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イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、地中海からの大量移民の抑制を公約に掲げてほぼ1年前に政権を握った。

だが地中海を介してイタリアに流入する難民・移民の数は増え続けている。

理由はアフリカ、中東地域の政治混乱や貧困、また紛争や迫害などから逃れたい人々が海に向かうからである。

また、そうした人々を密航させる人身売買業者が暗躍して、難民・移民を意図的に作り出し欧州に向けて運んでいるという側面もある。

難民・移民移送で稼ぐ多くの人身売買業者が、貧しい人々の背中を押して海へ、イタリアへ、ひいては欧州へと向かわせるのである。

イタリア右派政権は「人々を誘い鼓舞して欧州へと密航させる業者を撲滅するのが最重要課題だ。だが同時に、不法移民も厳しく取り締まるべき」と声高に主張する。

その右派の中の強硬な人々、つまり例えば日本のネトウヨ系排外差別主義者の政治・経済・文化人などに似た勢力は、国境を閉ざし鉄条網を巡らせ壁を作ってそれらの移民を排除しろと叫ぶ。

だがそれは愚かな主張だ。なぜなら腹を空かせたそれらの難民・移民は、いくら国境を閉鎖しても壁を乗り越え、金網を破って侵入する。

飢餓に襲われている者を排斥することはできない。彼らは生きるために文字通り「必死」で国境に殺到し、そこを突破する。

飢えは死の恐怖と同義語だ。死に直面した人々を止めるものは何もない。

人類の起源を辿るときにはミッシングリンク、あるいは失われた環(わ)がよく議論される。謎とされるミッシングリンクだが、飢餓が生んだ現象と考えれば辻褄が合う。

つまりミッシングリンクは、飢えたわれわれの祖先が、自らと同類の原始の民を殺しては食べつくしたことで生じた空白である。

そのことからも分かるように飢えて切羽詰っている者を抑えるのは不可能なのだ。飢餓に瀕した者、という意味では現代の難民・移民も同じだ。

ならばどうするのか。

解決策の第一は、難民・移民の故国に政情安定と経済発展がもたらされることである。それは彼らの自己責任によって成されるべきことだ。

しかしそれだけでは全く不十分だ。不可能と言ってもいいだろう。そこには先進国の支援がどうしても必要である。

それ故に本気で彼らの流入を阻止したいなら、彼らと彼らの国を支援して人々がそれぞれの国で平穏に生きていけるようにしなければならない。

従って、難民や移民を遠ざけておきたいと願うイタリアの強硬右派勢力や、日本のネトウヨ系排外差別主義者の皆さんは、その目的達成の為に誰よりも率先して「難民・移民支援」にまい進するべきなのである。





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