ついにイタリア初の女性首相が誕生した。右派「イタリアの同胞」のジョルジャ・メローニ党首が権力の座にすわる。
イタリアの同胞はファシスト党の流れをくんでいて、極右と規定されることも多い。
だがイタリア国民のほとんどは極右を支持していない。ファシズムにいたっては問題外だ。
メローニ新首相はそのことを知悉している。彼女の政権はEU(欧州連合)ともNATO(北大西洋条約機構)とも連携していくはずだ。
しかし連立を組む同盟とFI(フォルツァ・イタリア党)の中には、EU及びNATO懐疑派の勢力もある。
また同盟のサルビーニ党首とFIのベルルスコーニ党首はプーチン大統領と親しく、ロシアのウクライナ侵略に対するEUの制裁に疑問を呈することも辞さない。
メローニ首相率いるイタリアの同胞も、元々はEUに懐疑的でロシアのクリミア併合を支持するなど、欧州の民主主義勢力と相いれない側面を持つ。
メローニ新首相は選挙戦を通して、そうした反民主主義且つ親ロシア寄りの政策が、欧州でもまたイタリア国内でも支持されないことをしっかりと学んだように見える。
メローニ政権は明確に右寄りの政策を打ち出すものの、常に中道寄りへの軌道修正も行うというスタンスで進むだろう。
それでなければ、彼女の政権内の反対勢力が頭をもたげる前に、イタリアの世論と欧州全体のそれが、彼女を権力の座から引きずり下ろすことになるだろう。