2020年の過酷なロックダウン開始から1年と5日目の今日、イタリアは再び都市封鎖を敢行した。
ただし今回は全国20州のうち11州が対象。
残り9州のうち8州にはややゆるい準ロックダウンが適応される。
島嶼のサルデーニャ州は唯一、規制の対象から外れる。島の感染防止策がうまくいっているからだ。
期日は復活祭が終わる4月5日まで。
復活祭期間の4月3日~5日はサルデーニャを除く全土が完全封鎖される。復活祭中は例年、祭りを祝う人の動きが盛んになるからだ。
2020年3月10日からのロックダウンに比べて世間が割と穏やかに見えるのは、国民がコロナに慣れたから。危険は人々が慣れた分、むしろ高まっていると見るべきだろう。
昨年の第1波以来、常に最悪の感染地であり続けているロンバルディア州に住まう僕にとっては、いわば毎日が変わらずロックダウン中である。
食料の買出しや仕事また通院などでは外出できるが、必ず自己申告の外出証明書を携帯しなければならない。
僕はその証明書とマスクまた消毒液等を常時車に積んで動くのが習慣になっている。わが家は田園地帯にあって何をするにも車が必要なのである。外出しない時はむろん自宅に留まっている。
僕は必要以外には全く外出をしないで、執筆を含む仕事とWEB巡りと読書三昧の暮らしをしている。その合間にテレビも結構見る。 日伊英3ヶ国語のニュースとスポーツ。また主にNHK系の日本のドラマ。
コロナ禍以前からやっている料理もよく作る。春から夏には菜園も耕す。夜はRAI(イタリアのNHK)の8時のニュースをじっくり見ながらワインやビールを飲む、という暮らし。
昨年はロックダウンが明けた6月から8月の間は、感染拡大がかなり収まったこともあって外出もひんぱんにした。
バールでワインを楽しみレストランにもよく出かけた。常にマスクをして対人距離を取り、密を避ける努力をしながらの動きだったが、それなりに楽しく時間を過ごした。
バカンス期が過ぎて再び感染拡大が始まってからは、毎日がほぼロックダウンの状態に戻った。そこでは庭で焚き火をすることも覚えた。
日本のコタツにヒントを得たと考えられる鉄製の焚き火台が手に入った。冬の間しきりに焚き火をした。
実を言えば、2021年3月半ばの現在もーまたおそらく今後もしばらくはー焚き火台のぬくもりと明かりを大いに楽しんでいる。
午後5時ころから暗くなる7時あたりまで、暖まりつつ、例によってワインをはじめとする酒を楽しむ。読書をするときもある。
そこでもチーズやサラミまたプロシュットをはじめとするいわゆるサルーミ(加工肉)類、自分で作る肴などをさかんに食べる。
結果、動かず飲んで食べる日々が重なって、体は丸くなりナチュラル落髪も進んで頭はテカるものの、人間のできていない悲しさで心は未だ丸くはなりきらない。
それでも寒さが大きく和らぐまでは庭火を続けるつもりでいる。泣いても怒っても楽しんでも同じ人生。ならば泣かず怒らず楽しむべき、と信じるからである。
そんな具合に退屈しない毎日だが、それでも自在に外出をできない生活には少しうんざり気味、というのが正直なところ。
この閉塞状況から脱出するにはワクチンの普及しかないことは明らかだ。相変わらずワクチンを一日千秋の思いで待ち続けている。