況は変わらない。

なぜイタリアの死者数は多いのか、という疑問への解答はまだ出ない。十年一日のごとく「イタリアが欧州一の高齢化社会」だから、という答えが繰り返されるのみである。

答えはおそらく今後何年もかけて、分析・研究がなされた後に明らかになるだろう。それまでは、死者数が劇的に減らないのならば、せめて頭打ちになることを願うのみである。

良い兆候もある。ICU(集中治療室)の患者数が着実に減り続けていることである。治癒した者と亡くなった患者が多い、とも言えるが ICU全体の数字が減少しているのは朗報だろう。

イタリアの状況は、例えば日本などに比べたら惨状以外の何ものでもないが、欧州の中では増しなほうだ。あるいは普通程度に悪い環境。

いま厳しいのはドイツであるように見える。優等生のドイツは、新型コロナに苦しんでいるとはいえ、欧州の主要国の中では、また欧州全体の中でも、常に症状が軽かった。

だがここに来て事態が深刻化している。ドイツは先月から行ってきた部分的ロックダウンが功を奏していないことを認めて、12月16日から規制をさらに強化し来月10日まで続ける。

例えば小売店の営業は全て禁止。公共の場での飲酒も禁止。学校も閉鎖される。メルケル首相は規制強化前の12月9日、より過酷なロックダウンを受け入れてくれるよう、ほとんど涙ながらに国民に訴えた。

12月11日には、ドイツの1日の感染者は過去最多のほぼ3万人にのぼり、死者も過去最多の589人を数えた。それらの数字はさらに悪化の一途をたどっている。

フランスは感染が急拡大した10月末、罰金を伴う厳しいロックダウン措置を導入した。12月半ばまでに感染拡大を抑えて、国民にクリスマス休暇を楽しんでもらおうという思惑があった。

それに向けてフランス政府は具体的な数値目標を立てた。12月15日までに1日の感染者数を5千人程度、ICU患者数を2千500~3千人程度に抑える、というものだった。

感染拡大は徐々に静まり、11月28日からは小売店の屋内での営業再開を許可。また12月15日からは外出禁止を緩和して、朝6時から20時までは外出自由、それ以外の夜間だけ外出禁止とした。

しかし、前述の数値目標のうち、12月15日までにICU患者数を2千500~3千人程度に抑えるという目標は達成したものの、感染者を5千人程度に減らす計画は失敗して、1万人程度に留まった。そのため16日から予定していた 映画館、劇場、美術館などの再開は見送られた。

第1波の全土ロックダウンで経済を徹底的に破壊されたイタリアは、再びのロックダウンを回避すると同時に、クリスマス休暇明けに襲うことが容易に予想される第3波にも神経を尖らせている。

そこでクリスマスイブの12月24日から年明け、あるいはさらに先まで、週末と祝日には飲食店の営業を禁止し商業施設も閉鎖する。また不要不急の移動を禁止し、これまで行われてきた夜間外出禁止措置も延長する。

そうした施策を察知した国民の中には、規制が強化される12月24日までに帰省して、家族と共にクリスマスと年末年始を過ごそうともくろむ者が出始めている。そうした不届き者の多くは、ほぼ常に南を目指して動く。

イタリアのクリスマスも、欧州の他の国々のクリスマスも、重苦しい雰囲気の中で過ぎることが確実だ。が、多くの人々は騒がず怨まずに休暇を耐え過ごして、1月から始まるワクチン接種に希望を見出そうとしているようだ。


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