コンテ首相の辞任を受けて政治混乱が続くイタリアでは、マタレッラ大統領が欧州中央銀行(ECB)前総裁のマリオ・ドラギ氏に組閣要請を出した。
ドラギ氏は要請を受諾して「コロナパンデミックを乗り越え、ワクチン接種を完遂して国民生活を普通に戻し、イタリアを再生させなければならない。われわれにはEU(欧州連合)からの膨大な支援金がある」と抱負を述べた。
ドラギ氏は政権樹立を目指して各政党との話し合いに入った。しかし議会多数の支持を得られるかどうかは不明。
議会第一党の左派ポピュリスト五つ星運動はただちに不支持を表明した。五つ星運動は辞任したコンテ首相の再任を強く推してきた。
また右派の中心で議会第二勢力の同盟は総選挙を主張しているが、ベルルスコーニ元首相率いるフォルツァ・イタリアはドラギ政権に肯定的。
欧州中央銀行(ECB)総裁として欧州ソブリン危機で大きな役割を演じたドラギ氏は、国際的な知名度も評価も高い。
だが彼は経済学者である。経済学者は経済を理路整然と間違うこともよくある。ましてや政治家としての力量は未知数だ。
とはいうものの、前任のコンテ首相も就任した時はずぶの政治素人だった。
コンテ首相は最初の頃は、周囲の政治家連の“操り人形”と批判されたりもした。が、間もなく有能なリーダーであることが明らかになっていった。
もしもドラギ氏が対立の激しい各政党を説得して組閣にまで至るなら、レンツィ元首相に代表される我欲のカタマリのような政治家連よりも、イタリアのためにはるかに良いかもしれない。
コンテ、もはや「前」首相のように。。