阿鼻叫喚のイタリアの新型コロナ地獄はちょうど1年前の今日、2020年2月21日に始まった。
北部ロンバルディア州コドーニョ(Codognio)でクラスターが発生したのだ。
その前日の2月20日、コドーニョ病院でイタリア初の新型コロナの感染者が発見された。
当初その第1号患者は0号患者と誤解された。
クラスターは第1号患者の周辺で発生し、彼が入院したコドーニョ病院での院内感染も伴っていた。
いくつかのクラスターはたちまち感染爆発を招いた。
その日からイタリアは武漢化した。
ほぼ20日後の3月10日、イタリア政府はコドーニョを含むロンバルディア州と近辺に敷いていたロックダウンを、全土に拡大した。
クラスターの発生からちょうど1年後の2021年2月21日現在、イタリアの新型コロナの死者は9万5千486人。
累計の感染者は279万5千796人である。
昨年12月に始まったワクチン接種は遅々として進まず、これまでに212万8千130回分が接種されたに過ぎない。
人数にすると132万8千162人である。
閑話休題
国家非常事態の中でもイタリア人の政治好きは止まず、コロナ第1波の惨劇を誠心と勇気で乗り切ったジュゼッペ・コンテ首相の首がすげ替えられた。
新首相は超有名エコノミストのマリオ・ドラギさん。口げんかの絶えない政界の魑魅魍魎たちが、ぐっと口をつぐむほどの経済の大家、希望の星である。
コンテ首相は、イタリアの政治を引っ掻き回しているポピュリストの五つ星運動が、ほぼ唯一放った大ホームランだった。
大学教授のコンテさんを政界に引っ張り込んだのは五つ星運動なのである。
得意の経済政策はバラマキだけ、と見える五つ星運動に支えられたコンテさんは、コロナ禍が落ち着いたあとは経済で苦労するのは必至だった。
従って経済の専門家のドラギさんが首相になったのは、コンテさんのためにもイタリアのためにも、ドラギさんのためにもきっと良いことだ。
問題は、コンテ首相を大得意の権謀術数で退陣に追い込んだ、魑魅魍魎中の大妖怪レンツィ元首相を筆頭にする政治家連である。
経済も、コロナ対策も、何よりもワクチン接種の推進も、ドラギ新首相はきっとうまくやってくれそうな気配だ。
魑魅魍魎たちが邪魔さえしなければ。
多分。。