W杯は1次リーグが終了し決勝トーナメントに進むベスト16が決まった。
ドイツの1次リーグ敗退が大きな話題になったが、実はドイツは前回大会でも決勝トーナメントに進めなかった。
その事実からドイツの凋落が始まっていると見る向きもある。だが僕はそうは思わない。
歴史的に見て世界サッカーの最強御三家はブラジル、イタリア、ドイツだ。
最強御三家は過去に浮き沈みを繰り返しつつ存在感を示してきた。特にブラジルとイタリアがそうだった。
ドイツの絶不調は珍しいものだが、同チームは必ず立ち直って再び強くなるだろう。最強御三家の地位はまだ続く、と僕は思う。
最近W杯と欧州杯を制して気を吐いているフランスとスペインは、御三家の次にランクされる。
少なくともW杯優勝回数ではどちらも最強御三家に及ばない。フランスは1998年まで、スペインは2010年まで一度も優勝できなかった。
ほかにはアルゼンチンとウルグアイが、前回ロシア大会を制したフランス同様に過去に2度優勝している。
このうちウルグアイの栄光は過去のものになった印象があり、アルゼンチンはメッシがナショナルチームでマラドーナ並みの活躍ができず影が薄い。
フランスは初優勝の立役者ジダンに代わってエムバペ が突出してきた分、しばらく好調を維持しそうだ。
要するに世界サッカーの勢力図は未だ変わっていない。
ところが、変わってはないないものの、欧州と南米の常勝国とその他の国々の力の差がぐんと縮まっているのも事実だ。
今回大会で日本がドイツとスペインを下したのが最も象徴的だ。
サウジアラビアがアルゼンチンを破り、韓国がポルトガルに勝ち、オーストラリアがデンマークを退けたのもそうだ。
W杯ではいつの時代も番狂わせがあった。だが今回大会ほど目立つことはなかった。
そればかりではない。1次リーグで姿を消したドイツ以外の強豪も青息吐息の試合が多かった。
ブラジルもアルゼンチンも弱小国と見られた国々と拮抗する試合展開が多かった。
それどころかアルゼンチンはサウジアラビア戦で苦杯を喫した。
ブラジルもカメルーンに敗れた。それはネイマール欠場が原因ではなく、単純にカメルーンが強かったから負けたと見えた。
スペインも初戦でコスタリカを一蹴したのはいいが、周知のように日本に負けた。
御三家のひとつイタリアに至っては、1次リーグどころか前回も今回も予選で沈んで本大会には顔出しさえしていない。
2022年W杯カタール大会は将来、世界サッカー勢力図の分水嶺と看做されるようになる気がしてならない。