『 渋谷君
《日本政府が新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾に対し、アストラゼネカのワクチンおよそ124万回分を無償で提供したのは、日本自体がワクチン不足である現実を思うと理解できない》
というあなたの意見には賛成しかねます。
アストラゼネカ製のワクチンを日本は認可したものの、ごくまれに血栓が生じるとされることを懸念して使用していません。眠らせておいて有効期限が切れるかもしれませんから、同ワクチンを普通に接種している台湾に送るのは良いことだと考えます。
ただし、僕が良いことだと考えるのはもっと別の意味からです。つまり台湾へ、ひいては尖閣を介して日本へも軍事的な圧力をかけ続けている中国に対抗する意味でも、また単純に友好国の台湾を支援するという意味でも、ワクチン供与は快挙だと思うのです。
管政権が船出して以来はじめて行ったまともな仕事だとさえ考えます。菅首相の時代錯誤とも見える訥弁や、泥臭さや、無能ぶりなどをうんざりしながら眺めていた僕ですが、ここでは素直に賛辞を贈ります。
台湾の皆さんが東日本大震災の際に多くの義援金を送ってくださったのは記憶に新しい。その友情にこたえる意味でもワクチンを迅速に送ったのはきわめて適切な行為です。
台湾は周知のように親日の情の厚い国です。しかし日本人は台湾の皆さんの友誼また情誼に十分に応えているとは言いがたい面もあります。
これをきっかけに日本が台湾にもっと目を向け日台の友情がさらに深まれば、と思います。
個人的には僕は2019年に台湾を旅して以来、以前にもましてすっかり台湾ファンになりました。
その理由としては台湾そのものの魅力が先ずありますが、台湾の人々が示す親日の情がとてもうれしかった、という事実もあります。
日本と台湾の間には、こだわるつもりになれば気分が重くなる過去の因縁もあります。それを忘れてはなりませんが、負の遺産ばがりにかかずらうのではなくお互いに未来志向で向き合うべきです。
日本はかつては加害者でした。したがってこちらから過去を水に流してください、とは言えないし言ってもなりません。それは台湾の方々の自発的な意思があって初めて成立することです。
そして台湾の皆さんはあらゆる機会を捉えて、過去のわだかまりを越える努力をし実践されています。日本の側も気持ちは同じですが、今後はもっともっとその機運を高め実行していくべきです。
中国は台湾への威嚇を続けています。香港も脅しています。尖閣諸島への我欲も隠そうとはしません。日本はまず台湾と共闘し、香港も仲間に入れつつ中国に対抗するべきです。それが尖閣を守ることにもつながります。
幸いアメリカも台湾と香港を中国の奸計 から守る意志を示しています。日本はアメリカとも連携して台湾や香港にもコミットメントするべきと考えます。
日本政府はワクチン提供をあえて6月4日に実行しました。それは明らかに天安門事件を意識した動きです。ご存じのように天安門事件は1989年6月4日に発生しました。
日本は中国が台湾のワクチン政策を妨害しているとの観測に基づいて、民主化勢力を弾圧した天安門事件に重ねて行動を起こしたのでしょう。
一党独裁国家中国は、民主化を要求する学生らを弾圧し多くの死傷者が出たその事件の記憶を封印しようと躍起になっています。
その心根は、台湾や香港を抑圧し他国の領土に食指をのばす悪行も生みます。日本はそろそろ覚悟を決めて、同盟国と連携しつつ中国に対峙するべきです。
その意味でもあえて6月4日を選んで台湾にワクチンを届けたのは意味のあることだと考えます。中国に勝手なまねばかりをさせてはならない、という覚悟を少しは示したのですから。
中国は例によって自らの行為を棚に上げて、日本はワクチンを政治目的で台湾に供給している、と鉄面皮な非難をしています。
常識や誠意のなかなか通じない野蛮性は相変わらずです。ワクチンを誰よりも政治的に操っているのは中国なのです。
中国をけん制し蛮行を阻止するためにも、日本はアメリカほかの同盟国とも協力して、必要ならば台湾へのワクチン提供をさらに進めるべきではないでしょうか。
以上
それではまた』