結実し枯れるサントー采800

野菜つくりをしながら気候変動の徴を見ようと努めているが、ことしはほとんどここに報告しなかった。

理由は単純。

サッカー欧州選手権やオリンピックなどのイベントが多かったこと。コロナ禍が少し落ち着き、ワクチン接種も済ませて休暇旅に出たことなどで時間が足りなかった。

ことしも菜園では不思議なことが起こった。春に種をまいたチンゲン菜とサントー白菜が、異常な速さで生育して、収穫もできないままトウが立ち結実した。

チンゲン菜はトウの立ちやすい野菜とされるが、それでも成長の速度が速すぎるように思えた。サントー采は春まき用の種から芽吹いたもので、こちらもさっさと育って花が咲いた。

結局いちども食べられなかった2種類の野菜だが、チンゲン菜は実って自然に落ちた種つまりこぼれ種が9月に芽吹き、サントー白菜は枯れたと見えた茎から新芽が出た。

チンゲン菜は秋から冬にかけて獲れる野菜だが、僕は春に種をまくことが多い。栽培が容易で放っておいても育つ。それはいいのだが、突然急成長して結実し、こぼれ種から再び芽吹いたのに驚いた。

またサントー白菜も、育ち過ぎて倒れた太い茎のそこかしこから芽が出て、それらが立派に育ちそこそこに収穫することができた。

チンゲン菜もサントー白菜も僕が継続的に育てている野菜ではない。それなので菜園で起きた現象が普通なのか異常な出来事かは判然としない。

ただ両野菜ともに成長がびっくりするほどに速く、一度枯れたものが夏の間に再生して、収穫できるまでに育った。いわば二期作である。不思議ではないか。

二期作は温暖な地方で行われる農業だ。僕の菜園で起きたことも、やはり温暖化と関係しているのではないかと思う。少なくとも空気が寒冷ならあり得ない現象だ。

こぼれ種から芽吹いたチンゲン菜に触発されて、僕は9月に新たに場所を変えてチンゲン菜の種をまいた。

それは問題なく成長した。空気が冷涼だからだろう、トウが立つこともなく、11月1日現在も順調に育っている。

実を言うと僕はチンゲン菜を多くは作らない。チンゲン菜は栽培が春菊やラディッシュ並に簡単だから、その気になればいくらでも作れるが、野菜炒め以外には料理法が分からないのである。

菜園を始めたころは、面白いように育つので毎年作った。だが豆腐や豚肉と炒めて食べるくらいで、それ以上はレシピが広がらない。漬物にもしてみたが具合が悪い。サラダとしてもいまいちだ。

そんなわけで最近は、思い出したときにぱらぱらと種をまくだけになった。ことし敢えて秋にも種をまいたのは、ひとえにこぼれ種の発育に刺激されたからである。

それとは別に秋にはナスやピーマンにも異変があった。どちらも遅くまで枯れずに残って多くの実を付けてくれた。ナスの実はほぼ全てが小さくて硬かった。

一方ピーマンはナスとは違って実が成長し続けるので、11月に入った今も生かしている。急に寒くなったり霜が降りたりしなければまだ育ちそうに見える。

実は2016年にも野菜は長命だった。そのときは11月の終わりになっても多くの野菜が枯れなかった。だがほとんどが葉野菜だった。果采類は秋の初めには普通に命を終えた。

800仕上がり7本半

僕の采園の果采類の王様はトマトである。トマトはほぼ全てソースに使う。ことしは7月、8月、9月と3度に渡ってトマトソースを作った。

以前は7月と8月の2回という年が多かった。作るソースの量は変わらないものの、最近はそれを仕上げる回数が増えた気がする。トマトの生育期間が長くなったのだろう。

するとそこにもやはり温暖化が影響している、と見ていいのかもしれない。





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