3人合成無題

ハマスVSイスラエル闘争に関しては、一方的な思い込みや驕慢に基づく発言が多い。

例えばイスラエルのネタニヤフ首相は、「ホロコーストの犠牲者であるユダヤ人を殺すのは普通よりも罪が重い」という趣旨の発言をした。

それは取りようによっては、ユダヤ人の命はパレスチナ人の命よりも重い、というふうにも聞こえる。

彼が言いたいのは、ホロコーストを経験したユダヤ人は、特別な感慨また無残な思いを胸中深く抱いて生きているということなのだろう。

だが強硬なシオニストの彼は、パレスチナ民間人を無差別に殺戮することも厭わない国家テロの首謀者だ。それだけに発言は異様な響きを持つ。

彼らシオニストが不遜にも聞こえる物言いをしていると、ユダヤ人の不幸に同情的な世界の世論が疲弊して、可愛さ余って憎さ百倍とばかりに暗転しないとも限らない。

いや、欧米各国の政府見解はさておき、人々の間ではその傾向に拍車が掛かりつつあるようにも見える。

被害者の強烈過ぎる被害者意識は、加害者を含む世の人々の強い反感を買うことも少なくない。

トルコのエルドアン大統領は、「ハマスはテロ組織ではなく、パレスチナ市民と土地を守るために戦う解放グループだ」と発言。これも彼の成心が言わせた言葉だ。

もっとも同大統領は、イスラエルの横暴を諌める意味合いで、敢えてハマスを全面擁護する発言をした可能性がある。

なぜならトルコは、10月7日のハマスのイスラエル攻撃で多数の民間人の犠牲が出たことを非難しつつ、一貫してイスラエルに自制を求めて来たからだ。

それでもエルドアン大統領は、子供の首を落としたり民間人を人質に取ったりする、ハマスの残虐な行為を肯定するような発言は断じて控えるべきだ。

ハマスがパレスチナ解放を目指す武闘組織であることは明らかだが、子供の首を切り無辜の人々を虐殺し人質に取るなどの蛮行は明らかな国際法違反だ。

だが、法律云々を持ち出すまでもなく、それらの行為は“獣じみた”と言えば獣を侮辱することにもなりかねないほどの、非人間的で残酷野蛮な所業だ。

エルドアン大統領は、ハマスはパレスチナ解放を目指す武闘組織だが、民間人を殺したり人質にするなどの蛮行は言語道断だ、とあらためて明確に批判するべきだったのだ。

また国連のグテーレス事務総長は、「ハマスが生まれたのは偶然ではない。ハマスは56年間に渡ってパレスチナの人々を抑圧したイスラエルの横暴があってはじめて出現した」と主張。

無力な国連の、無能な事務総長が、珍しくきっぱりと真実を語ったことに僕は目を瞠った

だが程なくグテーレス事務総長は、「あたかも私がハマスのテロ行為を正当化しているかのように、発言の一部が誤解されている。ショックだ。これは誤りだ。真逆だ」と懸命に弁明。事実上発言を撤回してしまった。

イスラエルのエルダン国連大使が、「ハマスはナチスだ。ナチスを弁護する国連事務総長などあり得ない。すぐに辞任しろ」と激しく指弾したことに恐れをなしたのだ。

イスラエルのコーヘン外相もエルダン国連大使に負けない勢いで事務総長を批判した。彼らはイスラエルに味方する欧米列強の威光を笠に着ていたから、事務総長は余計にびびった。

だがグテーレス事務総長の指摘は正しいものだった。彼は発言をあたかも誤りであったかの如く弁明、撤回するべきではなかった。

彼にそうすることを強いたイスラエル側の強弁は、言論テロと呼ぶことさえできる傲岸不遜なものだ。

イスラエルの思い上がりは時とともに膨らんでいくように見える。それはイスラエルとユダヤ人への反感を買う危険があるばかりではなく、和平への道を閉ざす過激な行為でもある。

とても残念なことだ。





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