イタリアのワクチン接種数が急増している。
政府が、10月15日から全労働者にワクチンの接種証明「グリーンパス」の提示を義務付ける、と発表したからだ。
イタリアはことし4月、欧州で初めて医療従事者にワクチン接種を義務付けた。
「グリーンパス」の提示を全労働者に義務付けるのも、欧州ではイタリアが初めてである。
医療従事者に「グリーンパス」の提示を義務付けたのは、全国民へのワクチン接種義務化を目指す伏線、と僕はずっと考えてきた。
だから今回それが全労働者へと拡大されても驚かず、いよいよ全義務化に向けた取り組みが加速した、と捉えた。
マリオ・ドラギ首相が、ワクチン接種の義務化を否定しない、と何かにつけて示唆しつづけていることも僕の推測の根拠になっていた。
また僕自身も、ワクチン接種を義務付けない限り、イタリアの集団免疫確保は困難だろうと考えていた。
イタリア国内に根強くあるワクチン懐疑論や、過激な反ワクチン勢力NoVaxの存在などが気になっていたからだ。
NoVaxは暴力行為や脅迫さえいとわない狂的な反ワクチン運動である。
ごく少数の過激な人々で構成されているが、声が大きく行動が過激な分、影響力も大きい。
反ワクチン派の大多数は、言うならば「ためらい」派あるいは「慎重」派である。
彼らは正しい情報と正確な言葉によって説得すれば、将来はおそらくワクチンの接種を受けるに違いない人々だ。
だが、SNS上にあふれるFake情報がそれを困難にし、NoFaxをはじめとする反ワクチン過激派のかく乱行為が事態を複雑にする。
それやこれらで僕は、イタリア全国民へのワクチン接種の義務化は避けて通れないもの、と考えてきた。
ところが、各労働者に「グリーンパス」の提示を義務付ける、という法律が成立するや否や、ワクチン接種の予約が急増した。
この調子で行くとイタリアは、あるいは欧州で初の「集団免疫獲得国」になるのかもしれない。
楽観的思考また希望的観測に過ぎないとは思うけれど。。