2021年6月11日、コロナで1年遅れになっていた「2020サッカー欧州選手権」が開幕した。
開幕戦はイタリアvsトルコ。イタリアが3-0でいわば順当勝ちした。
イタリアのメディアは初戦の勝利を大々的に褒めたたえている。
いわく「勝ち組イタリア!」「イタリア歓喜!」「笑うイタリア!」「美しく舞い奔るイタリア」「行け!マンチーニ・イタリア!」など、など。
スポーツ紙ばかりかミラノの高級紙Corriere della seraも「マンチーニのイタリアは美しく強い」という見出しで報道するなど、国中が祝賀ムードであふれた。
イタリアサッカーは2006年のワールドカップを制して以降、沈滞期に入っている。
熱狂的だが同時に冷静でもあるイタリアのサポーターは、そのことを明確に意識していて、ナショナルチームに過大な期待は抱かなくなった。
だが彼らは、今このときのナショナルチームには確かな手ごたえを感じ喜んでいる。確かな手ごたえの中身は、ロベルト・マンチーニ監督の類まれな手腕、という意見が多い。
マンチーニ監督はイタリア・セリアAのチームを率いて多くの勝利を得た。またイギリスのマンチェスター・シティを率いて44年ぶりの優勝をもたらすなど、華々しく活躍してきた。
2018年にイタリア代表チームの監督になってからは、マンチーニ色を前面に出してチームを鍛え、2020年欧州選手権予選ではイタリアチーム史上初の10連勝(10戦10勝)をもたらした。
イタリアは予選の勢いを保ったまま大会に突入。冒頭で述べたように3-0でトルコを破った。
実はイタリアの1試合3ゴールもまた新記録。これまでは2得点が最高だったのだ。
いうまでもなくイタリアはワールドカップ4度の優勝を誇る強豪国。欧州選手権も1回制し、準優勝も2回ある。
だが意外なことに欧州選手権では、これまで38試合を戦って3得点以上を挙げたことがなかった。
イタリアチームが2006年のワールドカップ優勝を頂点に低迷し続けたのは、ひとえに違いを演出できる傑出した選手、すなわちファンタジスタが存在しないから、というのが僕の持論だ。
ところがマンチーニ監督は、強力なファンタジスタが出ないままのイタリアチームを率いて、無敗記録も塗り替え続けている。
彼はトルコ戦の勝利を受けて「イタリアは決勝まで進む」と明言した。
予選10連勝と、代表監督就任以後の無敗記録に自信を深めての発言だと思うが、あるいはそれは実現するかもしれない。
それどころか決勝に進出して、イタリア2度目の欧州選手権制覇さえ成し遂げる可能性がある。
それはそれですばらしいことだが、そこにイタリア伝統の傑出したファンタジスタが加われば、イタリアはいよいよ強く、美しく、最高に面白くなるに違いない。
そうなった暁には僕のサッカー熱も再び燃え上がりそうである。