ロシア非常事態省は8月23日、民間軍事会社ワグネルの創始者プリゴジン氏の自家用機が、モスクワの北西約300キロ地点で墜落し、乗員3人と乗客7人の計10人全員が死亡したと発表した。
プリジコジン氏は6月、プーチン大統領への反乱を起こした。それは失敗し彼は許されたように見えた。だが反乱後はプリジコジン氏が歩く死体であることは明らかだった。
そうではあるものの、彼がベラルーシ、アフリカ、ロシア間を自在に行き来しているらしい様子は、あるいはプーチン大統領の支配力が低下した証かも知れない、などの憶測ももたらした。
プーチン大統領はプリコジン氏を密かに消すのか、見せしめを兼ねて派手に殺るのかと僕は興味津に見ていたが、非情であり異様なスパイであるプーチン大統領は後者の方法を選んだ。
プーチン大統領の非情さは分かり切ったことだが、隠微を好む傾向があるスパイでありながら、プリコジン氏が乗ったジェットを爆破(撃墜という報も)し、ビデオ撮影させて世界中に発信した手法はラスボスらしい大胆さ。不気味でさえある。
また異様にも見えるのは、プーチン大統領が事件から24時間も経たないうちにテレビ演説で、「事故の犠牲者と家族に哀悼の意を表する」とヌケヌケと述べたことだ。ロシア国内での彼の力は弱まってなどいないことを如実に示すエピソードだった。
プーチン大統領は、今回のプリコジン氏を含め少なく見積もっても30人ほどの政敵や批判者を殺害した疑いがある。100人を超える、という主張さえある。だが、証拠は一切ない。心証はしかし、100%クロである。
プリコジン氏の乗った飛行機が、ロシア上空で爆破されてまっ逆さまに墜落したのと時を同じくして、アメリカではトランプ前大統領がジョージア州フルトン郡の拘置所に出頭し、逮捕された。
彼は続いて指紋を採取され、顔写真を撮られ、身長・体重などを記録された。その後、およそ20万ドル(約2900万円)の保証金を支払って釈放された。
前大統領の拘置所での登録番号は「P01135809」。いかにも凶状持ちという表号で彼にふさわしい。
トランプ前大統領が起訴されて出頭し、逮捕と保釈の一連の手続きを取ったのは、今年だけでなんと4回目だ。
こんな男が再び本当にアメリカ大統領になるのだろうか?彼が暗殺に手を染めていないのは、民主主義国家のトップという立場がもたらした僥倖に過ぎない。
トランプ前大統領が、彼の地金であるファシストの本領を発揮できる国家の指導者であったならば、彼はプーチン大統領に負けずとも劣らない独裁者となり、暗殺指示も朝飯前の暴君となることだろう。
プーチン大統領は、世界の多くの人々が願った権力喪失の罠にはどうやらはまっていないようだ。結果、圧制者としての彼の死期も見えない。
トランプ氏が来年大統領に返り咲けば、シューキンペー国家主席も加わって、世界はまたもや反民主主義勢力が跋扈する、暗殺陰謀フェイクニュース満載なんでもありの、タノシー世界になりそうである。